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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス装備:クラウド=石鍛冶?(スタンダード)

岩SHOW
 

 装備品というサブタイプがマジックに登場したのは『ミラディン』でのこと。装備コストを支払ってクリーチャーに装備させる武器や防具である。RPG的でワクワクするものだが、これらは初登場からしばらくの間、構築フォーマットで装備品をテーマとしたデッキが活躍することはなかった。装備品だけ引いても持つクリーチャーがいない、クリーチャーだけ引いてもピリッとしない、そのジレンマに悩まされ続けていたわけだ。転機となったのは《石鍛冶の神秘家》の登場。クリーチャーでありながら装備品を手札に加えられるため、それをテーマとしたデッキが組みやすくなった。

 そして装備品のバリエーションが増えたことも大きな追い風になった。装備品でありながら、それ自身が装備するクリーチャーを提供する《殴打頭蓋》などの生体武器、単に戦闘面で強くなる以外の利点をもたらす《饗宴と飢餓の剣》などの装備品……これらの強力なカードを石鍛冶から引っ張ってくるパッケージが登場して、装備品がメインテーマとしてデッキの看板になったのだった。

 

 スタンダードやその他のフォーマットで一世を風靡した《石鍛冶の神秘家》。これに似通ったカードが現スタンダードに存在する。《ミッドガルの傭兵、クラウド》!白い2マナのクリーチャーで、戦場に出ると装備品を探して手札に加える……これはもう石鍛冶ではないか!また現スタンダードには《殴打頭蓋》よろしく、自身でクリーチャーを賄える装備品まで揃っている。クラウドを用いた装備品デッキ、今こそ組むしかないだろう!

wordy333 - 「ボロス装備」
Magic Online Standard Challenge 32 第9位 / スタンダード (2025年7月6日)[MO] [ARENA]
4 《戦場の鍛冶場
4 《感動的な眺望所
4 《サンビロウの境界
2 《始まりの町
2 《英雄の公有地
2 《ミレックス
4 《平地
2 《
-土地(24)-

4 《ブルメシアの竜騎士、フライヤ
4 《ミッドガルの傭兵、クラウド
2 《耐え忍ぶカー、ケンバ
2 《最初の黄金守護、ジョー・カディーン
3 《刃を持つ者、アスター
-クリーチャー(15)-
3 《一斉蜂起
4 《溶岩拍車のブーツ
1 《失われた十手
3 《チェーンソー
1 《「竜騎士」の両手槍
4 《刃砦の戦鞭
2 《「侍」の刀
1 《バスターソード
1 《天界の鎧
1 《解剖道具
-呪文(21)-
2 《エイヴンの阻む者
2 《邪悪を打ち砕く
3 《第三の道のロラン
2 《塔の点火
2 《紅蓮地獄
2 《予想外のお願い
2 《安らかなる眠り
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 装備品と言えば白と赤。白は祝福を受けた武器防具を授けられ、装備を整えた軍隊のカラー。そして赤は野蛮な暴力的な兵器、それを鍛造する炎のカラーというわけで、ボロス(赤白)にはたびたび装備品に関するカードが登場している。特に伝説のクリーチャーに顕著だ。装備品のためのマナを捻出する《ブルメシアの竜騎士、フライヤ》、装備コストを無視する《耐え忍ぶカー、ケンバ》といった具合に。多色ともなればさらに派手に、装備したクリーチャーの数だけ強化される《最初の黄金守護、ジョー・カディーン》は、パワー4を越えればカードも引ける。《刃を持つ者、アスター》は装備品を探す手段であり装備コストも{1}とグッと抑えるナイスガイ。これらのクリーチャーとクラウドが組んで、スタンダードにおける高品質の装備品で身を固める!これぞ「ボロス装備」だ。

 

 冒頭でも触れたように、装備品デッキの難しいところは装備とクリーチャーのバランス。どちらを何枚採用するか悩ましいところだが、装備品がクリーチャーを兼ねてくれるカードがあればその悩みは大きく緩和される。このリストでもそのような装備品をたっぷり採用。まずは《刃砦の戦鞭》。色が合うならこれを使わない手はない。ミラディンのために!能力で2/2のレベルを生成してそれに装備されるという形式でクリーチャーを用意してくれて、装備しているクリーチャーに二段攻撃を与える。打点という面では非常に分かりやすく、このレベルに他の装備を付けても良し、これをジョー・カディーンらにつけかえても良し。他の装備コストも地味に下げてくれる。

 《「侍」の刀》もジョブ選択で英雄を生成、それに+2/+2修正と速攻を与えるというかなりの高性能。実質3マナ3/3速攻、もちろんこれも他のものに持ち替えさせて奇襲を仕掛けるのも最高だ。《解剖道具》という非常に優れたクリーチャー兼装備品に、他のジョブ選択装備なども選択肢に加えて、装備品多めでもしっかりとクリーチャーの頭数を確保できるデッキを意識して組むべし。

 

 これらの装備品とそれに関するクリーチャーを展開して攻撃、マジック初心者でもその本質を理解できる、単純明快で楽しいビートダウンデッキである。そしてビートダウンとなると、クリーチャーでの攻撃をねじ込むため、対戦相手のクリーチャーを除去する手段も重要だ。幸い白と赤にはその選択肢が豊富であり、悩むとすれば何を採用するかという贅沢なものになるだろう。そんな数多ある除去の中から、装備品デッキということで《一斉蜂起》は是非とも最優先で取り入れたいもの。本来は3マナだが、装備品の数だけコストが{1}軽減されるため簡単に赤マナ1つだけで唱えられる。クリーチャーかプレインズウォーカーに5点ダメージ、かなり効率の良いインスタントだ。さらに対象にしたパーマネントから破壊不能を失わせるという追加効果もあるため、ややこしいヤツが立ちはだかっても安心だ。

 《チェーンソー》は装備品でありながら、戦場に出た際に3点のダメージを飛ばす除去になる。これがクリーチャーに与える強化は、これに乗っている回転カウンターの数だけのパワー修正。この回転カウンターはクリーチャーが1体以上死亡すると乗る。とりあえずチェーンソー自体で3点当てて回転カウンターを1個確保、以降は相手と自分のクリーチャーがぶつかり合い互いに倒れていくことで回転数はグングンと増していく。そんな特殊な装備であるが、これをクラウドが装備している時にクリーチャーが死亡すると……能力が2回誘発するため、倍速で回転を得ていくことに。原作再現で《バスターソード》を持たせても良いが、チェーンソーを振り回すホラーなクラウドを見れるというマジックならではの光景を楽しんでみるのも良いんじゃないかな。

 《石鍛冶の神秘家》を彷彿とさせる《ミッドガルの傭兵、クラウド》。彼を使った装備品デッキのサンプルとなるリストを紹介させていただいたが、心に響く要素はあっただろうか。少しでも気になったのなら、是非とも組んでみて欲しいところ。スタンダードのローテションと『久遠の終端』の参入による新環境のスタート、その前に今の環境を最後まで遊び抜きたいところだね。

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