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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

環境変化と変わらぬディミーア(スタンダード)
スタンダードの大変革。7枚のカードが禁止に指定された。このゲームは時に非情な決断を下すこともあるが、それらはすべて「少しでも多くのカードに活躍の場を与える」という思いからくるもの。折角カードを集めてデッキを組んだのに、というダメージは筆者も過去に何度も体験して苦い思いをしたものだが……毎度最終的には、同じデッキばかりが勝つゲームよりは色んなデッキにチャンスが与えられた方が良い!とデッキマニアの血が騒いで次に切り替えていたものだ。
今回の変更はその枚数の多さもあって、スタンダード環境をそれまでと別のものに変えてしまうインパクトがある。そんな中でどんなデッキを組んで戦うか……まずは禁止カードをそもそも採用せずに戦っていた既存のデッキを見てみるのが一番。というわけで今回は先日開催された「マジック・スポットライト:FINAL FANTASY」メインイベントで決勝ラウンドに進出したデッキから、今後もスタンダードで変更なしで使用可能なこのリストをチェックしてみよう!
| 4 《闇滑りの岸》 2 《不穏な浅瀬》 3 《島》 6 《沼》 4 《地底の大河》 2 《魂石の聖域》 4 《グルームレイクの境界》 -土地(25)- 3 《フラッドピットの溺れさせ》 3 《カルシの帰還者》 3 《永劫の好奇心》 4 《遠眼鏡のセイレーン》 3 《群青の獣縛り》 4 《分派の説教者》 4 《大洞窟のコウモリ》 -クリーチャー(24)- |
2 《悪夢滅ぼし、魁渡》 3 《喉首狙い》 2 《強迫》 1 《呪文貫き》 3 《切り崩し》 -呪文(11)- |
1 《切り崩し》 1 《悪夢滅ぼし、魁渡》 2 《否認》 1 《情け知らずのヴレン》 1 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《悪意ある覆い隠し》 1 《カルシの帰還者》 1 《見栄え損ない》 1 《除霊用掃除機》 2 《強迫》 3 《ティシャーナの潮縛り》 -サイドボード(15)- |
ディミーア(青黒)カラーの所謂ミッドレンジ!ガツンと高パワーというカードは入っていないが、瞬速や飛行といった相手を翻弄する能力を持ったクリーチャーを展開、黒の得意なクリーチャー除去と手札破壊、青のお家芸である打ち消しを用いて、それらでの攻防をバックアップ。派手さはないが、攻撃する度にドローなどしてじわりじわりと確実に優位を築いていくタイプのデッキだ。そのカラーリングと戦闘スタイルから玄人向けのデッキにも見えるが、各カードの挙動を理解できれば初心者でも十分にそのポテンシャルを引き出せるので安心してまずはプレイしてみることをオススメするよ。
このデッキの強み、シグネチャームーブは《悪夢滅ぼし、魁渡》の忍術!クリーチャーで攻撃し、ブロックされなかった場合に本来よりも軽いコストでこのプレインズウォーカーを戦場に出せる。攻撃クリーチャーと入れ替わり、魁渡自身もクリーチャーなので効率よくダメージを叩き込みつつ、プレインズウォーカーの能力を起動してカードを引いたり、対戦相手のクリーチャーを麻痺させたり……兎に角相手にとってはイヤなゲーム展開を生み出せる。そして《遠眼鏡のセイレーン》《大洞窟のコウモリ》など飛行持ちで攻撃を通しやすく、かつ戦場に出た時に能力が誘発するクリーチャーをこの忍術の素にすることで、能力を再利用できるというお得な要素も。瞬速で出てきて麻痺カウンターを撒く《フラッドピットの溺れさせ》とのコンビネーションはクリーチャーをデッキを圧倒すること間違いなし。
打点は高くなくとも、確実に通していくことで有利になる。それがディミーアの流儀であり、ダメージを与えることで相手のクリーチャーを確実に死亡させる接死を持った面々はこれを象徴するものと言える。《カルシの帰還者》は絆魂で回復させてくれるし、《分派の説教者》は攻撃時に能力が誘発。ライフの値によって吸血鬼を呼び出したりカードを引いたり、あるいはそれらを同時に行ったり。タフネスも高いので壁役としても優秀、攻撃した時点で得しているので相討ち上等!そんな接死持ちと飛行持ちが揃ったデッキなので《永劫の好奇心》もそのポテンシャルをフルに発揮。クリーチャーの攻撃を通してカードを引く、これ自身が死亡してもエンチャントとして戦場に残る。確実なアドバンテージをもたらすこの猫と魁渡がいるおかげで、ディミーアは驚異の粘りを見せてゲームをひっくり返すこともしばしば。コツコツを繰り返して捲る、そんなデッキのスタイルは変化したスタンダードでも健在だ。
メインデッキでいぶし銀の空気を醸し出しているのは《群青の獣縛り》。パワーが2以上のクリーチャーにブロックされないため高確率で攻撃を通すことができ、対戦相手に戦闘ダメージを与えるとクリーチャー・アーティファクト・プレインズウォーカーの能力を1ターンの間失わせるという、トリッキーな1枚だ。このネズミが最近のリストで見られるようになっていた理由は……やはり《コーリ鋼の短刀》対策として。青と黒という色は戦場に出る前のアーティファクトを打ち消したり手札から捨てさせるなどは得意でも、出てしまったものには対処しにくいという特性がある。なのでポロッと出てきたコーリ鋼にやられてしまうことがあったが、それを少しでも防ごうというわけで能力を失わせる獣縛りに白羽の矢が立った、と。その短刀が禁止となった今、獣縛りを引き続き採用するかどうかは……今後のスタンダードにてどんなデッキが隆盛して来るか次第。アーティファクトのみならず広い範囲をカバーしてくれるし、ブロックされにくく忍術の素にしやすいという点から、環境次第ではこれからも対戦相手のパーマネントから自由を奪い続けるだろう。
また同じネズミという点でみれば《情け知らずのヴレン》もこのカラーリングらしい1枚で、メインやサイドに1・2枚採用されているケースが多い。これは対戦相手のクリーチャーを死亡する代わりに追放し、ターン終了時に追放したクリーチャーの数だけネズミ・トークンを生成。これらのネズミは他のネズミ1体につき+1/+1修正を受けるので、うじゃうじゃ並べばとんでもないことに。まったりクリーチャーを並べるようなデッキにはクリティカルな存在であり、早すぎるアグロデッキが減少してヴレンが間に合うようなクリーチャーにらみ合い環境になれば、ネズミの大群がゲームを終わらせる光景がこれまで以上に見られるかもしれないね。
本来カードが使えなくなるということはまったくもって望ましいことではないが、時にはやむを得ないこともある。突然の新環境、そのスタートはまずは既存デッキで。変わらぬ構築で様子を伺いつつ、徐々に自分なりのリストを探っていくという形で楽しみながらプレイ出来れば最高だね。
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