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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:限定構築!クラウドと装備品(特殊フォーマット)

岩SHOW
 

 「マジック・スポットライト:FINAL FANTASY」というクールなイベントが6月27~29日にかけて千葉は幕張メッセにて開催される。様々なトーナメントなどが開催されるマジックのお祭りであり、イベント名と同タイトルであるメインのトーナメントは、参加予約が2,300名の定員に達しており、キャンセル枠などの受付が若干数残っているかというところ(原稿作成時点の予約状況なので掲載時は不明、ゴメンネ!)。これは当日は大盛況間違いなしというところだ。

 『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』に対する期待の大きさや、かつてのグランプリ同様の賞金制大会でありプロツアーの参加権利も獲得できるということなどが多くの参加者を集めるに至ったわけだが……もう一つ、参加者はプロモカードを受け取れるというのも一瞬で定員に至りさらに増席まで行われた要因だろう。「FINAL FANTASY」シリーズにおける主人公の中でもトップクラスの人気を誇るクラウド、そのスペシャルな仕様の《ミッドガルの傭兵、クラウド》!全参加者はこのプロモの通常仕様のものを参加賞としてゲットできる。さらには上位128名まで勝ち上がれば、フォイル仕様のものも手に入るというチャンス・そしてせっかくプロモが手に入り、しかも期待できるカードであるならば使ってナンボだ。今回はこのクールなクラウドを用いたデッキについて考えてみよう。

 

 クラウドは戦場に出た時にライブラリーから装備品をサーチ、2マナという現実的なコストでアドバンテージが稼げるクリーチャーだ。かつては同様の能力を持つ《石鍛冶の神秘家》というクールなクリーチャーがあらゆる環境で大車輪の活躍を見せたのを思い出す。さらに彼が装備品を装備していると、自身やそれらの装備品の能力は追加で誘発するようになる。装備品で固めたデッキで使えと言わんばかりのカードで、マジックでは白や赤に度々この手のカードが登場する。『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』でもこの伝統は踏襲され、RPGであるFFシリーズにおいて欠かすことの出来ない数々の武器や防具がカード化され、白と赤のカードがそれらのポテンシャルを引き出すというデザインが施されている。

 

 クラウドといえば《バスターソード》!「FINAL FANTASY VII」発売当時は筆者は小学校の高学年だったが、このゲームのポップなどで美形の青年が自身の身体と同等のサイズの無骨な大剣を担ぐビジュアルを目にして「カッコええ~」と心惹かれたものである。シンプルな見た目でありながらインパクト満点のデザイン、シリーズでも最も印象的な装備品の1つである。

 《バスターソード》は装備しているクリーチャーのサイズに修正を与え手強化するだけでなく、これを担いだクリーチャーの攻撃が対戦相手に通ると1ドロー。さらにその後手札から呪文を1つマナを支払わずに唱えられる。対戦相手に与えたダメージ以下のマナ総量という形ではあるが、《バスターソード》自身の修整値から考えれば4・5マナくらいの呪文なら難なく唱えられるだろう。ゲームを決める一手になる重い打撃だ。

 《ミッドガルの傭兵、クラウド》から《バスターソード》を持ってきて、そのまま持たせて殴って能力2回誘発!というムーブ。これを決められるデッキを考えていきたいが……フォーマットはどうするか。『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』はマジックの本流のセットであり、スタンダードから始まりパイオニアやモダンなどあらゆる構築フォーマットで使用することが可能だ。そんな中で今回は……特殊なフォーマットをチョイス。2024年11月にリリースされた『ファウンデーションズ』。マジックの基本的なカードが多数収録されたこのセットと『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』、この2つのセットのカードのみを使用可能とした、何ともクールなイベントがオンラインで開催される予定だ。

 「FINAL FANTASY」シリーズの世界を存分に楽しみつつ、このセットだけでは少し足りないマジックの基本中の基本的なカードを『ファウンデーションズ』でしっかり補い、マジックとFFの2つの世界観を交錯させるという……クールな試みだと思う。オンラインのみならず、テーブルトップ(紙のカード)でも『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』限定構築のイベントが各ショップにて開催される。

 紙のカードでも『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』限定→そこに『ファウンデーションズ』追加、というような段階を経てデッキを構築すれば、マジックを始めたばかりのFFファンもこのゲームに馴染みやすいかもしれない。こんなクールな限定構築の波、乗らないわけにはいかない!皆で遊ぼうじゃないか!というわけで『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』『ファウンデーションズ』のカードプールから装備品デッキを考えてみよう!

 

 まず装備品や装備とテキストに書かれているカードはすべてチェックすべし!ということで白のカードを見ると、装備品とクリーチャーのサイズに関するカードが揃っている。《プルート隊隊長、スタイナー》はわかりやすいカードで、装備品の数だけサイズが上がる。絆魂もあるので、装備を並べて強化してアグレッシブに攻撃しつつ、こちらのライフを回復させて攻防一体の展開を目指そう。装備品を装備せずとも強くなるため、他のクリーチャーに装備を集中させて同時に攻めていけるのがこのカードの魅力といえる。

 《「機工士」の装備》もアーティファクトを参照してサイズを上げるというもので、しかも1つにつき+2/+2と修正値も大きい。またジョブ選択によりこれ自身がクリーチャーを兼ねるため、装備品デッキにおいて度々発生する「装備はタップリ入れたいが、クリーチャーの枠が……」「クリーチャーをある程度採用しなければならないが、装備品が引けないのも困る」というようなジレンマに対する解答となってくれるだろう。他にもジョブ選択を持つ装備を揃えたデッキにすることで、それらをそのまま英雄に装備させるも良し、他のクリーチャーにつけかけて飛行や速攻を活かすも良しだ。

 

 続いては赤の装備品関係カードを確認。《ブルメシアの竜騎士、フライヤ》は1マナ1/1と小柄だが、赤のクリーチャーには珍しくこのコストで飛行持ちだ。自分のターンにしかジャンプは機能しないため、攻めの飛行というところ。そしてフライヤは貴重なマナ・クリーチャーだ。赤マナを加えられるため、1ターン目に出しておければ以降の展開がグッと楽になる。装備品呪文を唱えるか、装備品の能力の起動=装備コストの支払いなどにしか使えないマナではあるが、前述の通り装備品でありながらクリーチャーでもあるジョブ選択持ちを唱えればクリーチャーも展開できる。2ターン目《「侍」の刀》と動ければかなりのプレッシャーになるね。

 また装備に関するカードとして、装備コストを払わずにクリーチャーに装備品を持たせるカードというのも重要だ。《アラミゴの猛牛、ラウバーン》は攻撃するだけでなんでも装備させられる。クリーチャーを展開し、同時に装備品も並べ、そのうえ装備コストを支払うというのは……マナの面で難しいことも多い。ラウバーンはその中でも最も煩わしい装備コストを無視出来るため、スムーズな攻めを炸裂させてくれるだろう。《バスターソード》を装備してアドバンテージ獲得、《力線の斧》などで打点を一気に上昇!なんでもござれだ。

 

 装備品の誘発型能力をクラウドで増やす、という点で見ると……『ファウンデーションズ』にあった!《冒険者の装具》!この装備品は土地を戦場に出すことで誘発する上陸能力持ちで、それによってクリーチャーを+2/+2修正する。ターン終了時までという期限付きで、かつ上陸以外ではクリーチャーを強化しないという短所はある。しかしこの軽さでサイズが二段階上がるというのは魅力的であり、また何かによって土地を戦場に出して1ターンに2回以上の誘発を引き起こせば、クールすぎる大ダメージを叩き込める。この上陸は《進化する未開地》で引き起こしてやれば良いだろう。クラウドが装備することで上陸が倍誘発するので、瞬殺パターンも起こり得る。

岩SHOW - 「ボロス(赤白)装備」
『ファウンデーションズ』+『マジック:ザ・ギャザリング——FINAL FANTASY』 (2025年6月19日)[MO] [ARENA]
4 《進化する未開地
2 《王都ラバナスタ
9 《平地
8 《
-土地(23)-

2 《ザックス・フェア
3 《ブルメシアの竜騎士、フライヤ
3 《ミッドガルの傭兵、クラウド
3 《アラミゴの猛牛、ラウバーン
1 《ドワーフの王、ジオット
2 《プルート隊隊長、スタイナー
1 《のばらの義士、フリオニール
-クリーチャー(15)-
4 《噴出の稲妻
3 《冒険者の装具
3 《「竜騎士」の両手槍
4 《「侍」の刀
2 《バスターソード
2 《力線の斧
4 《「機工士」の装備
-呪文(22)-

 

 というわけで装備品とそれに関する能力持ったクリーチャーでまとめた「ボロス(赤白)装備」のサンプルリストはこんな感じに。クラウドで装備をサーチ、フライヤで展開し、ラウバーンで装備してスタイナーで殴る!ゲーム本編では見られないようなクールムーブをマジックで炸裂させよう!

 今回構築したのは特殊フォーマットのデッキではあるが、そのままスタンダードにも流用できる。カードプールが拡がることで選択肢も増え、デッキ構築がより楽しくなるだろう。FFをきっかけにマジックを始めるプレイヤーが近くにいたら、いきなりあれこれ覚えるのは大変なので、こういう形で段階を経ながらマジックの多元宇宙に導いてあげて欲しいなと、切に願っている!それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Buster Sword‼

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