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岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:満潮の時、ハイタイド(レガシー)
マジックのカードやデッキにフォーカスし、それらについて語ることでこのクールなコンテンツの真髄に浸る……それが今週のCool Deckのコーナー。今回はこの原稿を作成した週に起きたクールな変更について語ろう。
レアリティがコモンであるカードのみを用いてデッキを構築し対戦するフォーマット、パウパー。このフォーマットはMagic Onlineにてそれこそ20年近くの長きにわたって遊ばれ続けているが、実は公認フォーマットとなったのは2019年からである。公認フォーマットとなったことで店舗などで紙のカード使った公式の大会が開催できるようになり、それまでごく一部のプレイヤーしか親しんでいなかったものが表舞台で遊ばれるようになった。
この2019年の公認フォーマット化に際して、いくつかのカードが禁止カードに指定された。それはMagic Online上ではアンコモンでしか存在しなかったり、そもそもデータが存在しなかったため問題が起こらなかったが、紙のカードではコモンだったため使用可能になってしまうというイレギュラーな事態に対処するためであった。
コモンと呼ぶには少々危険すぎると判断されたカードたちの1つが《満潮》だ。『ドミナリア・リマスター』により日本語名を得たため、まだなじみがない呼び方ではあるね。「High Tide」の方がしっくりくるだろう。このインスタントはターン終了時まで、島をタップすると得られるマナが青マナ1つ分増えるという、特殊なマナ加速だ。これを唱えた後に、《フェアリーの大群》《流浪のドレイク》《断絶》といった土地を複数枚アンタップする処理を行う呪文……俗にいうフリースペルを用いることで、呪文を唱えたのに青マナが増えるという事態が起こる。これによりマナを大量に増やして色々とワルさをする「ハイタイド」系コンボがパウパーを支配することを懸念して、パウパー公認化の際に《満潮》は禁止となった。
そんなカードがこのタイミングで解禁されることとなった。これをクールと言わずしてなんというのか。
2 《溢れかえる岸辺》 2 《汚染された三角州》 2 《沸騰する小湖》 2 《霧深い雨林》 1 《神秘の聖域》 6 《島》 -土地(15)- 4 《フェアリーの大群》 2 《呪文探求者》 -クリーチャー(6)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 4 《ロリアンの発見》 4 《意志の力》 1 《残響する真実》 4 《サファイアの大メダル》 4 《満潮》 4 《断絶》 4 《時のらせん》 4 《精神の願望》 1 《思考停止》 1 《神秘を操る者、ジェイス》 -呪文(39)- |
3 《防御の光網》 1 《蒸気の連鎖》 1 《残響する真実》 1 《拭い捨て》 1 《ハーキルの召還術》 3 《狼狽の嵐》 1 《墓掘りの檻》 1 《魂標ランタン》 1 《外科的摘出》 2 《テフェリーの世界》 -サイドボード(15)- |
「ハイタイド」といえば一時期はレガシーにおけるコンボデッキの頂点に君臨したこともあった。最近はその数をめっきり減らしてはいるが、だからと言って絶滅したなんてことはなく。忘れたような頃に大会結果でその名を見つけて、なんだかクールな気持ちになるのだ。
というわけで今回はブラジルの大会で上位入賞した「ハイタイド」の2025年モデルをご紹介。《サファイアの大メダル》を搭載し、《満潮》下で先ほど触れたフリースペルの不特定マナを軽減することでそれらを唱えた時により多くのマナが得られるようになっている。《フェアリーの大群》を出してそれを《断絶》で戻し……という動きでマナを伸ばし、《時のらせん》で爆発的に殖やしながら手札を7枚にするという動きがパワフルかつクールで、実にハイタイド感に溢れている。
マナを増やしながらドローを進めて、最終的には《精神の願望》へと到達することが狙い。このストーム呪文はそのターンに唱えられた呪文の数だけコピーされ、そしてそれぞれがライブラリーの上を追放してそのカードをマナを支払わずにプレイさせてくれる。もちろん願望から願望に繋がることもあり、そうなるともう一体何が何だかわからなくなる。そうやって大量の呪文を唱えまくった先にクールな勝利が待っている。同じストーム呪文である《思考停止》で対戦相手のライブラリーを空っぽにしてライブラリーアウト負けをもたらすか、あるいはそれが通用しない相手なら自身のライブラリーを引き切ったり《思考停止》することでセルフ・ライブラリーアウトによる《神秘を操る者、ジェイス》で特殊勝利するか。いずれにせよススタイリッシュかつクールな勝利だ。
サイドボードにもクールな要素が。《テフェリーの世界》!このエンチャントは各ターン、そのプレイヤーはカードタイプを1つ指定。それに該当するものがトークン以外すべてフェイズ・アウトする……つまりまとめて無視できるというニッチな挙動を披露する。
これは対戦相手のコンボ対策への対策だ。《虚空の杯》や《三なる宝球》を置いてコンボを封じる、《スレイベンの守護者、サリア》《オークの弓使い》での嫌がらせ……そういったパーマネントでのコンボ妨害に対して1つ1つ対処してはキリがないため、このエンチャントで特定のタイプをまとめて無視!残る別タイプのパーマネントに《残響する真実》などのバウンスを用いることで、安心安全なハイタイドライフを送ろうと……いやぁクールなカードがこの時代に使われているもんだなぁ。
青単色、土地は《島》ばかりという構成がクールな「ハイタイド」。パウパーにて《満潮》が解禁されたことで目にする機会が増えるだろうか?コモンのみでどうやってマナを増やして勝利するのか、考えてみるのもクールな時間となるだろう。
それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Watch out for high tide!
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