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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

《再利用隔室》デッキに搭載された爆弾と新カードの話(スタンダード)

岩SHOW


 『タルキール:龍嵐録』公式発売直前!新セットを迎えるその前に『霊気走破』がスタンダードにもたらしたデッキを確認しておこう。このセットは環境最初期こそレアカードが目立たないスロースターターなセットだったが、最終盤には『霊気走破』あってこそというアーキタイプを生み出した!その全貌を見届けて次の環境を迎えよう。

TheManLand - 「イゼット再利用隔室」
Magic Online Standard Challenge 準優勝 / スタンダード (2025年2月24日)[MO] [ARENA]
4 《シヴの浅瀬
4 《尖塔断の運河
4 《リバーパイアーの境界
1 《フォモーリの宝物庫
6 《
5 《
-土地(24)-

3 《スランの蜘蛛
4 《記録の守護者
-クリーチャー(7)-
4 《塔の点火
4 《奇怪な宝石
4 《軍団の成形機械
2 《チェーンソー
2 《精神迷わせの秘本
2 《蒐集家の保管庫
4 《再利用隔室
4 《身代わり合成機
2 《爆弾車
1 《光輝の睡蓮
-呪文(29)-
3 《石術の連射
2 《紅蓮地獄
2 《否認
2 《幽体の干渉
2 《精神迷わせの秘本
2 《最初の平等者、アカル・パカル
2 《編まれた網
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 これはイゼット(青赤)カラーのアーティファクト主体デッキ、主役は《再利用隔室》!アーティファクトを生け贄にすることでそれよりもマナ総量が1つ大きいアーティファクトを探してきて戦場に出す。これにより2マナのアーティファクトを生け贄に捧げてもう1つの主役である《身代わり合成機》を戦場に確保。以降は3マナ以上のアーティファクトのサーチを繰り返すことで合成機が構築物を生成、これはアーティファクトの数だけのパワー/タフネスを持つので、並べば並ぶほど強固な盤面に。この構築物軍団や《記録の守護者》での制圧を《チェーンソー》などでサポートする……というのがこの《再利用隔室》のメイン戦術だ。

 

 そしてこのデッキのもう1つの勝ち筋、文字通りの秘密兵器が《爆弾車》。この機体は消尽という一度だけ起動できる能力を持つ。Xマナを支払い、+1/+1カウンターを乗せつつX点のダメージを任意の対象に与える。プレイヤーにも飛ばすことができるので、大量のマナを用意できればこれでライフを吹き飛ばしてフィニッシュというドでかい爆弾を炸裂させることも可能……でも現実的にどうやってマナを用意するべきか?X以外のコストも考えれば、4マナ払ってやっと1点だ。

 これで大ダメージ飛ばすために必要なものは、これまた『霊気走破』の《光輝の睡蓮》!アーティファクトを生け贄に捧げて、その1枚につき3マナを加えるという強烈なマナ加速である。アーティファクトがずらずらと並ぶこのデッキであれば、二桁のマナを加えるのも容易いだろう。これを1枚デッキに忍ばせて《再利用隔室》→《記録の守護者》の生け贄によりサーチして、全てを注ぎ込んで大爆発を巻き起こせ!これぞファンキーでクレイジーな『霊気走破』の魅力が詰まったコンボだ。

 さて、そんな《再利用隔室》《身代わり合成機》デッキが『タルキール:龍嵐録』から得られる新戦力はあるだろうか?候補となるカードをピックアップしてみよう。

 

 『タルキール龍紀伝』が世に送り出したスーパーカード《集合した中隊》。今回のセットもタルキールらしく、この中隊と似た挙動のカードが登場。《団結の最前線》は4マナでライブラリーの上から6枚見て、その中から3マナ以下のパーマネントを戦場に出す…実に中隊チックな呪文だが、元祖とは異なりクリーチャーでも土地でもないパーマネントというくくりになっている。クリーチャーを2体出せ、クリーチャー主体のデッキであれば一気に強い盤面が作れた中隊に対してこの最前線はデッキ構築の段階から工夫が必要になるが……《再利用隔室》や《身代わり合成機》、《チェーンソー》といったものを出せればそれはそれで中隊にはできない強い動きが出来るというものだ。

一時的封鎖》を探して盤面リセットなど、このソーサリーのポテンシャルはかなり高い。青を軸にサブカラーを白にしたり、あるいは今回紹介したイゼットに白を足してジェスカイカラーにする価値は大いにあると言えるね。

 

 白を足してジェスカイにするなら《ジェスカイの碑》も推しておこう。これが戦場に出た時に島・山・平地のいずれかを探してきて手札に加えることができる。3色デッキのマナ基盤を整える働きをし、そのまま盤面に残ってくれるので《再利用隔室》に放り込んで3マナアーティファクトの素材にしたり、《塔の点火》のコストに充ててダメージを上昇させるのがスマートな運用法だ。終盤には鳥を生成するモードにもお世話になるかもしれない。他の氏族の碑もこうやって生け贄に捧げるデッキで用いる可能性は大いにある。

 

 またこのデッキが採用するのではなく、対抗するために他のデッキがサイドに潜ませるカードの候補も1つ増えることに。《鳴り渡る龍哮の征服者》……アーティファクトの起動型能力が起動できない、だと?《身代わり合成機》などの誘発型能力はおとがめなしなので詰んでしまうというわけではないが、それでも《再利用隔室》などの起動を封じられるのは辛い。しっかりとこのドラゴンを除去する手段は確保しておかなければ。やっぱり《塔の点火》は外せないな。

 『霊気走破』により確立されたアーキタイプ、イゼットなど各色の《再利用隔室》デッキ。タルキールのテーマにアーティファクトは含まれてはいないが、だからと言ってこのデッキが次期スタンダードで活躍しないというわけではない。むしろ環境終盤に組みあがり、ここからさらに完成度を増したデッキを目指したチューンされていくことだろう。アーティファクトをガチャガチャやるデッキ、めっちゃ楽しいので皆も組んでみよう!

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