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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ジェスカイ眼魔:手札を捨てる新カードをチェック!(スタンダード)

岩SHOW
 

 『タルキール覇王譚』から10年以上の時間が経過した。このセットは革新的だったなぁ。なにせはじめて楔3色……カードの背面の5色の表示において並び合わない3色の組み合わせをテーマにしたセットだった。

 それらの3色は氏族というタルキール次元の勢力であり、それぞれに小さなテーマを与えられていた。白黒赤のマルドゥ、青赤緑のティムール、白黒緑のアブザン、白青赤のジェスカイ、青黒緑のスゥルタイ……この氏族名はそのままそれらの3色のデッキを示すマジック用語として定着した。氏族名10周年を迎えて、ここにきてタルキールに回帰する『タルキール:龍嵐録』のリリースとは感慨深いものがあるね。

 プレビューで公開された新カード情報を元に、スタンダードのデッキを考える……いつもの定番のやつを今セットでもいってみよう。というわけでどの氏族をテーマにデッキを考えるか……まずは現スタンダードにおける3色デッキを振り返ってみることから始めよう。ちょうどあるんだな、あの氏族カラーのナイスなデッキが。

SalazarNaito - 「ジェスカイ眼魔」
Magic Online Standard League 5-0 / スタンダード (2025年3月24日)[MO] [ARENA]
4 《シヴの浅瀬
2 《アダーカー荒原
2 《戦場の鍛冶場
4 《尖塔断の運河
4 《金属海の沿岸
4 《感動的な眺望所
2 《轟音の滝
-土地(22)-

4 《遠眼鏡のセイレーン
4 《逸失への恐怖
3 《太陽の執事長、インティ
4 《忌まわしき眼魔
4 《蒸気核の学者
-クリーチャー(19)-
4 《塔の点火
1 《跳ね弾き
1 《洪水の大口へ
2 《呪文貫き
2 《苦々しい再会
4 《救いの手
2 《再稼働
3 《プロフトの映像記憶
-呪文(19)-
2 《紅蓮地獄
2 《兄弟仲の終焉
3 《邪悪を打ち砕く
2 《金線の酒杯
2 《否認
1 《除霊用掃除機
3 《灯を追う者、チャンドラ
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 「ジェスカイ眼魔」!対戦相手のアップキープに戦慄予示を行いクリーチャーを増やし、放っておけば手の付けられない盤面を作り上げてしまう恐怖の存在……本人も5/5飛行と戦闘に向き過ぎなハイスペックの持ち主で、マナ総量はたったの3と低コスト!しかしながら唱えるには墓地にカードが6枚ある必要があり、それらを追放するためなかなか唱えるハードルは高い……これをクリアするために《逸失への恐怖》《蒸気核の学者》といった手札を捨てる類のカードを青と赤から集結させ、墓地を肥やす。

 また眼魔などのクリーチャーを捨ててそれを《救いの手》《再稼働》ラ白の低コストリアニメイト呪文で戦場に出すというショートカットも用いて、早いターンに眼魔を降臨させる。そうやってお手軽眼魔で勝負するのが「ジェスカイ眼魔」だ。プロツアーでも活躍し、確かな実力を持つこのアーキタイプ。タルキール参入によりどのようなカードを迎え入れる可能性があるだろうか?

 

 タルキールの新カードを見る際に、カードギャラリーで「捨て」で検索してみた。カードを引いてカードを捨てる、あるいはその逆のアクションを行う手札入れ替えカード……通称ルーター。このルーターの中でも《蒸気核の学者》のように優秀なものを用いることが眼魔デッキの強さを左右することは明らかだ。

 さてタルキールにそれに該当するカードは……あった!《光砕く者、テルサ》!新たな伝説のオークは手札を最大2枚捨て、それに等しい枚数のカードを引くことができる。眼魔を捨ててそれを釣り上げる呪文を引いたり、不要カードを捨ててそれをコストに唱える眼魔を引き込んだり……というアクションを狙っていける。

 本人も3/3速攻と攻めっ気が強く、しかも攻撃するとさらに能力誘発のチャンス。墓地に7枚以上のカードがある時に攻撃すると、その中からランダムに1枚を追放。そのカードをプレイすることができるという変則的なアドバンテージをもたらす。土地を追放してそれを出す、除去やドローを使いまわす、そして勿論眼魔やリアニメイトを……と夢が拡がる。無作為に追放してくれるカードが都合の良いものかどうかはわからないが「7枚以上ある時に」という条件が墓地6枚をコストとして要求する眼魔とはがっちり噛み合っている。

 また《プロフトの映像記憶》との相性も中々だ。映像記憶は自分のターンに2枚以上カードを引くことでクリーチャーを強化することができる。映像記憶がある状態でテルサが戦場に出れば、マックスで5/5まで狙えるというのだから、速攻と相まってかなりのパンチ力。これが最速3ターン目に狙えるというのは眼魔デッキにさらなる強襲プランをもたらすのではないだろうか。

岩SHOW - 「ジェスカイ眼魔(仮)」
スタンダード(『タルキール:龍嵐録』発売後) (2025年3月27日)[MO] [ARENA]
4 《シヴの浅瀬
2 《アダーカー荒原
2 《戦場の鍛冶場
4 《尖塔断の運河
4 《金属海の沿岸
4 《感動的な眺望所
2 《轟音の滝
-土地(22)-

4 《遠眼鏡のセイレーン
4 《逸失への恐怖
2 《太陽の執事長、インティ
4 《忌まわしき眼魔
4 《蒸気核の学者
3 《光砕く者、テルサ
-クリーチャー(21)-
4 《塔の点火
1 《洪水の大口へ
3 《冬夜の物語
4 《救いの手
2 《再稼働
3 《プロフトの映像記憶
-呪文(17)-

 

 

 というわけで新カードをお試し採用した「ジェスカイ眼魔」のサンプルリストだ。テルサ以外に新たな手札を捨てるカードとして《冬夜の物語》を投入。このソーサリーは3ドローし、手札を2枚捨てるかクリーチャーカード1枚を捨てるかというソーサリー。手札の枚数を増やしつつ墓地も肥やせる、眼魔デッキの戦法を押し進める1枚であり、かつ眼魔を戦場に出した後にも機能する点が面白い。

 このカードは新能力である調和を持っている。これが書かれたカードは指定されたコストを支払うことで墓地から唱えられ、そのコストである不特定マナはクリーチャーをタップすることで軽減できる。参照するのはそのクリーチャーのパワーだ。この物語の不特定マナは{4}なので、眼魔をタップすることで青マナ一つで墓地から唱えられてしまうと……これは結構狙って決められるのではないかな。次なるリアニメイト候補を埋めるなりしつつ手札を満たし、もし眼魔にすぐ対処されても二の矢三の矢で勝負できる。眼魔デッキにさらなるスタミナを充てる要素になってくれそうな予感!

 というわけでジェスカイ・カラーのデッキを紹介したわけだが、取り入れた新カードはマルドゥにティムールと関係ない氏族のものなのがまたタルキールの面白さを体感できるポイントだと思う。それぞれの氏族のカードオンリーでデッキを組む必要はなく、良いとこどりの3色デッキを組めば良いのだ。というわけで各氏族の特性を見極めて、君のデッキを次期スタンダード仕様にアップグレードしていこう!

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