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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

禁断の領域、墓地に踏み込むゴルガリ!(スタンダード)

岩SHOW
 

 怖い話は好きかい?ホラー作品の定番中の定番のシチュエーションといったら色々あるけども、禁断の儀式に手を出してしまうタイプのやつが昔も今も大人気ね。生きている人を呪ったり、亡くなった人を蘇らせるなどの、倫理的にやってはいけないとわかるタイプの禁忌を破ると、取り返しのつかない災いが……というパターン。特に命に関するものは悲惨な結果を招きがち。人間が生と死を操ろうなんておこがましいことをしちゃいけない……のだけども、どうしてもというならマジックでやればいい。

 黒と緑、ゴルガリと呼ばれるカラーは何の躊躇もなくこの禁断の領域に踏み込んでいく。墓地という死んだ者が収められる場所、そこを扱うカードが多く存在し自然と墓地利用デッキもゴルガリ・カラーになりがちだ。墓を掘り返して何かしようだなんておっかねぇ…でもちょっと興味はあるかも……そんな好奇心を満たしてくれるデッキを紹介しよう!

Ben Nordmeyer - 「ゴルガリ陰湿な根」
地域チャンピオンシップ予選(アメリカ合衆国・エイムズ) 2位 / スタンダード (2025年3月8日)[MO] [ARENA]
4 《ラノワールの荒原
4 《花盛りの湿地
4 《ウェイストウッドの境界
2 《地底の遺体安置所
2 《
4 《
-土地(20)-

4 《脱皮の世話人
4 《ラノワールのエルフ
4 《うなる大殺犬
2 《機能不全ダニ
3 《瓦礫帯の異端者
2 《漁る軟泥
1 《ヴォルダーレンの興奮探し
1 《ハナグマのあさり屋
4 《ベイルマークの大主
1 《開拓者、おたから
-クリーチャー(26)-
3 《蓄え放題
3 《アガサの魂の大釜
4 《陰湿な根
4 《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー
-呪文(14)-
2 《苦痛ある選定
3 《苦難の収穫者
2 《機能不全ダニ
1 《腐れ花
2 《大洞窟のコウモリ
2 《グリッサ・サンスレイヤー
2 《漁る軟泥
1 《ヴェールのリリアナ
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 スタンダードの《陰湿な根》デッキ!このエンチャントはクリーチャー・カードが自分の墓地から別の領域に移動することで能力が誘発し、植物・トークンを生成する。「墓地から離れる」と表現される領域の移動は、墓地から追放されたり手札に戻ることを意味している。その条件を満たして生成される植物は0/1とこれだけでは戦力にはならないが、その植物が生成された後に+1/+1カウンターが置かれて強化される。しかもこのカウンターはすべての植物に乗せられるため、値を誘発させればさせるほど強力な盤面になっていく。6/7以上のサイズになって盤面を闊歩する様は圧巻だ。このエンチャントはトークンにマナを加える能力まで与えるという能力の詰め合わせっぷり。

 そしてそのマナ能力とも相性が良く、クリーチャーを墓地から移動させる能力の持ち主なのが《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》。彼の[-2]能力はライブラリーを切削した後に墓地から2マナ以下のクリーチャーをリアニメイトする。そうしてクリーチャーが墓地を離れたことで植物を生成する。しかもクリーチャーは速攻を持つかのようにタップ能力を起動できるようになるので、こうして得た植物からすぐにマナを加えられる。さらに[+1]能力もクリーチャーアンタップで植物から2マナ加えられるようになる……セットで使えと言わんばかりの2枚ではないか。

 というわけで根とダイヴァーをセットにし、他にクリーチャー及びそれらを墓地に送るための《うなる大殺犬》《蓄え放題》《ベイルマークの大主》といったカードをたっぷり詰め込んだのが《陰湿な根》デッキの基本だ。墓地から蔓延る根で戦場を覆い尽くせ!

 

 墓地からクリーチャーを離れさせるための要素として《アガサの魂の大釜》を採用。これはただ墓地を追放するだけでなく、クリーチャーにカウンターを乗せて強化。また追放したクリーチャーの起動型能力をそれらのカウンター持ちに与えるという唯一無二の挙動を見せる。

 植物・トークンらにはカウンターが乗っているため、全トークンが起動型能力を得ることになる。《脱皮の世話人》などは墓地を作り、また墓地を追放する要素として非上位に優秀な1マナ圏だが、墓地に落ちても大釜の餌として最適。タイヴァーで実質的な速攻を持ったトークンらが、出てきてすぐに切削し墓地追放してどんどんと繁殖していく様は圧巻だ。また《ヴォルダーレンの興奮探し》《開拓者、おたから》といった隠し味も添えられており、植物などがこれらの能力を得れば……ドローにダメージにとやりたい放題だ。

 このデッキは回った時の満足感はすさまじいが、《陰湿な根》を引けなかった時のどうしようもなさもまた併せ持っている。文字通り手も足も出ずに負けることも多々。そういうところもまたご愛嬌というか、生と死を扱おうとする禁忌を破ったバチが当たったという感じ(笑)。楽しさ、激しさ、強さに脆さと全部そろった刺激的なデッキ、君には墓を掘り返す覚悟があるかな?

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