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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:2024年の顔、ボロス・エネルギーにあのコンボが……(モダン)

岩SHOW


 毎週金曜日はマジックのデッキをクールという観点から分析・解説するCool Deckのコーナーだ。今回は2024年最終更新。年内最後のクールを語るわけで、どのデッキを持ってくるべきか迷うな……今年もマジック的には本当にいろんなことがあった。クールに盛り上がった1年だったね。どこに注目するべきか悩ましいが……やっぱり『モダンホライゾン3』のリリースは特大のイベントだったなぁ。

 

 スタンダードを経由せずにモダンやエターナル環境にて使用可能なカードをリリースするモダンホライゾン系セット。その第三弾が今年のマジックを語る上で外せないクールな存在であることは間違いない。特に《有翼の叡智、ナドゥ》は驚きの勝率、使用率のコンボデッキを生み出し、モダン環境を支配してしまった。故に最終的には禁止カードに指定されてしまった……なのでこのカード及びそれが生み出したデッキの衝撃を知るのは、2024年にモダンをプレイしていた人々のみということになる。後世に「あの頃は凄かったぞ」と語れるイベントだったわけだ。マジックのこういうところ、クールだと思うぜ。

回転

 

 ナドゥが去ってもモダホラ3がもたらしたカードは《知りたがりの学徒、タミヨウ》《日を浴びる繁殖鱗》《モンスーンの魔道士、ラル》《空の怒り》《コジレックの命令》《攪乱のフルート》……挙げていけばキリがない。沢山のカードがモダン環境を根本から変化させた。リリース前には「過去のモダホラに比べておとなしそうなセットだ」なんて意見も多数目にしたんだけども、そんな予想も覆すモンスター・セットだった。こういう予測できないことこそクール。

 

 そして予測不能といえば……2024年の12月、この激動の年の最後を締めくくるにふさわしい、特大のイベントが!禁止制限の告知において、新たな禁止カードが発表……そして、さらに禁止が解除されるカードも4種類発表された。どういうことか、クールにまとめれば「昨日までとは別ゲー」ってことだ。この禁止解除において世間を最も沸かせた1枚は《欠片の双子》だろう。このカードに青春を感じていたプレイヤー達は、感慨深そうに歓喜の声をあげ早くもデッキリストの考察を開始していた。そんな光景を目にすると、クールなデッキが誕生することに期待しちゃうね。

 《欠片の双子》はかつてはモダンを代表するカード、そしてそれを搭載したデッキもまた環境の顔だった。これを貼ったクリーチャーをアンタップすると、速攻を持ったそれのコピーを生成できる。これを《詐欺師の総督》のようなクリーチャーをアンタップする能力持ちに貼り付けることで、タップしてコピー生成→トークンの能力でコピー元をアンタップ→好きなだけ繰り返して速攻軍団で攻撃!という2枚でゲームに勝てるコンボが完成する。たった2枚で即勝利、そのお手軽さに当時のプレイヤーは魅了され、あるいは悩まされたものだ。このクールなエンチャントが長き禁止から解き放たれてまた再びモダンでコピーを生成する……2024年のトリを担うのは、解禁されて即座に組まれたこのリストだ!

bamzing - 「エネルギー・ツイン」
Magic Online Modern League 5-0 / モダン (2024年12月17日)[MO] [ARENA]
4 《乾燥台地
4 《湿地の干潟
1 《溢れかえる岸辺
3 《聖なる鋳造所
2 《優雅な談話室
3 《霊気拠点
3 《栄光の闘技場
2 《平地
1 《
-土地(23)-

4 《魂の導き手
4 《オセロットの群れ
4 《ナカティルの最下層民、アジャニ
4 《火の怒りのタイタン、フレージ
4 《村の鐘鳴らし
-クリーチャー(20)-
4 《電気放出
3 《稲妻
4 《静牢
2 《ゴブリンの砲撃
4 《欠片の双子
-呪文(17)-
2 《岩への繋ぎ止め
2 《悪魔祓い
3 《石のような静寂
2 《耳の痛い静寂
3 《安らかなる眠り
3 《黒曜石の焦がし口
-サイドボード(15)-
X より引用)

 

 

 ボロス(赤白)カラーのエネルギーデッキ!これも2024年を象徴するクールなデッキの一つだ。今年、モダンでエネルギーデッキが天下を取るなど、年の初めに誰が予想しただろうか。クリーチャーを戦場に出すだけでエネルギーが得られる《魂の導き手》を主軸とし、軽量クリーチャーを展開してエネルギーを確保。そうして得たエネルギーはクリーチャー攻撃時に消費、クリーチャーを天使にして超強化して殴り倒す!あるいは《電気放出》で除去したり、同じく除去であり《静牢》の維持コストにしたりと、使い道には困らずあればあるだけゲームが有利になっていく。

 エネルギーというクールな概念が『モダンホライゾン3』で大幅に強化され、《オセロットの群れ》《火の怒りのタイタン、フレージ》など導き手と相性が良い同セットの新カードがびっしり並んだリストがモダンの大定番として定着した……そんな1年だったなぁ。

回転

 

 モダホラ3の象徴的なカードの一つが《ナカティルの最下層民、アジャニ》。クリーチャーがプレインズウォーカーに変身する、クールなサイクルの1枠を担っている。アジャニは兄の死を受けて怒り、それによりプレインズウォーカーとしての能力が覚醒した。このイベントを再現するべくカードもデザインされており、戦場に出ると2/1の猫・トークンを生成。猫が死亡すると《ナカティルの報復者、アジャニ》に変身。これがトークン生成にダメージを与えてと、兎に角優秀。この強烈な条件を満たすためにトークンを戦闘に参加させるわけだが……対戦相手がわざわざこれをブロックしたり、ブロックされるような攻撃なんてしてくれない。

 なので組み合わせて用いるのが《ゴブリンの砲撃》。これで適当な猫を生け贄に捧げてダメージを飛ばせば……アジャニが復讐心によりプレインズウォーカーに。いや、マッチポンプにも程があるだろ!という逆恨み変身コンボが、今や世界中のテーブルとオンライン上で飛び交っている。これをクールと思うかは人次第ではあるが、実にマジックらしい話ではある。アジャニとも砲撃とも相性が良いのが《オセロットの群れ》。ライフを得ると猫を生成し、パーマネントの数が10を超えるとそのターンに生成したトークンが倍になる。このオセロットと《魂の導き手》でライフを得て猫を並べ、アジャニ変身のためのセットアップ。数が並べば砲撃で投げまくって除去したりライフを詰めたり……猫砲撃でクールに勝負を決める!

 

 さて、このデッキに《欠片の双子》が投入されるという、まさかの展開になったわけだ。貼り付ける対象として抜擢されたのは《村の鐘鳴らし》。戦場に出た時に全てのクリーチャーをアンタップするため、これに双子を貼ればコピーを作り続けることが可能だ。瞬速を持つため、対戦相手のターン終了時にシュッと滑り込ませて続く自ターンで双子を貼って勝ち、というクールでスマートな形でコンボを決められる。タフネスも4なので《稲妻》などで対処されにくいところも嬉しい。

 この鐘鳴らしと双子を4枚ずつ、ストンとエネルギーデッキに放り込んだだけといえばそれまでだが……このリストでMagic Onlineのリーグ戦を全勝しているとのことなので、強いデッキに強いコンボを盛り込むことはクールな結果に繋がるということが証明されたわけだ。2024年を象徴するアーキタイプに、同年最後のサプライズが加わり……年内最後に紹介するデッキとしてはこの上なくおあつらえ向きだ。

 さて、今年もクールなデッキの数々を紹介してきたわけだが、楽しんでもらえたかな?皆の年末年始もクールなものになることを願っているよ。温かい室内、居心地の良い空間、美味い食事に、同じ時間を共有する仲間、そしてそこにマジックがあれば……クールな時空の完成だ。それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Happy new year!!

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