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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

全知森林コンボ:彼を知り己を知れば百戦殆からず(モダン)

岩SHOW
 

 「彼を知り己を知れば百戦殆からず(かをしりおのれをしればひゃくせんあやうからず)」というのは孫子の言葉。彼とは敵のことで、敵味方両方の情勢を把握したうえで戦えば、負けることはないという意味である。敵味方の全てを知る……確かに、マジックでもそうだ。相手のデッキと自分のデッキが分かっていても、勝敗は何とも言えないところではあるが……全てを知った状態、すなわち《全知》を戦場に出すことができれば、そのゲームは買ったも同然と言えるだろう。

 《全知》は手札から呪文を唱える際、マナが不要になる。どんな重い呪文もノーコスト、手札がある限り呪文を連打できる。こんな状態になったら、何をしようかな……いやいや、全てを知った後のことは極論、なんだって良い。肝心なのは、どうやって《全知》を戦場に用意するか、これに尽きる。何せ10マナだ、唱えて出すというのは現実的な提案ではない。《全知》でコストを踏み倒す前に、まずこれ自体のコストを何かしらの形で踏み倒さなければならない。レガシーであれば《実物提示教育》からスッと出せば、後はご自由にというところ。ではモダンでは……最近、面白いデッキが存在感を発揮している。今回はそのリストを紹介しよう。

ScreenwriterNY - 「変容する森林コンボ」
Magic Online Modern Challenge 32 13位 / モダン (2024年12月2日)[MO] [ARENA]
4 《霧深い雨林
2 《汚染された三角州
2 《沸騰する小湖
2 《繁殖池
2 《迷路庭園
1 《セファリッドの円形競技場
1 《耐え抜くもの、母聖樹
4 《変容する森林
2 《
1 《
-土地(21)-

4 《ファラジの考古学者
4 《悲劇の神託者
1 《上げ潮、キオーラ
1 《グリセルブランド
-クリーチャー(10)-
1 《朦朧への没入
3 《呪文嵌め
4 《拒絶の閃光
4 《定業
2 《ウルヴェンワルド横断
4 《邪悪鳴らし
4 《一つの指輪
4 《全知
3 《大いなる創造者、カーン
-呪文(29)-
3 《記憶への放逐
2 《四肢切断
1 《洪水の大口へ
2 《自然の要求
2 《攪乱のフルート
2 《機能不全ダニ
1 《トーモッドの墓所
1 《霊気貯蔵器
1 《祖先の像
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 モダンの《変容する森林》コンボ!この土地は昂揚という条件を達成すると、墓地のカードのコピーとなることができる。昂揚は墓地に4種類以上のカードタイプが揃うと達成される。つまりは、コピーする《全知》でエンチャントのタイプがカウントされるので、他のカードタイプをあと3種類用意すれば良い。というわけで手札を捨てたり、ライブラリーを切削や諜報するなど、青と緑の様々な手段で墓地にカードを送り込み、昂揚達成→森林起動で全知のコピー→手札の呪文を唱えまくり……というストーリーを辿ることを目的としたデッキだ。

 数々の墓地肥しカードの中でも、最も噛み合っているのは《邪悪鳴らし》。ライブラリーの上から4枚見てパーマネントを1枚手札に加えるソーサリーで、これで重要な森林を確保する。残りの3枚は墓地に置かれるので、これにより昂揚が大きく後押しされる。《邪悪鳴らし》自身のソーサリーがカウントされるので、これ1枚で昂揚も十分に起こり得る。そしてこのソーサリーはエルドラージ・落とし子も生成する。森林の起動には計4マナと、それなりにマナが必要だ。落とし子はこの起動もスムーズに促してくれるため、《邪悪鳴らし》1枚でコンボに必要なものが全部揃う!……かもしれない。

 

 さて、見事森林を全知化させることに成功したら……とにかくドロー呪文を唱え続けよう。《定業》《一つの指輪》などはもちろん、昂揚しているので《ウルヴェンワルド横断》も万能サーチに。そこから持ってくるのは《グリセルブランド》になるだろう、唱えて出したら7枚ドロー、ライフに余裕があればさらにもう7枚と引いて、フィニッシュへと向かおう。グリセルは墓地に落として森林でコピーするという手もある。相手のエンドにグリセル化してドロー、全知を墓地に落とす手段を探しに行くという動きも狙えるし、場合によっては7/7飛行+絆魂で殴り続けて勝ち、なんてパターンも。

 

 そうやって引き当てたいカードは《大いなる創造者、カーン》。カーンの[-2]能力でサイドボードからを手札に加えるのは《霊気貯蔵器》と《祖先の像》。貯蔵器は呪文を唱えるたびに、そのターンに唱えられた呪文の数だけライフを得る。そして50点支払えば対象に50点ダメージ。この豪快な一撃で勝利しようというわけだ。《祖先の像》は戦場に出ると、パーマネントを手札に戻す能力が誘発する。これで像自身を対象に取れば、戻る→唱えるを延々と繰り返せる。そうやって十分な量のライフを稼いだら貯蔵器で……ファイア!

 《全知》は10年以上の長きにわたって我々を魅了し続けている。このカードでマナコストを無視して手札から呪文を唱えることは、いつだってマジックプレイヤーのやりたいことリストの上位だ。《変容する森林》を用いるなど、各々のアプローチですべての知識へとアクセスしてほしい。そしてあとは相手のデッキについての知識を深めることが出来れば、大会優勝は現実のものとなるのだ。「彼を知り己を知れば百戦殆からず」の精神を大事にしていこう!

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