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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

文字通り蘇る青春、リアニメイト(スタンダード)

岩SHOW

 青春っていつのことなのだろうか?人生を四季に例えた時、その早い時期は春となる。陰陽五行説ではこの春を青で表すとのことで、それが由来とか……なんにせよ若い時期という説もあれば、どの時期どの期間というわけではなく心や精神の持ち方という説も……うーん。まあ広く一般には中学・高校生の時期が青春になるわな。皆はこの青春とされる期間、マジックをやっていたのかな?ぼくはまさしく、マジックはじめ趣味のことばかり考えて勉強が……な毎日だったなぁ。青春の1枚を選べ、と言われたら困るなぁ。あの頃に出会ったすべてのカード、すべてのデッキが青春の○○になるよ。

 そんな思い出深いカード達を青春の1枚と感じるのは、それらのカードが再録された時だ。最新のセット、その収録カードが発表された時にリストを眺めていて……「お、お前さん再録されたのかい」と、懐かしい名前に出会うと、強く実感するよなぁ。最近だと……

 

 『ファウンデーションズ』で《ゾンビ化》を見つけた時には「おお、我が青春の」と思わされた。《ゾンビ化》はカード名とやることがこの上なく直結しているわかりやすいソーサリーだ。墓地のクリーチャーを戦場に戻す。それだけだ。たったそれだけのことだが、他にテキストが書いていないことが強みでもある。墓地からクリーチャーを戦場に出す、リアニメイトと呼ばれるアクションを行う呪文は、クリーチャーを唱えるためのコストよりずっと効率の良いマナで戦場に出すことが狙える。その代償として……《再活性》のようにライフを失ったり、《動く死体》のようにクリーチャーのサイズを下げたり戦場を離れやすくなるデメリットを与えられたり……などなど、何かしらの見返りが求められる。しかし《ゾンビ化》は4マナと、特別に軽いコストではないおかげでデメリットも何もないという、素直過ぎるリアニメイト呪文として作られた。

 『オデッセイ』当時は画期的なカードであり、当時高校1年生だった僕は「こんなんリアニメとデッキ組むしかないだろ」と喜び勇んで、5マナ以上のクリーチャーをこれで釣り上げて遊んでいたものだ。そんな青春の1枚、《ゾンビ化》がスタンダードに帰ってきて……また日の目を浴びるのか?期待が高まる、最新のリアニメイトを紹介させていただこう!

VitorCarvalho01 - 「リアニメイト」
Magic Online Standard Showcase Challenge 15位 / スタンダード (2024年11月23日)[MO] [ARENA]
1 《コイロスの洞窟
1 《ヤヴィマヤの沿岸
4 《闇滑りの岸
4 《フラッドファームの境界
4 《グルームレイクの境界
1 《行き届いた書庫
4 《地底街の下水道
4 《薄暗い裏通り
1 《
1 《
-土地(25)-

1 《上げ潮、キオーラ
3 《フラッドピットの大主
2 《苦難の収穫者
3 《偉大なる統一者、アトラクサ
3 《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス
-クリーチャー(12)-
4 《切り崩し
4 《苦々しい勝利
1 《苦痛ある選定
1 《強迫
4 《三歩先
1 《論破
4 《ゾンビ化
4 《蛾の儀式
-呪文(23)-
2 《突き刺し
1 《苦痛ある選定
2 《悪魔祓い
3 《第三の道のロラン
2 《強迫
2 《否認
1 《ヴェールのリリアナ
2 《黙示録、シェオルドレッド
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 スタンダードでは以前よりリアニメイトデッキが組まれていた。《偉大なる統一者、アトラクサ》や《恐怖を喰うもの、ヴァルガヴォス》など、超強力大型クリーチャーがいるので、これらを釣り上げて勝負を決めるという戦略は理にかなっている。釣り上げるカード、そして墓地にクリーチャーを落とすカードの選択は様々。

 このリストはシンプルな《ゾンビ化》と、それにフラッシュバックがついた《蛾の儀式》を釣り竿に設定している。儀式の方が2度使えたり、手札から捨てるなどしても唱えられたりと強力ではあるのだが、その分色マナシンボルが濃いコストになっている。黒マナ1つさえあればマナベースの内容は問わない《ゾンビ化》と、それぞれの良さがあるというわけだ。これらの8枚体制で、《苦難の収穫者》で全体除去、アトラクサを釣って手札を増やし、ヴァルガヴォスで絶望の奈落に叩き落とすというリアニメイト・プランを遂行する!

 

 さて、リアニメイトにおいては釣り竿と同等、あるいはそれ以上に重要なのが墓地に当たりを仕込む手段。対戦相手の妨害などではなく、能動的に墓地を肥やす手段がなければ効果的なリアニメイトは成り立たない。切削や諜報などでライブラリーからカードを送り込む手段も多く取られるが……このデッキの主な仕込みは手札から捨てる、ディスカードというやつだ。《苦々しい勝利》や《苦難の収穫者》のようにコストとしてディスカードを要求するものもあれば、《三歩先》《論破》のように呪文の効果の中にドローしてディスカーを行うものもある。この手札入れ替えは、不要なカードともにお目当てのクリーチャーを埋めて、釣り竿やその他必要なものを手繰り寄せる、リアニメイトというコンセプトと噛み合ったアクションだ。

 最近徐々に評価が高まっている《フラッドピットの大主》もこれを行うものであり、兆候コストで出して獲物を捨てて、除去や竿を引き込みつつ、クリーチャー化するのを待ち……無事に攻撃出来れば更なるドローでアドバンテージを稼ぎ、もし除去されたら《ゾンビ化》などで釣る、とデッキに柔軟性をもたらしてくれる。他の巨大生物のせいでかすんではいるが、パワー5の飛行という時点で十分な脅威なことを忘れずに。

 そして2枚引いて2枚捨てる、手札をぐるりと回転させるのは《上げ潮、キオーラ》。この手の能力持ちにしては3/2と殴れるスペックなのも良いところだが、彼女はスレッショルド、即ち墓地に7枚以上カードがある状態を達成するとその真価を発揮する。この条件下で攻撃すると、8/8の伝説のタコ《深海の末裔》のトークンを生成。でっけぇ!釣り竿が打ち消されたりしても、仕込み役のカードが決定打になってくれるのは頼もしいね。キオーラを釣り上げるという展開だって起こり得るな。

 青春のカードが還ってくることで、人々の青春が蘇るかもしれない。マジックって長く続けるもんだなぁ。《ゾンビ化》に思い入れのある諸君も、今回初めて体験する皆も、ともにリアニメイトを楽しもうではないか。

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