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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

すべての猫はアラーボに通ずる、緑白の猫デッキ!(スタンダード)

岩SHOW
 

 マジックにおける犬の仲間と猫の仲間には、ちょっとした違いがある。犬の仲間とはそのまま犬……人間と共に暮らす飼い犬の類をはじめ、オオカミにコヨーテ、ジャッカルやリカオン、そして身近なところだとキツネやタヌキ……これらの動物は、マジックのカードでは別のタイプに分けられている。もともと犬というタイプが存在せず、猟犬というタイプであったこと、狼のタイプを持つカードは古くから多数つくられたのに対して、身近な犬はあまりカード化されなかったことなどが、この犬の仲間のカードタイプがばらけている理由である。

 

 これに対して猫の仲間……家猫をはじめ、オオヤマネコやヒョウ、そしてライオンにトラといった野生の猫の仲間たち……これらはマジックのカードにおいて、すべて猫でまとめられている。初期のカードにはライオンやチーターなど、それぞれに固有のタイプを持つものもいたが、クリーチャー・タイプの大再編の際にそれらは猫のタイプに一括りにまとめられた。犬と狼は別のタイプになるが、猫とライオンは同じ猫なのである。そのため、猫は道種族で固めたデッキを組む際に、選択肢の豊富さという点では犬に勝っているのが現状だ。

 

 そんな多元宇宙の猫たちは、その血統を辿るとある一頭に行きつくという。その名は《初祖牙、アラーボ》。近所で戯れる仔猫から、勇猛な獅子にいたるまで、あらゆる猫は彼の子孫なのだという。そのため、アラーボは一族を一つにまとめあげる能力を持つ。全猫への+1/+1修整、シンプルにして最も強力な、同一種族デッキを組む際には必須と言える能力!ロードとも形容される全体強化と、それと相性の良い猫・トークンの生成を併せ持っている。トークン生成の条件はアラーボ自身及びトークンでない猫を戦場に出す、ということなので猫カードで固めたデッキなら容易に満たすことが可能なものになっている。

 猫をずらりと並べて、強化されたそれらで攻撃する……シンプルだからこそ楽しいゲーム体験が約束されている。今回はそんな猫たちの先祖であるアラーボを主役にした猫デッキをご紹介!

Brown Phillip - 「緑白(セレズニア)猫」
週末マジック・ちびキャラプレイマットじゃんけん争奪戦 3-0 / スタンダード (2024年11月24日)[MO] [ARENA]
4 《低木林地
4 《剃刀境の茂み
4 《ハッシュウッドの境界
2 《不穏な大草原
4 《平地
4 《
-土地(22)-

4 《ラノワールのエルフ
3 《サバンナ・ライオン
3 《レオニンの先兵
3 《太祖の総督
4 《空騎士の従者
4 《お手伝いする狩人
4 《初祖牙、アラーボ
2 《誇り高き親
2 《マラメトの模範、クチル
3 《威厳あるカラカル
2 《君主のオキネク・アハウ
-クリーチャー(34)-
4 《剥き出しの爪
-呪文(4)-
3 《エルズペスの強打
2 《領事の権限
3 《邪悪を打ち砕く
2 《画面の中への幽閉
3 《ゴバカーンへの侵攻
2 《クチルの側衛
-サイドボード(15)-
晴れる屋 より引用)

 

 

 スタンダードの緑白2色の猫デッキだ。現在スタンダードにはアラーボの他にもう一つ、猫達のロードが存在する。『ファウンデーションズ』Starter Collectionで再録された《威厳あるカラカル》だ。これは猫のサイズアップだけでなく絆魂までもたらす、しかも自身もトークンを引き連れてくる非常に強力な1枚。これとアラーボによる全体強化で後押しし、猫軍団でのビートダウンを決める!このリストはそんな明快なコンセプトで組まれている。

 カラカルやアラーボで猫が並ぶことを、ロード以外にも肯定する猫が《空騎士の従者》。これは猫を参照するわけではなく、どんなクリーチャーでも戦場に出すことで能力を誘発させられる。トークンでもなんでも戦場に出れば+1/+1カウンターが乗り、永続的にサイズアップ。そしてこのカウンターの数が3個以上になると、空騎士の名の通り飛行を持つ。2マナで4/4飛行以上のスペックが見込める、攻防両面で優秀な1枚だ。これはいわゆる一点突破、縦の軸を作りだす。全体強化の横の軸と、戦場に2種類の攻めパターンを用意することが可能になっている。どちらか一方のプランだと、何かの拍子で崩壊する恐れがある。特定種族で固めるデッキは、こういった二段構えの要素を組み込むことを意識すると吉だ。

 

 『ファウンデーションズ』の白のテーマの一つは猫、ということでこのデッキの唯一の非クリーチャー呪文である《剥き出しの爪》にも注目だ。全クリーチャーを+2/+2修正という、強力な呪文ではあるがそのコストは5マナ……重い。しかし猫1体につきコストは{1}軽減され、最大軽減で白マナ2つだけで唱えられるように。2マナでこの強化は破格、クリーチャー同士のぶつかり合いで圧倒的に優位に立ち回れる。この呪文の凄いところはインスタントである点。対戦相手の攻撃やブロック宣言を受けてから唱えて戦闘ダメージの計算を狂わせるのはもちろん、《紅蓮地獄》のような横の軸に対するアンチカードであるダメージやタフネス修正の除去に対しても、打ち消し呪文のように機能してくれる。猫デッキでプレイする時には、戦場がある程度出来上がれば白マナ2つを残して爪を構えることを意識しよう。

 マジックプレイヤーの中でも猫好きは多く、実際に猫デッキを組んでいるプレイヤーの姿を目にすることもある。現スタンダードではかなりの数の猫が揃っているので、組むなら今がチャンスかもしれない。デッキ内に特定のクリーチャー・タイプを20枚以上採用して対戦とか、何かテーマを決めてスタンダードのデッキを作って遊ぶのであれば、猫デッキはそれらの中でも強力な選択肢となることだろう。犬も同じくらい選択肢が増えて、デッキが組めるようになってほしいものだ。

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