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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ラクドス・バイパー:好きなカードを使うための構築(スタンダード)

岩SHOW
 

 デッキの組み方は大きく分けて2種類あると、僕個人はそう考えている。一つは戦い方を第一にカードを選んだデッキ。たとえば「クリーチャーデッキの攻めを受け切るコントロールを組もう」と思ったら、《エルズペスの強打》《太陽降下》などの除去を積んでこれらで捌き、クリーチャーは《跳ねる春、ベーザ》のような受けに向いているチョイスで耐え忍ぶ……というように戦法に合わせたカードを集めてデッキが組まれる。

 ではもう一つの組み方は?言うまでもなくカードのために作られたデッキだ。気に入ったカードを主役にするためにデッキを組む、マジックを始めて間もない頃に皆が通った道だろう。パックを開けて自分で引き当てたカード、新カードが公開された時からハートを鷲掴みにされた1枚、特に理由はなくともめちゃくちゃ好きなヤツ……とにかくカードありき、特定のカードを光らせるためにデッキを組む。これもまたデッキ構築の醍醐味だ。今回紹介するのはおそらくはある1枚を活躍させるために組まれたデッキだ。

IDLE_IDOL - 「ラクドス・バイパー」
スタンダード (2024年11月4日)[MO] [ARENA]
4 《硫黄泉
4 《黒割れの崖
4 《ブレイズマイアの境界
2 《噴水港
3 《
4 《
-土地(21)-

4 《悪意ある呪詛術士
2 《騒音の悪獣
3 《永劫の勇気
4 《腐敗口のバイパー
-クリーチャー(13)-
2 《胆液まみれ
2 《電位の負荷
3 《逃げ場なし
2 《税血の刃
4 《望み無き悪夢
4 《チビボネの加入
4 《不穏な笑い
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
1 《裏切りの棘、ヴラスカ
-呪文(26)-
AetherHub より引用)

 

 

 スタンダードの「ラクドス(黒赤)バイパー」!バイパーは《腐敗口のバイパー》のことで、アーキタイプ名にもなっているくらいだからこのバイパーを活躍させて勝つデッキである。デッキのすべてがバイパーというメインディッシュのために用意された前菜と言えるだろう。バイパーは戦場に出るか攻撃すると荒廃カウンターが1つ乗り、対戦相手はそれ1個につき「土地でないパーマネントを生け贄に捧げる」「手札を1枚捨てる」「4点のライフを失う」の3択を迫られる。2個以上乗せて誘発させられれば対戦相手をかなり苦しめることになる。このバイパーはマナ総量6というコストではあるが、土地でないパーマネントを生け贄に捧げることで、それ1つにつき{1}コストが軽くなる。最大で生け贄6つで1マナ6/6!これだけでも十分に強いのに、先ほどの能力と合わさって強襲を仕掛けられれば圧巻だ。

 このバイパーのコスト軽減のために《望み無き悪夢》などの軽量パーマネントを多数用意しているのがこのデッキだ。悪夢は戦場に出た時点で役目を果たしており、むしろ喜んで生け贄に捧げられる。他にも《チビボネの加入》《逃げ場なし》《税血の刃》などの戦場に出た時点で手札破壊やクリーチャー除去の役目を果たしているパーマネントを取り揃え、これらをコストにバイパーを繰り出して一気に勝負を決める。攻撃的なコントロールといった趣のデッキだ。

 

 黒と赤の2色はこのバイパーのようにパーマネントを生け贄に捧げることを要求するカード、生け贄に捧げることでボーナスを得られるカードなどがテーマになることが多い。『ダスクモーン:戦慄の館』でもそのテーマは採用されており、それを象徴するのが《不穏な笑い》。クリーチャーかエンチャントを生け贄に捧げることで2枚ドローできる。そしてエンチャントとして戦場に留まったこれが生け贄になった時には、戦慄予示を行う。上述のバイパー生け贄用のカードをコストにして、バイパーを引きに行く動きができるのは頼もしい。さらにこれがバイパーのコストになり、クリーチャーを用意できるとあれば、セットで使わない手はないレベルだ。戦慄予示はライブラリーの上から2枚のうち1枚を選んで裏向きのクリーチャーにする。これがもしバイパーだったら、マナを払って表にすることでゲームを終わらせるなんてことも起こるだろう。

 そして《永劫の勇気》。この忠犬も、死亡してもエンチャントとして戦場に戻るためバイパーのコストにしても損をしにくい。そしてこのわんこはクリーチャーのパワーを強化したうえで速攻まで与えてくれる能力を持っている。バイパーは出して殴って荒廃カウンターを増やすことで脅威度が増すので、《永劫の勇気》は相性が最高だ。生け贄にして走らせて、やりたい放題大暴れだ。

 《腐敗口のバイパー》のように独特の挙動を見せ、イラストもカッコいいカードは人の心を捉える。そういったカードを主役にしたデッキを組むのは本当に楽しく、マジックの醍醐味だ。挑戦と失敗の果てに理想のリストに辿り着ければ、それが最高の瞬間。皆も好きになったカードを手に、じっくりデッキリストを組み上げてみよう。

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