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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アブザン・コントロール:あれが8枚、それが0枚(スタンダード)
静岡から帰ってきたぞ。僕自身最後のマジックイベントで行ったっきりだったので、実に6年ぶりの静岡。プレイヤーズコンベンション静岡2024にスタッフ参加してきたが、なんだか色々懐かしい大会だった。やっぱりこういうイベントは同窓会としての側面が強いよね。おお元気でやってたか、ああ懐かしい顔だ、我々は老けたがマジックのカードは変わらないな……そんな時間を過ごす、素敵な空間なのである。
今回はパイオニアやレガシー、ヴィンテージのトーナメントに関係するお仕事をさせていただいた。スタッフとして動いていると、自分の携わっているものは把握できるが、なかなか他の部分は追えず、結局後日に試合結果などを見て「そんなことになっていたのか」というパターンが多い。今回はスタンダードのオープンイベントである「ジャパンスタンダードカップ:『ダスクモーン:戦慄の館』」のことは全く追いかけられなかった。なのでどんなデッキが多くて、勝ち上がったデッキ分布はどうなったのか?静岡から自宅に帰ってPCに向かってこれからチェックしていくぞ。ある意味二度美味しいってやつだね。さてさてジャパンスタンダードカップの上位は……すごいな、白青2色、アゾリウスの時代きてるじゃんか。
順位 | デッキ名 | プレイヤー名 |
---|---|---|
優勝 | ゴルガリ・ミッドレンジ | 小林 智明 |
準優勝 | アゾリウス眼魔 | 川口 哲 |
トップ4 | アゾリウス・エンチャント | 樋田 吉紀 |
トップ4 | グルール果敢 | 小山内 佑馬 |
トップ8 | ディミーア・ミッドレンジ | 佐藤 啓輔 |
トップ8 | アゾリウス眼魔 | 中村 修平 |
トップ8 | アゾリウス・アーティファクト | 北村 宗平 |
トップ8 | アゾリウス・エンチャント | 吉田 慶太 |
トップ8の内、実に5名がアゾリウスカラーのデッキを使用している。そして興味深いのは、ザックリとしたアーキタイプ分けでもテンポ・エンチャント・コントロールとそれぞれに戦い方は異なるという点だ。大アゾリウス時代の到来か?というわけで今日のデッキもアゾリウス……というわけではないんだな、これが。別にひねくれているわけじゃなく(笑)、シンプルに「このリストすげぇ」とどうしても優先して紹介したいデッキを見つけてしまったからだ。その魅力と個性あふれるリストがコチラ。
2 《ハッシュウッドの境界》 1 《薄暗い裏通り》 1 《地底の遺体安置所》 1 《草萌ゆる玄関》 4 《眠らずの小屋》 4 《解体爆破場》 2 《噴水港》 6 《平地》 4 《沼》 2 《森》 -土地(27)- |
4 《山積みの収穫》 4 《豆の木をのぼれ》 4 《エルズペスの強打》 2 《やらせはしない》 2 《逃げ場なし》 4 《死人に口無し》 4 《太陽降下》 4 《羅利骨灰》 4 《暗殺者の戦利品》 1 《無形の処刑者、ケイヤ》 -呪文(33)- |
3 《除霊用掃除機》 3 《束縛の交渉術》 2 《石の脳》 2 《残虐爪の強奪》 2 《極悪非道の盗人》 1 《逃げ場なし》 1 《一巻の終わり》 1 《緊急の検死》 -サイドボード(15)- |
白と黒がメインカラーで、そこに緑を少し足したアブザンカラーのコントロールデッキだ。まず一つ注目ポイント……ラス8枚体制!ラスというのは《神の怒り》の愛称であり、そこから転じて《神の怒り》の後継である全クリーチャーを除去する呪文全般を指す。
現スタンダードにはこのラスと呼べるカードが色々と存在しているのだが、その中でも白と黒にツートップがある。《死人に口無し》は全クリーチャーを破壊し、さらに追加コストを支払えば相手の墓地にあるカードとそれと同名のカードをまとめて追放してしまう。破壊したクリーチャーを手札やライブラリーからぶっこ抜いたり、または無関係なカードを狙ってもOK。相手の勝ちの目を潰していく黒ラスの最強格だ。そして白には《太陽降下》!このラスは追放によって破壊不能も無視して盤面を洗い流す。そして追放したクリーチャーの数に等しいサイズのファイレクシアンになる、培養器を置き土産に。これでそのまま殴って勝つパターン、多いよね。どちらもフィニッシャーになり得る潜在能力を持ったラス、これらを4枚ずつ8枚体制!5マナ揃えば、戦場のクリーチャーの生殺与奪は我にあり。
このリストはラス8枚の除去コントロール、クリーチャーを始めとするパーマネントは何が何でも対処する。ラスがたっぷりということは……自分でクリーチャーを出すと、それも巻き込んで除去を行うことになる。なのでこのリストではこの問題をスマートに解決している。クリーチャー、0枚!そもそも入っていないのだから、自分の大事な○○も……なんて迷いが生じることがない。クリーチャーを0にするということは、他のカードを勝ち手段にする必要がある。
分かりやすいのはプレインズウォーカー。《無形の処刑者、ケイヤ》は対戦相手のライフを3点失わせる、わかりやすい勝利へのムーブを備える。出てくるクリーチャーを片っ端から除去し、この能力を起動し続けてフィニッシュ……というのが決まらなくとも、2枚ドローしたり、クリーチャーやエンチャントを追放してそれのコピーを手に入れたりと、色々とこなしてくれる超強力プレインズウォーカーだ。そしてもう一つの手段は《眠らずの小屋》。能力起動で4/4とナイスサイズのクリーチャーに、更に攻撃で墓地対策と食物でのライフ回復も狙える。この土地と《山積みの収穫》でのマナ加速、《豆の木をのぼれ》によるドローのために緑が加えられている。この手のクリーチャー化する土地というものは、ラス系コントロールにとっても天敵と呼べるものである。ソーサリー除去では倒せない、それは即ち自分で使ってもソーサリー除去に巻き込まれず運用できるクリーチャーである、ということ。敵が味方になれば、これほど心強いことはない!
この手の除去コントロールにとって敵となるのは、他には除去耐性の強いクリーチャー達。特に呪禁は対象に取れないので厄介だ。ラスなら何とかなるが、そういったクリーチャーが単騎で攻めてきた場合……1:2以上の交換が取れる除去を使ってしまうのは勿体なくもある。その問題を解決してくれるのが《逃げ場なし》。このエンチャントが戦場にあれば、対戦相手の呪禁持ちクリーチャーはそれを無視して対象が取れるように。またついでに護法も誘発しなくなる。これで憂いなく、ピンポイント除去で対処が可能に。1体だしては除去られるを繰り返し、嫌気がさした相手が複数体並べてきたらそこにラス。これぞ理想的なゲーム展開だ。さあ、逃げ場を奪ってやろう。
ラス8枚、クリーチャー0枚。これほどわかりやすい「私はコントロールです」という自己紹介もない。個性全開のリストでジャパンスタンダードカップに参戦してくれたのはなんだか嬉しいね。他の皆はどんなデッキを使っていたのだろうか?さて、じっくりと記録を見させてもらおうかな。
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