静岡が終わり……ラスベガスがクルゥゥゥ！

　プレイヤーズコンベンション静岡、お疲れさんッ！ってこれを書いているタイミングでが開催直前なのだが、まあそんな事情はさておいて。静岡ではスタンダードの大型トーナメントが開催された。しかし併催イベントではチャンピオンズカップファイナルが開かれ、そちらのフォーマットはパイオニア。競技イベントとしては、プロツアーの権利がかかったこのファイナルの方が大きな意味を持つ大会となるので、世界全体の同規模の予選とあわせて見るとここまではパイオニアのシーズンというイメージが強い。

　しかし、その予選シーズンも終わり、次なる競技イベントは……最高峰！頂点を決める戦い！世界選手権！ラスベガスにて開催される、記念すべき30回目の大会だ。いやぁ～本当にめでたいね。この世界選手権のフォーマットは『ダスクモーン：戦慄の館』ドラフトと……もちろん、スタンダード！まごうことなきスタンダードシーズンの始まりだ。スタンダードという長く険しく、同時に楽しい道を極めし者……スタンダー道を走破した者が即ち世界王者になると言っても過言ではない。月末に向けて、燃えてキタァ！じゃあ今週もとことん、スタンダードのデッキを紹介していこうか！

とことん！オーラ道！

　今回の主役はオーラ。エンチャントのサブタイプで、何かに貼り付ける形で戦場に出るパーマネントだ。まず大前提として、オーラには弱点がある！貼り付けるものということは、その対象がないと仕事をしないということ。クリーチャーがいないのにそれを強化するオーラばかりが手札にあってもしょうがない、という具合にまず対象ありきのカードである。そしてその貼り付けるものが確保できて、戦場に出すこともできても……その貼り付けたものが戦場を離れたりすると、オーラは墓地に落ちてしまう。クリーチャーの場合、破壊や追放は勿論のこと、手札に戻すバウンスなどを受けてもオーラは剥がれる。つまり、相手の除去呪文や能力で簡単に一対複数の交換が行われてしまい、アドバンテージ的に大きく損をすることになる。

　しかしそんな問題点をクリアして、無事に運用できた時のリターンが大きいのもオーラの特徴だ。クリーチャーを強化する動きは純粋に強い！そんなオーラの中でもスタンダードで要注目な1枚が《天上の鎧》。再録されて約10年ぶりにスタンダードに復帰となった名カード！様々なオーラデッキにおいて中心的な存在として採用され続けてきた伝統ある1枚が、3年ローテーション方式になった現行スタンダードに殴り込みだ。

　このオーラはエンチャント1枚につき＋1/＋1修整を与える。鎧1枚で最低レベルのサイズアップは保証されており、先制攻撃も持つので1マナとしてはこれでも納得の強化である。しかし他にエンチャントが1つ、2つ、3つと増えていけばその修正値はドンドンと増していき、＋5/＋5以上の修正だって夢じゃない。オーラという弱点を抱えるものでありながらそのリスクに見合ったハイリターンっぷりがたまらない《天上の鎧》。スタンダードでデッキを組むなら……こういうアプローチもあるぞ。

ハツカネズミがオーラをまとう！

　スタンダードでもすっかりお馴染みなったハツカネズミ！《心火の英雄》《熾火心の挑戦者》ら赤いハツカネズミは呪文や能力の対象になると雄姿が誘発。この能力はインスタントで誘発させるデッキが多いが、オーラでも誘発させられる。このリストはオーラでこれらハツカネズミの雄姿や、《僧院の速槍》の果敢、そして《精鋭射手団の目立ちたがり》らこのデッキのクリーチャーの能力を誘発させるのがメインコンセプトだ。2マナ以下のクリーチャーを展開し、それらをオーラで強化して殴り勝つ！超シンプルな戦術は誰にでも実行可能で、今日からマジックデビューという人でも迷わずにプレイすることが出来るかもってなくらいにわかりやすい。それでいてオーラべた貼りからの《天上の鎧》で一気に大ダメージ！というのはどんなデッキでもぶちのめせるパワフルさを秘めている。

　また目立ちたがりのようにパワーが膨れ上がったクリーチャーを《無感情の売剣》の出来事でブン投げるフィニッシュも用意されている。《心火の英雄》との相性の良さは特筆もので、鎧などのオーラと自身の雄姿で強化された英雄のパワー分だけのダメージを対戦相手に叩き込み、生け贄になった英雄がパワー分のダメージをさらに与える……これにより攻撃できないような状況でも二桁ダメージで一気に勝つということが可能だ。

　白はオーラの色であるため、鎧以外にも色々用意できる。《幽霊による庇護》は非常に強力だ。絆魂と護法を与えるだけでも強いのに、土地以外のパーマネントも追放できる。ここまでやればオーラでも使うでしょ？リスクは気にするなと言わんばかりのヤバすぎるオーラで、クリーチャーを強化しつつ最後の攻撃を叩き込むのが理想的だ。《破片魔道士の救出》も効果的に用いて、相手の裏をかきつつクリーチャーらを強化しよう。

　さて、白は素晴らしいラインナップだが、赤はどうか？あまりオーラのイメージがないかもしれないが、実は赤にもイカすカードが揃っている。というか、環境でも最強クラスのオーラは赤にある。それは《巨怪な怒り》！これは怪物のオーラを生成してクリーチャーにつけるインスタントだ。この役割もエンチャントなので、鎧のカウントを増やす。トランプルと怒り自体でのパワー修正も相まって、大ダメージを弾き出す組み合わせ間違いなし。そして《悪魔の大騒動》も優秀だ。修正値自体は大きくないが、威迫とトランプルを与えてダメージを通りやすくしてくれる。計画で追放しておけるので、後から唱えることで相手が隙を見せたタイミングで全力でダメージを取りに行く動きを狙いやすい。そしてこのオーラは、墓地に落ちるとカードを1枚引ける。オーラの弱点をカバーし、計画が崩れても次の動きへ……と望みをつないでくれる。これら素晴らしい軽量オーラとクリーチャーを組み合わせ、一気に勝負を決めよう！

　ボロス（赤白）カラーのオーラデッキ、《天上の鎧》の強さは伝わっただろうか？エンチャントで固めるという構築にはこのような形もある。アンコモンなのでデッキも組みやすく、多くの人をスタンダードに引き込む導線になり得る名オーラ、これでスタンダー道を歩む仲間が増えてくれることを願って……それじゃあ、今日はたっぷりスタンで遊ぶとしようかね！