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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
《逸失への恐怖》入りホロウワン、手札を捨てることを恐れるな!(モダン)
『ダスクモーン:戦慄の館』ではプレイヤーにとっての様々な恐怖がカード化され、我々はそれと対面しなくてはならない。時折悪夢を見ることがあるだろう、テストで赤点を取ってしまった、歯医者での治療が痛い、単純に暗闇が恐ろしい……そいった様々な恐怖が具現化したエンチャント・クリーチャーがプレイヤーに襲い掛かる。そういったホラーの中でも、《逸失への恐怖》は一段階上のレベルの強力なクリーチャーとして、注目を集めている。
逸失とは何かを失うこと、手に入らずに失ってしまうこと。本来あるべきものが失われる、そんなことへの恐怖が赤いホラーとなって姿を現した。海外に行って飛行機から降りて、自分の荷物がなかなか流れてこないと……失われたのではないか?そんな恐怖感にかられた経験を思い出したよ。
この恐怖、人にとって害をもたらしそうな名前だが、実はプレイヤーにとってはかなりの利益をもたらしてくれる。まず2マナで2/3。赤いクリーチャーでタフネスがこの値なのは珍しい。同じマナ域のクリーチャーと戦闘を行っても生き延びやすく、2点ダメージやタフネス-2といった軽い除去に見られる値を耐えきるタフネスは評価できる。これが戦場に出た時に手札を1枚捨てることが可能で、そうしたなら1枚ドロー。手札の入れ替えでより状況にフィットしたものを手に入れやすく、序盤は重いカードを、中盤以降は軽いカードを捨てて重く効果的なカードを求めてカードを引こう。
そして昂揚という能力を持つ。墓地に4種類以上のカードタイプがあればこの条件をクリアとなり、そうなるとボーナスが得られる。《逸失への恐怖》が昂揚状態で攻撃すると、クリーチャー1体をアンタップ。そして追加の戦闘フェイズが得られる。つまり起こしたクリーチャーでもう1回攻撃しろよというわけだ。赤には時折見られる《連続突撃》系カードだが、2マナという軽いクリーチャーがこの能力を持っているのは異例だ。昂揚という条件も、そもそも逸失自身がエンチャントとクリーチャーの2タイプを持っており、これを捨てたり、あるいは除去などされることで意外にも達成は難しくない。
この昂揚能力について、注意すべきは複数体の逸失をコントロールしている時。複数で同時に攻撃すると、現在の戦闘フェイズの後に追加の戦闘フェイズを1つ得る能力が2つ誘発。これらを解決しても、追加で得られる戦闘フェイズは1回のみ。なので、もし逸失が2体以上と何か別のクリーチャーがいて、そのクリーチャーで3回以上の攻撃を行いたい場合は、逸失Aとそのクリーチャーで攻撃、追加の戦闘フェイズを得て今度は逸失Bと攻撃、という具合に個別で誘発させることに注意しよう。
かなりのハイスペックの《逸失への恐怖》。今回はこれが加わった既存のデッキを紹介しよう。フォーマットはモダンだ。強力なカードひしめくモダン環境でも、このニューフェイズにかかる期待は大きい。今回はこれを取り入れたデッキの中でもインパクトのあるこの一品を。
4 《血染めのぬかるみ》 3 《乾燥台地》 2 《樹木茂る山麓》 4 《血の墓所》 1 《大音声の劇場》 1 《栄光の闘技場》 2 《山》 1 《沼》 -土地(18)- 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 4 《ネザーゴイフ》 4 《オークの弓使い》 4 《探偵のフェニックス》 4 《逸失への恐怖》 4 《虚ろな者》 4 《通りの悪霊》 -クリーチャー(28)- |
2 《致命的な一押し》 2 《タール火》 4 《ミシュラのガラクタ》 4 《燃え立つ調査》 2 《ゴブリンの知識》 -呪文(14)- |
2 《溶鉄の崩壊》 2 《乱暴 // 転落》 1 《紅蓮地獄》 2 《血染めの月》 2 《思考囲い》 1 《強迫》 3 《魔道士封じのトカゲ》 2 《外科的摘出》 -サイドボード(15)- |
今回紹介するモダンのデッキ、それは「ホロウワン」!ホロウワンとは《虚ろな者》の英名で、まさしくそのカードが主役のデッキだ。《虚ろな者》は1ターンの間に捨てたカード1枚につきコストが{2}減少する。素のままだと{5}の4/4、ちょっとリミテッドでも使いたくないレベルのアーティファクト・クリーチャーだが1枚でも手札を捨てていれば{3}の4/4と一気にコストパフォーマンスが上がる。3枚捨てていればフリーな呪文となるので、この赤を中心としたデッキでは複数枚手札を捨てることを全力で狙う。《通りの悪霊》などは理想的で、マナではなくライフを支払いサイクリングしてデッキを掘り進め、ホロウワンコスト現象への一手を担わせる。悪霊と《逸失への恐怖》で計2枚捨てて、1マナで《虚ろな者》1体……こういうテンポ感に優れた展開を狙っていく、少々コンボ的な要素を持ったアグロデッキだ。逸失の追加戦闘フェイズで《虚ろな者》2回攻撃など決まれば序盤から一気にライフを詰めていけるだろう。
ホロウワンデッキのことを知らない人が見ると驚くであろうカードが、ランダムに手札を捨てる《燃え立つ調査》。1マナで各プレイヤーは3枚ドロー、その後3枚捨てるというオンリーワンと言える挙動を見せるソーサリーだ。自分はこの調査1枚を消費してこれを行っているので、手札の枚数自体は減っている。得をしない上に、ランダムに捨てた手札次第では今後のターンが地獄になることもあるが……そこは運を天に任せる。都合よく《虚ろな者》や《逸失への恐怖》が残ったりすると、一気に勝利が見えてくる!そう、都合のいいことだけ考えてマジックをする、ホロウワンは精神衛生に良いデッキなのだ。しかも《燃え立つ調査》は相手にも強引にカードを引かせて捨てさせるため、場合によっては相手の手札がグズグズになり機能不全に陥る……なんてことも。その真逆で手札の内容がバキバキに強くなる可能性もあるが、何度も言うが都合の悪いことからは眼をそらすのだ!
《ゴブリンの知識》も2マナで4枚というコストパフォーマンスに優れまくりなドローであるが、こちらもそこからランダムに手札を3枚捨てるという驚きの後払いがついてくる。これも都合よく《虚ろな者》が複数枚残ったりすれば、0マナで連打して一気に盤面を作りだせる。とにかく、都合よく回ればラッキー、肝心のパーツを全部捨ててしまったらその時は笑えば良い。こんな豪快なデッキがあっても良いじゃないか。
《逸失への恐怖》以外にも昂揚を達成すると強くなるクリーチャーとして《ドラゴンの怒りの媒介者》が採用されている。3/3飛行とアグレッシブなボディに成長するため、いち早く昂揚を狙っていきたい。その点、媒介者は非クリーチャー呪文を唱えると諜報を行い、ライブラリーの一番上を見て墓地に置くことができる。《ミシュラのガラクタ》などと組み合わせて一気に墓地を肥やし、昂揚を達成させたら媒介者を逸失で複数攻撃させるとしよう。《ネザーゴイフ》も墓地の枚数が多ければ嬉しいクリーチャー。自身の墓地のカードタイプにあわせてサイズが上がり、こちらも媒介者と同じく1マナとは思えない打点を弾き出すポテンシャル持ちだ。上述の《燃え立つ調査》などはこれらのクリーチャーとも相性がよく、ガンガン手札を捨てる勇気をもたらしてくれるだろう。
《逸失への恐怖》という使い勝手の良いカード、色々なデッキに入り得るそのポテンシャルはスタンダードのみに留まらずに様々なフォーマットでの活躍が見込めるもの。「ホロウワン」との相性もすこぶる良いので、最近大人しくしていたこのアーキタイプが再び暴れ出すきっかけになるかも?様々なシナジーを見つけて、《逸失への恐怖》でゲームをものにしよう!
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