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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ゴルガリ・ミッドレンジ:悪事デッキと大主(スタンダード)
ホラーっていいな。何故怖いものが良いのか?詳しいことは脳とか人類とか専門に研究している方に任せるとして……ホラーのジャンルにも色々ある。人それぞれに恐れるものが異なるからだ。『ダスクモーン:戦慄の館』に収録されている恐怖のカード達も、どれもこれも形態や手法が異なる、バラエティ豊かな恐怖でプレイヤーを揺さぶってくる。クリーチャー・タイプにおけるホラーがここまで多数収録されたセットもはじめてだ。
ホラータイプの面々はいずれも「異形」である。他の何とも形容しがたい、まさしく異形としかジャンル分けできない怪物たちだ。多数登場する異形の中でも抜けた存在は《ベイルマークの大主》。一見すると人間の骨格がベースのようにも見えるが……何を継ぎ接ぎしたのかわからない、長い手足の本数も生え方も規則性がなく不気味である。そしてその頭部?に当たる箇所は……何かの動物の頭骨が2つくっついたような土台の中心に、巨大な瞳が1つ……多元宇宙に様々な生命あれど、明らかに異質な存在感を放つベイルマーク……ホラーっていいぞ。
この大主は、戦場に出るか攻撃するとライブラリーを4枚切削。その後墓地からプレインズウォーカーかアバター以外のクリーチャーを手札に回収する。墓地を経由するアドバンテージ獲得源であり、兆候能力のための代替コストが計2マナとすこぶる軽いのもこのカードの特徴だ。2マナでとりあえず墓地を拾って、序盤にやられたパーマネントを再展開するもよし。5マナまで待って、出して殴って一気に手札を補充しにかかってもよし。機能しだすとかなり厄介なこの大主……切削と墓地回収という特性から、どうしても墓地を利用するカードを詰めあわせてコンボチックなデッキでの使用がベスト、と思い込んでしまわれがちな節がある。《森の轟き、ルムラ》などとの組み合わせ、それもそれで魅力的なのだが……必ずしも墓地系デッキで使わなければならないわけじゃない。既存のデッキのアクセントとして用いるというだけでも、大主のパワーは十分に堪能できる。
4 《ラノワールの荒原》 4 《花盛りの湿地》 4 《眠らずの小屋》 4 《寓話の小道》 2 《噴水港》 5 《沼》 3 《森》 -土地(26)- 3 《玉虫色の蔦打ち》 4 《苔森の戦慄騎士》 4 《自由放浪団の見張り》 2 《グリッサ・サンスレイヤー》 2 《苦難の収穫者》 2 《ベイルマークの大主》 -クリーチャー(17)- |
3 《強迫》 4 《切り崩し》 4 《喉首狙い》 2 《執念の徳目》 2 《除霊用掃除機》 2 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(17)- |
4 《苦痛ある選定》 1 《苦難の収穫者》 3 《羅利骨灰》 3 《温厚な襞背》 3 《残虐爪の強奪》 1 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード(15)- |
このリストは『ブルームバロウ』環境にて活躍したゴルガリ(黒緑)の中速デッキの一派、見張り型をベースに『ダスクモーン:戦慄の館』環境にアップデートされたものだ。ゴルガリは似たようなリストでも一部採用カードの違いにより戦い方が異なるのが特徴で、この型は《自由放浪団の見張り》がキーカード。対戦相手やそのパーマネントなどを対象に取る、悪事を働くことでライブラリーから土地を戦場に出せる見張り。これを出して相手のクリーチャーに除去を撃ったり、《強迫》を唱えるなどして土地を伸ばし、相手よりも多いマナで勝負するという寸法だ。
《玉虫色の蔦打ち》との相性は抜群で、土地を普通に戦場に出す→蔦打ちの上陸が誘発、対戦相手を対象に取る→見張りの能力が誘発しライブラリーから土地が戦場に→蔦打ちが誘発……とダメージとマナの両面で優位に立てるナイスコンビネーションを見せてくれる。そうして得たマナを、《ベイルマークの大主》で回収したカードに注ぎ込むというのは理にかなっている。これらのパーツが対処されても兆候でサッと拾って出し直すのも良い。見張り型ゴリガリに、ベイルマークはフィットしていると言えよう。
もう一つ、新カードより《除霊用掃除機》も面白いチョイスだ。墓地対策カードとしてサイドボードに、というイメージもあるがこれもまたその固定観念に囚われずにメインから使っても強いカードである。対戦相手の墓地利用プランを牽制しつつ、相手や自分のクリーチャーを墓地から追放。6マナ注いで掃除機を爆発させれば、溜め込んだ幽霊たちが解き放たれる!1/1飛行で追放したクリーチャーのコピーであるスピリットを複数戦場へ。ただの1/1と侮るなかれ、《黙示録、シェオルドレッド》《偉大なる統一者、アトラクサ》など能力がコピーされるだけで戦況が大きく動く。自身のカードでも蔦打ちなんかは元々パワー1だし、《グリッサ・サンスレイヤー》が飛行を持てば攻撃を通しやすくなって最高だ。
この掃除機の起動コストには{6}必要と重いのだが……そう、見張りがマナを確保してくれるので問題ない。追放するクリーチャーも大主から得られるかもしれないね。また掃除機自体が対戦相手の墓地のカードを対象に取るため、見張りの能力誘発も後押しする。色々と噛み合った、これも是非とも試しておきたい1枚だ。
各々の心にビビッと、ゾクッとするホラーを見つけたら、デッキを組んでみよう。《ベイルマークの大主》はクリーチャーで戦うデッキ全般で、墓地利用を特に意識しなくてもしっかり働いてくれそうだ。その瞳に魅入られたプレイヤーは、自身の意識とは無関係にデッキを組んでしまうとか……。
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