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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス・トークン:素直に取り込め大主(スタンダード)

岩SHOW
 

 セットで遣えと言わんばかりのカードたちがある。デザインした人の意図がダイレクトに伝わってくる、そんなカードってあるよね。

 現在のスタンダードであれば……《世話人の才能》などめちゃくちゃわかりやすい。すべての能力にトークンと書かれてあるため、トークン生成カードと組み合わせればその真価が発揮される。レベル1の能力は毎ターン1回、トークンが戦場に出れば1ドローをもたらす。これを複数かい誘発させられれば、《世話人の才能》1枚から複数枚の手札に繋がってカード・アドバンテージを獲得することになる。1枚で複数回に渡ってトークンを生成するカードと組み合わせれば文句なしというところだ。

 《人参ケーキ》は戦場に出た時と起動した時、両方でトークンを生成する。自分のターンだして1枚ドロー、相手のターンに起動して1枚ドローと滑らかに手札を満たしつつ盤面のクリーチャーを増やせる、ついでに占術やライフ回復もできる……こんなの、2枚一緒に使わない方がおかしいじゃないかというレベルのベストカップルだ。

 

 《世話人の才能》と《人参ケーキ》はわかりやすい「セットで使え」カード群だ。収録されているセットも同じだし、色も同じ。イラストにも双方兎が関係しており……この2枚はわかりやすい。色もセットも異なるカードとなると、組み合わせることが思いつかないものもあるが……実際にプレイしてみると「これはセットだな」と納得のものも。

 《ウラブラスクの溶鉱炉》もまた《世話人の才能》との組み合わせが素晴らしい。毎ターン、マナなどのコストが不要で自動的にトークン生成してドロー、また溶鉱炉のトークンはターン終了時に生け贄に捧げられるが、才能のレベル2でコピーしたものは戦場に残り続けるため、本来攻撃面でしか使えない溶鉱炉でブロッカーを用意することも可能に。ターンが進んだゲーム終盤に引いてもパフォーマンスが発揮し辛い溶鉱炉だが、才能との組み合わせでそのポテンシャルが多いに発揮されることに。

 『ブルームバロウ』環境初期に日本の大規模トーナメントで優勝したことでこの2枚の組み合わせは世界中に認知され、ボロス(赤白)カラーのトークンデッキが巷に溢れることになった。

Erratacorrige - 「ボロス・トークン」
Magic Online Standard League 5-0 / スタンダード (2024年10月5日)[MO] [ARENA]
3 《戦場の鍛冶場
3 《感動的な眺望所
4 《優雅な談話室
4 《沈んだ城塞
4 《噴水港
1 《ミレックス
4 《平地
2 《
-土地(25)-

2 《ミストムーアの大主
-クリーチャー(2)-
4 《塔の点火
4 《稲妻のらせん
4 《太陽降下
3 《失せろ
2 《薄暮薔薇の聖遺
2 《真昼の決闘
4 《人参ケーキ
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
4 《世話人の才能
2 《忠義の徳目
-呪文(33)-
1 《別行動
2 《兄弟仲の終焉
2 《悪魔祓い
2 《第三の道のロラン
3 《安らかなる眠り
1 《セラの模範
2 《真昼の決闘
1 《機械の母、エリシュ・ノーン
1 《大天使エルズペス
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 そして『ダスクモーン:戦慄の館』。このセットの看板神話レアである大主サイクルより、《ミストムーアの大主》……これも《世話人の才能》と一緒に使うべき!と言わんばかりの性能を誇る1枚だ。

 2/1飛行の昆虫を2体も同時に生成、しかも戦場に出た時と攻撃時の両方でこれを行える……世話人の働きが止まらないよ。大主自体は7マナと重いので、毎ターン世話人昆虫ドローと決めるには時間がかかる……わけだが、兆候コストでなら4マナで唱えられる。3ターン目才能→4ターン目大主兆候という流れ、狙わないのは勿体ないね。飛行持ちの昆虫はレベル2の対象に見合う価値もあるし、レベル3でトークン強化して殴り勝つプランを進めるのであれば飛行持ちは最高の相方である。

 というわけでリリース前より溶鉱炉や《人参ケーキ》を備えた「ボロス・トークン」に大主も加わることは大いに期待されていた。今回はそのリストを発見したので紹介させていただこう。

 

 《ミストムーアの大主》が参入したことで、このデッキにおいてより雲鷹が楽になったカードがある。1マナの除去呪文だ。《塔の点火》は1マナで2点ダメージ、協約コストを追加で支払えば3点と占術付きへとランクアップだ。協約のコストはエンチャント・アーティファクト・トークンのいずれかを生け贄に捧げることで支払う。ミストムーアは昆虫を2体生成するので、1体を生け贄にしたところで損はしない。トークンを1体だけ生成するカードだと少々悩むこともあるが、2体いるなら安心だ。あるいはいざという時には、兆候状態のミストムーアを生け贄にするなんて展開もあるだろう。勿体なくは感じるが、しかしライフあってこその大主。兆候が明けるのを気長に待っているだけではいけないゲーム展開だってあるものだ。

 《薄暮薔薇の聖遺》も1マナ+クリーチャーかアーティファクトを生け贄というコストで唱え、それらを追放できる強力な除去だ。この2種類を《人参ケーキ》などで上手く運用してきたが、そこにミストムーアが加わることでより安定したデッキ運びができるようになったというわけだ。

 

 このリストの特徴とも言えるのが《真昼の決闘》。メイン・サイドと併せて4枚採用されている。このチョイス、なかなか面白い。プレイヤー0は各ターンに1回しか呪文を唱えられないという制限を与えるルールぶっ壊し系エンチャント。これを設置することで、手数で押してくる相手を大幅減速させる。

 1アクションに対して1アクションで返す戦いであれば、トークンデッキは強いぞ。何せ《噴水港》《ミレックス》など、マナの使い道は用意されている。それらでトークンを生成して《世話人の才能》を誘発させて、毎ターンドローしながら手札の中のベストな1枚を叩きつける……こちらの土俵に引きずり込んでしまおうというアリ地獄戦法で勝負だ。いざとなればこの決闘を投げつけて5点ダメージ、除去にしたりライフを詰め切ったり……こういうカードを使いこなせたらマジックの腕が一段上がったと実感できるね。

 《ミストムーアの大主》が加わり、より強力になった「ボロス・トークン」。目に見えてこれとこれを組み合わせて使え!という直球のメッセージには、素直に応えてデッキ構築するのが吉だ。《世話人の才能》とトークン生成カードを組み合わせて、盤面も手札も数で圧倒しよう!

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