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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
とことん!スタンダー道!ゴルガリ昂揚、欄干ワームから逃れられない……(スタンダード)
恐怖の館にキタキタキタァ!
『ダスクモーン:戦慄の館』、モダンホラーをテーマとしたこのセットには……数々のメカニズムが詰め込まれている!ショックシーン、ジャンプスケア、驚愕のどんでん返しとたっぷりの要素を持ったホラー映画さながらだ。
スタンダードという道を歩み始めてまだ日が経っていないプレイヤーにはなじみがないかもしれないメカニズムも再録されている。昂揚だ。これは墓地のカードタイプを参照する能力であり、そこに4種類以上あると……というカード全般が昂揚カードという扱いになっている。カードタイプというのは土地・クリーチャー・アーティファクト・インスタント……などの大まかなタイプのことである。これを4種類以上墓地に揃えるというのは、簡単なようで狙っていないと達成は難しかったりする絶妙なバランスだ。
狙っていないと引き起こせない状況であるため、昂揚カードは強力にデザインされる傾向にある。たとえば《ゲームをしよう》などは、本来は3つのモードから1つを選ぶものだが、昂揚を達成しているとすべてのモードを同時に選択することも可能になる。相手の手札を2枚捨てさせてタフネス1のクリーチャーをまとめて流して、更にライフも吸い取る……全部噛み合えばゲームの流れを変えてしまうことだろう。
また《焼殺への恐怖》は昂揚を達成している時に戦闘でないダメージが対戦相手に与えられると、同じダメージを対戦相手のクリーチャーにも与えられる。普通に使えば相手に4点与える4/4というところだが、昂揚していればクリーチャーにも4点ダメージを与える非常に強力なものへと変貌するのだ。
というわけでとことんスタンダードのデッキを考える「とことん!スタンダー道!」のコーナー、今週は昂揚デッキを考えよう!
とことん!気分は昂揚!
今回のセットで昂揚を担当する色は黒・赤・緑だ。その中でも個人的に気になる1枚は……《欄干ワーム》!欄干がワームとなってのたうつイラストもいかにもB級ホラーという感じで味わい深い。
このワームは5マナ5/5、打ち消されない上に速攻とトランプルを持っている。お、緑のデカい速攻枠!これがいるといないとでは緑のアグレッシブなデッキの破壊力が大きく変わってくるので、新たな選択肢が加わったのは嬉しい限り。そしてこのワームは、昂揚を達成していると墓地から戦場に戻すことができる。そのコストは4マナで、普通に唱えるよりも軽い。最終カウンターが乗った状態で戻るので、何度も同じ個体を出し入れすることはできないが……1回でも戻せて攻め続けられるなら上出来だ。対戦相手に破壊されたものを戻しても良いし、なんだったら自分から能動的に墓地に落として強引に戦場に送り出すという手もある。
今回はこの《欄干ワーム》を使うデッキ案を見つけたのでそちらを紹介しよう!
4 《ラノワールの荒原》 3 《花盛りの湿地》 2 《ヴァルガヴォスの棲み処》 3 《寓話の小道》 2 《解体爆破場》 1 《爆発域》 5 《森》 4 《沼》 -土地(24)- 3 《継ぎ接ぎのけだもの》 3 《抜歯への恐怖》 3 《骨造りの棒編み》 3 《事件現場の分析者》 3 《雑食性ハエトリグサ》 4 《逆棘芽の農家》 3 《欄干ワーム》 -クリーチャー(22)- |
3 《蓄え放題》 3 《邪悪との対話》 2 《ヴァルガヴォスの猛攻》 3 《逃げ場なし》 3 《ヴェールのリリアナ》 -呪文(14)- |
3 《恐怖の潮流》 2 《喉首狙い》 3 《機能不全ダニ》 2 《暗殺者の戦利品》 3 《強迫》 2 《森の轟き、ルムラ》 -サイドボード(15)- |
こちらは《欄干ワーム》を採用した「ゴルガリ(黒緑)昂揚」。ゴルガリと言えばスタンダードで1年ほど、活躍を続けているカラーリングだ。中速デッキをメインに、採用カードで様々なバリエーションが存在する懐の広いゴルガリ。昂揚はその新たな形になれるか?期待が高まる。昂揚を達成するには能動的に墓地にカードを、ということで《ヴェールのリリアナ》で手札を捨てたり《蓄え放題》などのカードで切削したりして墓地に4種類以上のカードを揃えにかかる。
新カードとしては《邪悪との対話》が面白い。黒には時折見られるライブラリーの上から見て手札にカードを加えるソーサリーで、これは4枚見て1枚を手札に加える。そして3点のライフを得る……珍しい!黒のこの手のカードはライフを失わせてくるものだが、この《邪悪との対話》は2枚加えたりして手札の枚数が増えるわけではないので、その分ライフを提供してくれる。昂揚を達成したけどライフはゼロ、じゃ話にならないもんな。墓地に足りていないタイプを確実に落としつつ昂揚を活かせるカードを手札に。それと同時にライフゲインだ。
《ヴァルガヴォスの猛攻》も面白い。戦慄予示をX回行うのだが、これはライブラリーの上2枚を見て片方を裏向きのクリーチャーに、もう片方を墓地に落とす。昂揚を達成すると同時に、昂揚持ちのクリーチャーを裏向きで出せたりと、他のカードにはできないことをやってくれそうな大技だ。
墓地に落ちるカードも、真面目に4枚で昂揚達成を狙っていたんじゃまどろっこしい。2種類以上のタイプを持つカードを使うことで、プロセスを大幅短縮だ。《継ぎ接ぎのけだもの》はアーティファクトでありクリーチャー、これは昂揚していないと戦闘に参加できないのだが、1マナで3/3という破格のサイズ。自身の能力で切削も出来るので、戦場に出して良し、墓地に行って良しの昂揚デッキの顔的な存在になるんじゃないかな。
《抜歯への恐怖》も面白いチョイスだ。序盤にこれを立たせておくと、死亡時にダメージを与える能力が何ともいやらしく、低タフネスのクリーチャーで攻めるデッキにはかなり鬱陶しい壁役になってくれるだろう。死亡すればクリーチャーとエンチャント、昂揚カウントが2つ進む。
《ヴァルガヴォスの棲み処》は土地でありエンチャント、マジックの歴史でも稀有なタイプを併せ持った1枚だ。ただ2つのタイプを持っているだけでなく、選んだ色を加えられる多色デッキのちょっとした色マナ安定供給源でもある。これらのカードを先述のカードで墓地に落とすことで一気に昂揚達成を狙おう。
極端な話《継ぎ接ぎのけだもの》や《骨造りの棒編み》と《ヴァルガヴォスの棲み処》の2枚が揃えばそれだけで昂揚達成だ。1ターン目にけだもの→2ターン目に切削カードで上記2種が落ちて昂揚、3/3けだものパンチ!みたいな動きも理論上可能なのだ。このブン回りのシメを《欄干ワーム》が担ってくれれば最高ではないか。
昂揚は4種類のタイプが墓地に落ちることで何かが起きる能力。これを担う色は黒赤緑で、その3色の《厭世的案内者、ウィンター》も昂揚で相手の手札の上限を減らすユニークなカードだ。彼が何故昂揚を持っているのか……それはストーリーで彼の行ったことを見れば理解できるはずだ。墓地に4つ、というところに注目して読んでみよう。そしてウィンターや《欄干ワーム》をはじめ、戦慄の館に潜む様々な昂揚カードを用いて、スタンダードのデッキ構築を楽しんでほしいね。
さあ、トーナメントでどんなデッキが躍動するのか楽しみだ!スタンダー道、駆け上っていこうぜ!
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