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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

スゥルタイ・リアニメイト:突然の流行デッキ(スタンダード)

岩SHOW

 友人らに誘われたので久しぶりに紙のカードでスタンダードのデッキを組んで、テーブルトップの大会へ参加してきた。どんなデッキを使ったかはまた別の機会に……今回はその大会で当たりまくったデッキについて。

 実際に対戦を行ったマッチは5つ、そのうちの4マッチでなんと同型のアーキタイプとマッチした。事前にアリーナではかなりスタンダードをプレイしていたので、デッキ傾向などはMTGアリーナでの流行りをベースに考えていたのだが……実際に大会に行ってみると、そんなに当たることを想定していなかったデッキにひたらすら遭遇する羽目になった。そういう読みだったのでサイドボードに専用のカードも設けていなかったため、苦戦することに。

 今日はそんなテーブルトップで人気を集めているデッキを紹介させていただこう!流行るのも納得の強さだった!

Kakigi Kento - 「スゥルタイ・リアニメイト」
ストアチャンピオンシップ(『ブルームバロウ』) トップ4 / スタンダード (2024年9月24日)[MO] [ARENA]
1 《地底の大河
1 《ヤヴィマヤの沿岸
4 《寓話の小道
4 《闇滑りの岸
2 《花盛りの湿地
2 《植物の聖域
1 《地底街の下水道
2 《地底の遺体安置所
3 《迷路庭園
3 《不穏な浅瀬
1 《平地
2 《
2 《
2 《
-土地(30)-

4 《錠前破りのいたずら屋
2 《ファラジの考古学者
1 《復活した精霊信者、ニッサ
1 《苦難の収穫者
3 《森の轟き、ルムラ
3 《偉大なる統一者、アトラクサ
-クリーチャー(14)-
2 《切り崩し
2 《洪水の大口へ
2 《苦々しい勝利
1 《恐怖の潮流
1 《希望の種子
4 《忘れられた者たちの嘆き
4 《もがく出現
4 《第三の道の創設
1 《ギックスの残虐
1 《執念の徳目
2 《完成化した精神、ジェイス
-呪文(24)-
2 《強迫
1 《最深の裏切り、アクロゾズ
2 《切り崩し
1 《喉首狙い
2 《苦難の収穫者
2 《毒を選べ
1 《向上した精霊信者、ニッサ
2 《魂標ランタン
1 《古のヤギ角
1 《機械の母、エリシュ・ノーン
-サイドボード(15)-
晴れる屋デッキ検索 より引用)

 

 

 スタンダードのスゥルタイ(黒緑青)カラーのリアニメイトデッキだ。リアニメイト、即ち墓地からクリーチャーなどを戦場に出すカードを用いて、唱えるよりも少ないマナで強力なパーマネントを戦場に出し、そのカードパワーで圧倒する……古来より黒を中心に組まれたアーキタイプだ。スタンダードでは《もがく出現》を用いるものが強力。3マナで土地以外のパーマネントを釣り上げるこのソーサリー、対象の条件はマナ総量が墓地にあるパーマネント・カードの枚数以下のもの。ということで自身のライブラリーを切削するカードや《寓話の小道》などの能動的に墓地に落ちるパーマネントを中心にデッキを構築。早いターンに出現で《偉大なる統一者、アトラクサ》などの激ヤバクリーチャーを釣り上げることで一気に勝負を決めるデッキになっている。

 『ブルームバロウ』からは先述の《寓話の小道》とともに釣るクリーチャーの候補として《森の轟き、ルムラ》が参入。ルムラは戦場に出ると墓地の土地をすべて戦場に出し、それらの枚数分のパワー/タフネスを持つというマナ加速兼フィニッシャーだ。アトラクサで手札を満たし、ルムラで土地を伸ばす。強いカードらを安く使う、勝利への再誕効率をまっしぐら!《ギックスの残虐》や《執念の徳目》も駆使して、リアニメイト戦術を炸裂させるべし。

 

 スタンダードでは今、自分のライブラリーを切削するカードが強い。たとえば《錠前破りのいたずら屋》。これの出来事ではライブラリーを4枚切削できる。その中からインスタント・ソーサリーあるいはフェアリーであるカードを手札に加える。墓地の枚数を増やし、釣るクリーチャーや出現の落魄カウントの増加に貢献しつつ、出現だったり《恐怖の潮流》などの除去呪文を獲得してコンボするなりコントロールするなり……この動きを2マナのインスタントで行えるのは、なかなかに隙がなくて魅力的だ。

 また《第三の道の創設》もデッキにバッチリ噛み合った良いカードだ。Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ章とどのモードからでも始められる特殊な英雄譚で、モード1は手札から軽い呪文を唱えられる。これで除去を唱えるなどすれば、隙なく次のターンにⅡ章を狙いに行ける。Ⅱ章はシンプルに4枚の切削。ゴリッと枚数を増やしたら、最後はⅢ章で墓地のインスタントやソーサリーを追放してコピー。これを唱えることができる。この唱える行動にはきちんとマナを支払わなければならないが、各種切削で墓地に落ちたり、あるいは打ち消されたり捨てさせられた《もがく出現》を墓地から唱える貴重な手段だ。このⅢ章のおかげでターンが進んでから引いても無駄になりにくい、非常にフレキシブルなデッキのエンジン的な1枚だ。これらと《ファラジの考古学者》や諜報土地などでライブラリーから墓地にカードを落とし、着々と準備を進めていこう。

 

 さて、このリストはなんとメインデッキ68枚!スタンダードの他のデッキには見られないアプローチがとられている。これは自身のデッキを何度も切削するため、逆にライブラリー切れになってしまわないようにという保険の意味合いもあるのだろう。コントロールに強い《完成化した精神、ジェイス》を使うことも考えれば、下手に60枚デッキだと自身のライブラリーが切れて負けてしまうなんて展開も起こりかねない。また、これだけの切削方法があれば普通のデッキの60枚よりもちょっと多いくらい、気にならないくらいに狙ったカードを墓地に落とすことができるのだろう。

 このリストをはじめとする「スゥルタイ・リアニメイト」はスタンダードでの人気を高めているが、それらの全部が全部60枚を超える構成というわけではないはずだ。しかし逆に60枚に固定したリストしか試してこなかったプレイヤーには、一度思い切ってちょっと厚めのライブラリーを試してみて欲しいね。

 

 さて、スタンダードにはもうじき『ダスクモーン:戦慄の館』が本格参戦する。このセットには《虚空の力線》が再録!歴代墓地対策カードの中でも高い使用率を誇る名カードが帰還する。そして他にも《除霊用掃除機》など墓地対策のニューフェイスがやってくる……そのためリアニメイトデッキにとっては向かい風になるのか?あるいは《タミヨウの物語》のような墓地を肥やす手段と、昂揚など墓地に関する新カードも同時に増えるため、対策されても戦えるデッキとなるのか?答えは……新環境のスタンダードの大会に行って、確かめてみよう!

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