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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アーティファクト・トークンを有効利用!最新カードをほぼ用いないセレズニア(スタンダード)
『ダスクモーン:戦慄の館』がやってくる。もう次のセット?2024年の後半は年末に『ファウンデーションズ』が用意されているからか、スタンダード対応セットの発売間隔がかなり詰まっている。この速度感に皆が皆ついてこれるとは……正直思わない。矢継ぎ早に訪れる刺激にエキサイティングしているプレイヤーもいれば、まだ『ブルームバロウ』の全容も把握できていないマイペースなプレイヤーだっているわけだ。
個人的には、新セットが出るからといって焦る必要はないと思う。自分の速度を大事にして、無理のない形でマジックと向き合っていけば良いのだ。新セットが加わることで最も影響を受けるのはスタンダード。しかしながらこのフォーマットも、直近3年間のセットでデッキを構築するというルールさえ守れば良いわけで……最新セットのカードを絶対に使え!というものではないのだ。それを証明するようなリストに出会ったので、そちらを紹介させていただこう。
4 《低木林地》 4 《剃刀境の茂み》 2 《不穏な大草原》 1 《噴水港》 8 《平地》 4 《森》 -土地(23)- 4 《内なる空の管理人》 4 《生歯の子ワーム》 4 《ひよっこ捜査員》 3 《堅いクッキー》 2 《食事を終わらせるもの、ジンジャー卿》 4 《威厳あるバニコーン》 2 《勇敢な旅人、ケラン》 4 《名もなき都市の歩哨》 4 《鋼の熾天使》 -クリーチャー(31)- |
3 《失せろ》 3 《薄暮薔薇の聖遺》 -呪文(6)- |
3 《エイヴンの阻む者》 2 《邪悪を打ち砕く》 1 《薄暮薔薇の聖遺》 1 《失せろ》 4 《尾の強打》 2 《潜伏工作員、アジャニ》 2 《大天使エルズペス》 -サイドボード(15)- |
こちらは『ブルームバロウ』環境スタート後約1か月後のMagic Onlineのイベントで上位に入賞していたリストだ。スタンダードは最新セットの影響を色濃く受けるものではあるが、このデッキはそんなものはどこ吹く風。『ブルームバロウ』のカードは《噴水港》の1枚のみ!デッキを構築していくうちにおのずとそのような形になったのだろう。
デッキコンセプトによっては新セットのカードが噛み合わないことも多々ある。そんな時には無理して新カードを採用する必要はなく、既存のカードのみでデッキを組んだって全く問題はない。実際にこのリストでプレイしてみたところ、最新カードを備えたデッキにも十分太刀打ちできるし、それらに勝てるかなり好感触なものだったので、『ブルームバロウ』にまだ対応できていない人も、全部のカード揃えたぞという人にも分け隔てなくオススメの逸品だ。
白緑2色のこのデッキのメインコンセプトは“アーティファクト・トークン”。食物・手掛かり・地図に宝物……そういったアーティファクトであるトークンを生成する手段に長けている。《ひよっこ捜査員》や《名もなき都市の歩哨》はそれ単体でカード1枚が2枚以上のパーマネントになるためお得な強力カードだが、そのポテンシャルをさらに引き出すためにトークンとシナジー(相乗効果)を生み出すカードを採用している。
最も分かりやすい1枚は《生歯の子ワーム》。アーティファクトが戦場に出ることでライフ1点をもたらし、各ターン最初の1回は+1/+1カウンターも乗せられる。トークンを生成するクリーチャーを展開し、盤面の頭数を確保するとともに子ワームを育て、縦横両方の軸で攻めていく。あるいはトークンが並ぶことで《内なる空の管理人》の能力も起動しやすくなる。この構成なら1ターンに2回起動するのも容易で、これでガンガンと管理人をサイズアップさせて飛行&警戒も持たせて、最強戦力を確保。育成ゲームが好きな人にはピッタリな、低コストで高打点を生みだせるアグロデッキとなっている。
アーティファクト・トークンの使い道は他にもある。パーマネントが並ぶことで《威厳あるバニコーン》のサイズが大きくなり、それらトークンを起動して生け贄にすると《食事を終わらせるもの、ジンジャー卿》がお怒りになってサイズアップ。そしてこれらのカードとも相性が良い《堅いクッキー》は隠れたやり手カードだ。自身も食物を従えて戦場に出てアーティファクトのカウントを増やしてくれるだけでなく、それらのトークンを4/4のクリーチャーにして戦闘に送り出すこともできる。起動コストは決して軽くはないが、アグロデッキの終盤のマナの使い道としては非常に優秀。マナとトークンを遊ばせておく必要はない、それらで殴ってとどめを刺そう!
《薄暮薔薇の聖遺》もトークンや《ひよっこ捜査員》などを生け贄に捧げて唱える。かなり優秀な1マナ除去だが、この生け贄の関係で使えるデッキは限られている。このセレズニア(緑白)デッキはこの追放除去を使う権利を有している、それを存分に行使してクリーチャーの攻撃を対戦相手本体にねじ込もう。
『ブルームバロウ』のカード(ほぼ)不採用のスタンダードのデッキ、皆の目にはどう映ったかな?最新カードを沢山投入したデッキも、そうでないデッキも、いずれも異なる魅力を持っていることがこのコラムを通じて伝われば幸いだ。
『ダスクモーン:戦慄の館』はモダンホラーをテーマにしているだけあって、ホラーではお馴染みのアイテムがアーティファクトとしてカード化されている。今回のセレズニアカラーのアグロに、すぐさまそういった新アイテムを投入しても良し、安定感が約束されている現状のリストでしばらく様子見するも良し。どんな選択をしたって自由、それがスタンダード!それがマジック!
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