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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゴルガリ・ミッドレンジ……詳しく書くなら「見張り亭主ハイブリッド型」(スタンダード)

岩SHOW


 デッキの分類において「これとこれって同じデッキ?」という微妙な差を含んだリストを並べた時の難しさというものがある。普通にゲームをする分には何だって良いのだが、こういうコラムを書いていたり実際の試合をカバレージとして残しているようなマニアな方々には「うーむ」とちょっとした悩みと向き合っていることだろう。特にアグロ・ミッドレンジ・コントロールなどの大きな括りのデッキにおいて起こる問題だ。

 同じミッドレンジと言っても備えている要素が大きく異なる場合、それらは同じアーキタイプとして認識して良いのか?と。ちょっと違うリストがポッと出た、くらいなら悩むこともないのだが……そんなポッと出デッキが浸透して一つの勢力となった場合、そのデッキを他の雑多なデッキと同じ「(色)ミッドレンジ」と括るのはなんとも味気ないし親切でもない。そんなわけで当コラムでは極力、どんなデッキかわかるように表記名にこだわっていこうと、ここに改めて決意した次第である。

 

 こんな話題から始まるってことは、今回のデッキはそんな「他と同じに分類するのも違うよなぁ」と思わせる勢力ということである。それはゴルガリ(黒緑)カラーのミッドレンジのバリエーションだ。《苔森の戦慄騎士》などの軽量クリーチャーを備え、さらに《眠らずの小屋》など2色土地のバリエーションも豊富、クリーチャーを始めあらゆるパーマネントに対処できる色で、手札破壊も行える……という、なんでもできる器用なゴルガリ。アグレッシブに攻めることも、ゆっくりコントロールチックに受けに回ることもできる、ミッドレンジ(中速)デッキを組むにはもってこいなカラーリングであり、スタンダードのイベントではこれが上位に食い込み続けている。そんな「ゴルガリ・ミッドレンジ」はバリエーションが豊富なデッキでもある。

 

 直近で最も目立ったのは《亭主の才能》と《裏切りの棘、ヴラスカ》のコンボを備えたもの。亭主をレベル3まで上げ、すべてのカウンターが乗る数を倍にする。その上でヴラスカを戦場に出し、彼女の[-9]能力を起動すると、対戦相手に9個の毒を乗せ……る代わりに倍の18個を乗せて、一撃で対戦相手を敗北させられる。これらコンボパーツはそれぞれ単体でもクリーチャー強化、ドローと除去として機能するのがエラい。というわけでこのコンボを仕込んだ亭主型ゴルガリが流行……しているのだが。実はもう一つ、○○型と分類すべきリストも出回っている。

Edel - 「ゴルガリ・ミッドレンジ(見張り亭主ハイブリッド型)」
Magic Online Standard League 5-0 / スタンダード (2024年9月2日)[MO] [ARENA]
4 《ラノワールの荒原
4 《花盛りの湿地
4 《眠らずの小屋
3 《寓話の小道
2 《噴水港
6 《
3 《
-土地(26)-

4 《玉虫色の蔦打ち
4 《苔森の戦慄騎士
4 《大洞窟のコウモリ
4 《自由放浪団の見張り
-クリーチャー(16)-
4 《切り崩し
2 《喉首狙い
2 《循環への給餌
2 《羅利骨灰
3 《亭主の才能
2 《ヴェールのリリアナ
3 《裏切りの棘、ヴラスカ
-呪文(18)-
3 《締めつける瘴気
2 《見栄え損ない
4 《強迫
3 《温厚な襞背
1 《ヴェールのリリアナ
2 《向上した精霊信者、ニッサ
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 こちらがその型……とりあえずは亭主ヴラスカコンボを備えているのだが、他の亭主型と同じ扱いをするには……見逃せない部分がある。キーカードは《自由放浪団の見張り》だ。この3マナ3/3到達持ちのクリーチャーは、悪事を働くと土地を供給してくれる可能性がある。ライブラリーの上5枚を見てその中にある土地を戦場に出せるのだ。この悪事というのは、対戦相手やそのパーマネントなどを対象に取ることで条件が満たされる。

 そしてこの悪事を働く係が《玉虫色の蔦打ち》。土地が戦場に出ると、対戦相手を対象に取って1点ダメージを与えられる。つまりこの2体が並んでいるところに土地を出すと……蔦打ちで1点飛ばす、その対象に取ったことでライブラリーの上からさらに土地。その土地が出たことでも蔦打ちが誘発して1点ダメージ、という具合に1枚の土地が2枚目の土地を呼び込みつつ計2点のダメージを発生させる。さらには蔦打ちは新生という能力で、自身のコピーを生成できる。これにより土地1枚が生み出すダメージは最大で4点にまで伸びる。《寓話の小道》を捲ろうものならさらにダメージが上乗せされ……という具合に、毎ターン使えるマナがどんどん増えて相手のライフをガンガンと削っていくことができる。

 この見張り×蔦打ちシステムで毎ターン着実に有利になっていくゴルガリ。マナが増えるので《亭主の才能》のレベルアップや《裏切りの棘、ヴラスカ》を唱えるコストに使ったりと、増えたマナをコンボに還元している。なので「見張り亭主ハイブリッド型ゴルガリ・ミッドレンジ」と表記すれば何を狙っているデッキかわかりやすいね……って長いわ!というわけでアーキタイプ名が最低限の情報しか記していないことにも、意味があったりするんだな。デイリー・デッキは文字数制限などもないので、よりわかりやすく記すことにしよう。見張り型は増えたマナの使い道を《向上した精霊信者、ニッサ》など他の勝ち手段に注ぐ構築もとられているので、様々なリストを見比べて各々自分にフィットする「ゴルガリ・ミッドレンジ」を見つけてちょうだい!

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