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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ナドゥが羽ばたく次なるステージ(レガシー)

岩SHOW


 マジックのカードやデッキのクールさを何よりも大事にする、今週のCool Deckのコーナ~ッ!今回のお題は……《有翼の叡智、ナドゥ》。

 

 モダンに刺激と変革をもたらす『モダンホライゾン3』。そこに収録されたナドゥはモダン環境に舞い降り……そして絶対的な支配者となった。プロツアーやその他賞金制の大会など、ありとあらゆるトーナメントの上位を総ナメ。《手甲》など自身のクリーチャーを対象に取るカードとのコンボは圧倒的な強さを見せつけることになった。

 結果、リリースより2ヶ月と少しでモダンにおいて禁止カードに指定されることとなった。もちろん禁止カードとはネガティブなものであり、それが1枚でも少ないに越したことはない。しかしまあ。時折こういうぶっ壊れカードが嵐のように暴れ回って去っていく……ということも、時間が経てばクールなことに思える。そう筆者は考えている。どんな凶悪なカードやデッキも「あんな時代あったなぁ」と、しみじみと振り返る。こんな経験、マジック人生で一度や二度ではなく、幾度も経験しているのだから……。

 しかしナドゥデッキをプレイしていたユーザーにとってショックが大きいことは事実だ。実際のところ、ターンがやたらと長くなり対戦相手を置き去りにしてしまう、1クリーチャーにつき2回の誘発という点でトラブルが発生しやすい、などのソリティア系デッキ特有の問題は抱えているものの、腕利きのプレイヤーによって完璧に使いこなされたナドゥのコンボムーブというものは見事なまでにクールであった。プレイする方も以下にクールに決められるかを楽しんでいるのが、観戦していて伝わってきたものだ。ナドゥを愛するプレイヤーにとっては残念な結果になってしまったが、これを一つのクールな機会ととらえて、次のステップに進んでみるのはどうだろう。

Shuta Nakamura - 「バント・ナドゥ」
BIG MAGIC OPEN Legacy トップ8 / レガシー (2024年8月17日)[MO] [ARENA]
4 《霧深い雨林
3 《吹きさらしの荒野
1 《Tundra
2 《Tropical Island
1 《Savannah
1 《Bayou
1 《行き届いた書庫
1 《迷路庭園
1 《カラカス
1 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《ドライアドの東屋
1 《冠雪の平地
1 《冠雪の島
2 《冠雪の森
-土地(21)-

4 《コーの遊牧民
3 《喜ぶハーフリング
1 《森を護る者
1 《鋭い目の管理者
1 《棘を播く者、逆棘のビル
4 《有翼の叡智、ナドゥ
1 《忍耐
1 《トレストの使者、レオヴォルド
1 《自然の怒りのタイタン、ウーロ
-クリーチャー(17)-
4 《渦まく知識
4 《思案
4 《剣を鍬に
4 《意志の力
4 《緑の太陽の頂点
2 《時を解す者、テフェリー
-呪文(22)-
2 《否定の力
2 《記憶への放逐
2 《花の絨毯
1 《夏の帳
2 《外科的摘出
1 《忍耐
2 《虹色の終焉
1 《溜め込み屋のアウフ
1 《活性の力
1 《トレストの使者、レオヴォルド
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 というわけで今回はレガシー版のナドゥを使ったデッキのご紹介。モダンを駆け抜けたナドゥは、レガシーでも強い!こちらのリストは先日開催されたBMOレガシーオープン、予選ラウンド1位通過を果たしたもの。383名による9回戦、無敗街道を驀進して9-0、クールすぎるスコアを叩き出したナドゥ。この鳥はレガシーでも強いのかと、その雄姿にあてられた人も少なくないのでは。レガシーではマナを使わずに自身のクリーチャーを対象に取る手段として《コーの遊牧民》を用いることができる。{0}で次にコーが受けるダメージを自身の他のクリーチャーを対象に取り、それに移し替える。これをナドゥ下でクリーチャー1体につき2回ずつ使用し、ライブラリーの上から土地を戦場へ・それ以外は手札へと、爆発的なアドバンテージを獲得する。

 

 ナドゥデッキはそのエンジンを用いて、自身のライブラリーを完全に掘り切って《タッサの神託者》で勝利する、というコンボがゴールを務めていることが多い。モダンの場合はそれを全力で狙いに行くが、レガシーのこのリストはそのようなフィニッシュは用いない。マナと手札を毎ターン大量に獲得すればそれだけで十分に勝てるというわけで、コンボ要素でとんでもないことをするミッドレンジデッキ、というスタイルで構築されている。

 実際にゲームを見ると、コーとナドゥが揃えばその2枚だけで4回の誘発を確保。土地を戦場に出す能力で《霧深い雨林》などの森を探してこれる手段が見つかれば、そこから《ドライアドの東屋》も持ってきてさらに2回。そして対戦相手のターンにもこの動きを行えるので、もうマナも手札も有り余るほど。《意志の力》《剣を鍬に》など対戦相手の動きを妨害する手段を複数セット手に持ってそれらを唱えるのに十分すぎるマナを確保すれば……対戦相手ももう何も出来ないと、投了するしか道はない。こうしたフィニッシュシーンをフィーチャーマッチで披露してくれたのだからクールとしか表現のしようがなかったね。

 

 モダンのナドゥとはまた異なった魅力がレガシーのそれにはある。《緑の太陽の頂点》が使える!とかね。この超強力クリーチャー・サーチを用いて《ドライアドの東屋》《喜ぶハーフリング》を引っ張ってきてマナ加速したり、ナドゥや《森を護る者》などのエンジン部分に繋げても良し。またこのリストでは不採用だが《セファリッドの幻術師》のコンボとのハイブリッドタイプも存在し、それもまた面白い。モダンからは去ってしまったナドゥだが、レガシーという地にてその叡智を発揮していくことになるのだろう。ナドゥ使いがレガシーにこぞって参戦するようになれば、それもまたクールな光景だ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! See you on the next stage!!

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