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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:亭主ヴラスカコンボ……をパイオニアで!(パイオニア)

岩SHOW

 マジックでは謎の法則性のようなものが見つかることがある。一見無関係のものが一つの共通点を持っている……クールな現象が観測されることがあるのだ。たとえば、「亭主という名の緑のカードは強い」。

 

 《エッジウォールの亭主》は1/1と戦闘には不向きなスペックではあるが、出来事を持つを持つカードと組み合わせることで複数枚のドローをもたらす。出来事自体がカード1枚で2枚分の仕事をするというただでさえアドバンテージが稼げる作りなのに、それにドローを付けることで大半のデッキ相手にリソース(資源)勝負で打ち勝ってしまう……これが現役当時のスタンダードでは緑を含む出来事デッキが暴れ回っていたものだ。

 そしてエッジウォールに続くのは《裕福な亭主》。クリーチャーが戦場に出ることでライフを回復できる、歴史上よくあるデザイン……なのだが、これの偉いところは宝物を生成してマナ加速の役目も担うところだ。使い切りとはこのマナ加速は大きいもので、2ターン目亭主→3ターン目4マナというアクションはゲームを決定づけるものになり得る。特に《集合した中隊》との相性は抜群であり、ライフを得ると能力が誘発する天使や神といったカードと組み合わせて、強力なクリーチャー・コンボを成立させている。パイオニアでも現在進行形で活躍中だ。

 

 そして『ブルームバロウ』にて新たにやって来た緑の亭主カードが《亭主の才能》!遂にプレイヤー自身が亭主となる時が来た。この才能に目覚めると、亭主としてクリーチャーに良きものを提供できるように。+1/+1カウンターを乗せることで自身のターンの戦闘の度にクリーチャーを強化。レベル2になるとカウンターが乗ったパーマネントに護法を与えてほんのりと除去耐性をもたらし、レベル3になると……カウンターを乗せる数が倍になる。このカウンターというのは種類を問わないので、蓄積など各種パーマネントが扱うカウンターやプレインズウォーカーの忠誠度など、あらゆるものを加速させることになる。

 そしてスタンダードで注目されたのが《裏切りの棘、ヴラスカ》との組み合わせ。ヴラスカの増殖はカウンターを増やすものだが、これも亭主がレベル3になっていると……凄まじい勢いであらゆるカウンターが増えまくる。これだけでもクールなものだが、注目すべきは[-9]能力。これは対戦相手に毒を9個になるように置くのだが、亭主がある状況でこれを起動すると9個×2でオーバーキルな18個の毒を与えることが可能になる。一撃必殺!レベル3の状況下でヴラスカを叩きつけ、忠誠度12のヴラスカで即[-9]……最高にクールなモーメント。

 この2枚で勝てるコンボを潜ませたゴルガリ(黒緑)カラーのミッドレンジ(中速デッキ)がスタンダードで人気を集めている。というわけで今回紹介するのはそのデッキ……ではないんだな、これが。

AHubbard - 「ゴルガリ・ミッドレンジ」
Magic Online Pioneer League 5-0 / パイオニア (2024年8月13日)[MO] [ARENA]
4 《草むした墓
4 《ラノワールの荒原
4 《花盛りの湿地
4 《闇孔の小道
2 《目玉の暴君の住処
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《耐え抜くもの、母聖樹
5 《
-土地(25)-

4 《苔森の戦慄騎士
3 《腐食の荒馬
3 《墓地の侵入者
2 《黙示録、シェオルドレッド
1 《ゲトの裏切り者、カリタス
-クリーチャー(13)-
4 《思考囲い
1 《強迫
4 《致命的な一押し
1 《苦々しい勝利
2 《喉首狙い
4 《亭主の才能
2 《ヴェールのリリアナ
4 《裏切りの棘、ヴラスカ
-呪文(22)-
1 《切り崩し
3 《絶滅の契機
2 《強迫
2 《毒を選べ
2 《未認可霊柩車
4 《暮影の騎士
1 《ヴェールのリリアナ
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 

 というわけで毎週金曜日、マジックのデッキをクールという観点から選んで紹介するCool Deckのコーナー。今回はスタンダード……と見せかけてパイオニアの「亭主ヴラスカコンボ」を紹介しよう。《苔森の戦慄騎士》をはじめかなりの数のカードがスタンダードのゴルガリと被っているが、これは純粋にそれらのカードが強いからに他ならない。パイオニアでも十分に通用するパワーカード達で固めて、クリーチャーを展開して相手の妨害をしながら殴る……シンプルな戦術に、亭主×ヴラスカのコンボというルートも備えている、スマートでクールなデッキだ。

 スタンダードとの最大の違いは、軽い非クリーチャー呪文の強さ。クリーチャーを除去から守り、コンボを通しに行くための手札破壊は《思考囲い》で行う。なんだかんだこのカードがパイオニアという環境を定義しているね。相手のデッキの正体を明かし、初動を挫いたり後半に控えている大技やコンボの成立を阻止する……黒いデッキのたしなみ、パイオニアの黒がやっていけているのはこの1マナ手札破壊があるのが最大の理由だ。そして《致命的な一押し》という軽量除去の最良の選択肢も。殴って除去って、亭主で強化してまた殴るという勝ち筋もこれで万全ってわけだ。黒いミッドレンジ、安定感がパナくクール!

 

 亭主と相性が良い黒いカードは他にも用意されている。《ヴェールのリリアナ》は才能レベル3の状況で出すといきなり[-6]能力を起動できる。いきなりパーマネントの数が半分になるのはクールにエグいッ。また[+1]と[-2]の交互の起動も非常にスムーズにいくのでガンガンとリソースを削ってロングゲームに持ち込める。クリーチャーを見れば《ゲトの裏切り者、カリタス》も実は噛んでるんだよな。相手のクリーチャーを除去すればゾンビが発生。そのゾンビを食ってカリタスは+1/+1カウンターを2個得る。これが3個に伸びるのは微々たる違いかもしれないが、そういう微差が勝敗を分ける大きなファクターになるというものなのだよ。

 毒18個のオーバーキルはぶちかますとクセになる、もう1回これで勝ちたいという気持ちがふつふつと湧いてくるクールすぎるゲーム体験。緑の亭主カードは強いの法則、信じてくれるかな?クールな返事を期待しつつ、今週はここまで。Stay cool! Bloom your talent!!

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