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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ボロス・エネルギー:溢れるエナジーと猫の群れ(モダン)

岩SHOW
 

 皆はプロツアー『モダンホライゾン3』でどんなデッキが優勝すると考えていた?やっぱり話題の中心、ド本命の《有翼の叡智、ナドゥ》を使ったコンボ?エルドラージやトロンなどの無色系のデッキ?それとも意外と既存のモダンのデッキ?モダンはデッキの数も多いから、各々が思い入れのあるデッキに優勝してほしいと願っていたんじゃないだろうかね。

 僕は……最近MTGアリーナでタイムレスをよくプレイしていて、そこではほとんどモダンと同じ構成のあるデッキが大暴れしている。モダンやレガシーでさえ使えないようなカードも存在する環境で、ほぼモダホラ3のカードで構成されているデッキが猛威を振るっているもんだから……このデッキがプロツアー勝つんじゃないか?と本命に推していたデッキがあった。蓋を開けてみると、意外にもそのデッキの使用率は高くはなかった。2番手喰らいに行くんじゃないかという勢いもあったんだけども……どうやらプロツアー参加者の間では研究も進んで、このデッキを避ける者が多かったようだ。トップ8に残れなかったそのデッキではあるが、モダンラウンド全10回戦を6勝以上の成績で終えたプレイヤーは4名いた。さらにプロツアーが行われている同会場で開催されていたマジックコンの各種イベントでは、上位に名を連ねているところを見ると、やはりデッキの地力はあるようだ。今後のモダンでも注目すべきデッキの一つ、その名は「ボロス(赤白)・エネルギー」!

Bora Sarioglu - 「Boros Energy」
プロツアー『モダンホライゾン3』 / モダン(2024年6月28~30日)[MO] [ARENA]
2 《平地
3 《霊気拠点
2 《栄光の闘技場
4 《乾燥台地
2 《優雅な談話室
2 《溢れかえる岸辺
2 《湿地の干潟
1 《
4 《聖なる鋳造所
-土地(22)-

4 《ナカティルの最下層民、アジャニ
4 《火の怒りのタイタン、フレージ
4 《色めき立つ猛竜
4 《魂の導き手
4 《オセロットの群れ
-クリーチャー(20)-
3 《鏡割りの寓話
4 《電気放出
3 《稲妻
4 《不安定な護符
4 《静牢
-呪文(18)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ
2 《過酷な指導者
2 《摩耗 // 損耗
2 《天界の粛清
2 《未認可霊柩車
3 《減衰球
3 《血染めの月
-サイドボード(15)-

湧き出る源、ジェガンサ
-相棒 -
 

 モダホラ3では主に白と赤、そして青にエネルギーというテーマが割り振られている。特に白と赤のものはコストが軽くて使いやすいものが揃った充実のラインナップ!特に《魂の導き手》は、クリーチャーを戦場に出すというゆるい条件でライフとエネルギーを供給してくれる優秀な1マナ圏。エネルギーを3つ消費して攻撃クリーチャーを天使にすることもできる、自己完結した強さがいかにもモダホラ産のカードというハイパワーっぷりに恐れ入る。この導き手にはじまる軽量クリーチャーの攻撃を、エネルギー関係のカードでバックアップしていく構造のデッキだ。《稲妻》よりも優先されている1マナのダメージ除去《電気放出》からもこのデッキのエネルギーの重要さが伝わってくる。放出は得たエネルギーを全部注ぐ必要はなく、タフネス1や2のクリーチャーを焼きながらエネルギーを増やして……という動きができて、このちょっとした副産物がゲームの勝敗に大きく関わることになるのだ。

 

 エネルギーの消費先は《静牢》の維持などもあるが、よりアクティブに使えるカード達がこのデッキの最大の魅力だ。《色めき立つ猛竜》は2マナ2/1先制攻撃、これだけだとモダンという環境ではパワー不足ではあるが、そこにエネルギーを得てさらにそれを使ってライブラリーから公開されたカードをマナなしで唱えるという能力が付いた途端……環境でも屈指の強力な2マナ域となった。続唱によく似たこの能力、捲れるカードは選べないが、上手くいけば2マナで計5マナや4マナ分のカードに化ける。どれだけ効果が薄くとも2マナで3マナ分のカード2枚になるのだから、絶対に得するこのクリーチャーを使わない手はない。

 セットで用いるとより強いのが《不安定な護符》。この護符もまたエネルギーを2つ使ってライブラリーから追放したカードをプレイすることが可能になる、アドバンテージ源だ。本体が2マナという軽さで、複数回起動できるこの能力……猛竜共々アンコモンと侮るなかれ、レアや神話レアも裸足で逃げ出す、モダホラ3の赤を代表するカード達だ。ボロスカラーのアグロというアーキタイプ特有の手札が切れやすいという弱点が、この2枚でカバーされたのだからそりゃ強いわけだわ。

回転

 

 赤のエース級カードがアンコモンであるのと対照的に、モダホラ3の白の神話レア2種も軽くてメチャ強!《ナカティルの最下層民、アジャニ》は2マナで1/2と2/1というだけでもお得なクリーチャーなのに、他の猫が死亡すると怒り狂ってプレインズウォーカーに変身!《ナカティルの報復者、アジャニ》は特に[0]能力がヤバい、新たな猫の仲間を引き連れつつ、クリーチャーの数だけのダメージをどこにでも飛ばせる……対戦相手本体にも!これで一気にライフを削り取れるし、小型クリーチャーを展開するデッキはアジャニ1人にすべて焼き払われてしまうので、なかなかアジャニ本人以外の猫を除去したりブロックすることができないというわけなのだ。

 他の猫と言えば《オセロットの群れ》も1マナにしてすぐに除去しないとひどい目に合うという猛烈なプレッシャーを放つ1枚。特に《魂の導き手》と並ぶと、ライフを得ては猫が出てくるというのが毎ターン延々と繰り返されることに。緒と油断するともう盤面は猫まみれ。微笑ましいが、それらがすべて牙と爪をこちらに向けてくるのだからたまらない。オセロットを除去すればアジャニがキレる、放っておいてもアジャニの2枚目がレジェンドルールで死亡して勝手にブチギレ……モダンの猫は自由気まま過ぎるって!これらの猫の強さから英語圏では「エナジー・キャット」というアーキタイプ名で呼ばれることもあるね。

 

 プロツアー上位入賞とはならなかったが、モダンのボロス、この夏さらに目立つと信じている。それを確信させた激ヤバムーブが……《栄光の闘技場》を督励して得たマナから《火の怒りのタイタン、フレージ》の脱出!これでフレージが速攻持ちになり、戦場に出た時と攻撃した時の2回で6点ダメージをばら撒きつつ、6点回復。本人のパワーも合計して、いきなり12点喰らって負け、ということがあるので……皆も気を付けてくれよな!(何度もやられて気絶寸前)

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