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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ガラクタも加わりより捗る、白単イニシアチブ(ヴィンテージ)

岩SHOW
 

 『モダンホライゾン3』の収録カードには「これで環境を変えてくれ!」と言わんばかりなカードが色々と。スタンダードを経由しないセットだからこそ、あからさまな対策カードを積むことがOKなところはあるよね。それを思いっきり体現しているのが《苛立たしいガラクタ》。これぞモダホラの対策カード!マナを支払わずに唱えられた呪文を打ち消すという、モダホラ1や2の強力カードに対して許すまじと言わんばかりの気合いが入ったアーティファクトだ。

 

 マナが支払われずに唱えられた呪文とは?もっともわかりやすいのはマナコストに{0}と書かれているもの。《羽ばたき飛行機械》や《ミシュラのガラクタ》のようなカードはこれを置いておくだけで完封。また、モダホラの強カード群といえば《活性の力》や《悲嘆》といった、代替コストを持つカード。印刷されているマナコストを支払う代わりに、他に設定されたコスト……手札の追放や何かの生け贄などでコストを支払って唱えられたカードも、ガラクタでシャットアウト。こういったカードはスタンダードではそう多くはないが、モダンやエターナル環境などでは飛び交うのが日常茶飯事。色んなカードのアンチテーゼとして、環境にメスを入れるクールな1枚が参入!

 

 {0}コストのカードと言えば……やっぱり思い浮かぶのはヴィンテージ。《ブラック・ロータス》や各種Mox、《魔力の墓所》などなど……{0}のアーティファクトにマナ基盤を依存したデッキが圧倒的多数だ。ガラクタを用いれば、これらのマナ加速に頼ったヴィンテージのデッキを機能不全に陥らせることもできるだろう!先手で自分だけ先にMox並べて、ガラクタで蓋するなんて最高にクールだ。後出しになっても、《逆説的な結果》でMoxを回収して出してと繰り返すことを狙うデッキや、《意志の力》等に対する抑止力になってくれるのであれば十分な仕事っぷりだ。

 このガラクタを用いたクールなデッキリストを見つけたので、何よりもクールさを基準としてデッキを紹介しているこのCool Deckのコーナーで取り上げさせていただこう。Check it out!

kbrakke - 「白単イニシアチブ」
NYSE Open VIII 14位(6-2) / ヴィンテージ (2024年6月22日)[MO] [ARENA]
4 《古えの墳墓
4 《魂の洞窟
1 《露天鉱床
4 《不毛の大地
1 《カラカス
2 《平地
-土地(16)-

3 《不屈の解体者
1 《スレイベンの守護者、サリア
4 《白羽山の冒険者
4 《エメリアのアルコン
2 《選定された平和の番人
4 《練達の地下探検家
4 《魔女の結界師
1 《孤独
4 《別館の大長
-クリーチャー(27)-
1 《ブラック・ロータス
1 《Mox Pearl
1 《Mox Sapphire
1 《Mox Jet
1 《Mox Ruby
1 《Mox Emerald
4 《金属モックス
1 《水蓮の花びら
1 《魔力の墓所
1 《虚空の杯
1 《三なる宝球
3 《苛立たしいガラクタ
-呪文(17)-
3 《剣を鍬に
3 《赦免のアルコン
4 《封じ込める僧侶
1 《戦争の報い、禍汰奇
4 《無のロッド
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 というわけで今回は久しぶりにヴィンテージのデッキより……「白単イニシアチブ」!ヴィンテージで青以外で単色のデッキというのもクールだし、クリーチャーが27枚という構成もその他の呪文に偏重しがちなこの環境ではクールに映る。《白羽山の冒険者》と《練達の地下探検家》、2種類のクリーチャーでイニシアチブを握り、地下街を探索してアドバンテージを得ながら攻めていくビートダウンデッキだ。

 先に述べたように、ヴィンテージではアーティファクト・インスタント・ソーサリーばかりで戦ってほとんど戦闘をしない……というデッキが他のフォーマットよりも高い比率で存在している。イニシアチブは戦闘ダメージを与えることで奪い合うもの。ヴィンテージ環境では奪われることなく、一方的にこれの恩恵を受けられるマッチアップが多くなる。イニシアチブというデッキ選択はかなり理にかなったクールなチョイスなのだ。

 

 白のクリーチャーというのは妨害能力に大変に長けたものが多く、歴代クリーチャーの中でも選りすぐりのものがこのリストには搭載されている。それらで対戦相手のやりたいことをさせないまま、地下街の加護を得て殴り勝つ。この妨害がMoxなどを特に狙い撃ちしており、ガラクタと合わせることで徹底的に{0}アーティファクトを否定しにかかる。

 《不屈の解体者》なんかはまさしくヴィンテージでこそ強いクリーチャー。対戦相手のアーティファクトはタップ状態で戦場に出るので、いかに《ブラック・ロータス》といえどマナ加速できるのは出した次のターンから。大きく減速させながら、マナ総量X以下のアーティファクトをまとめて破壊する能力も備えている、名前通りの解体者っぷり。普通のアーティファクトを破壊しようと思えば、{X}{X}というコストが重くのしかかるが……{0}に対しては{0}{0}で良いのだから、楽ちん。《エメリアのアルコン》もマナ加速を否定する者。プレイヤーは1ターンに1回しか呪文を唱えられないので、ロータス置いて、はいそこでターン終了。ドローで引いて、そこまで。フラストレーションの貯まる妨害で締め上げていく。また基本でない土地はタップ状態で出るという、相手だけ強いる能力も極悪。《Bazaar of Baghdad》のような土地に依存するデッキも、これには参る。タップ状態でやむなく出てきたところを《不毛の大地》《露天鉱床》で叩き割って、心も粉砕すべし!

 マジックには各フォーマットに醍醐味というものがある。ヴィンテージでは《ブラック・ロータス》ら{0}アーティファクトで最序盤からマナを覚悟して動くことがそれなわけだが、同時にその他人にとっての醍醐味を台無しにする、これもまた醍醐味としてあるわけだ。《苛立たしいガラクタ》で{0}否定戦術はより強化された形に。最新セットがヴィンテージにまで影響を与えていることを確認したところで、今週はここまで。Stay cool! Let's play with baubles!!

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