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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

全部呪文だAll My Spells、されど土地も入っている?(レガシー)

岩SHOW

 さあ今週も楽しいデッキを紹介しよう、デイリー・デッキの一週間の始まりだ。今回は月曜日の目覚ましに丁度良い、思わず二度見したくなる歪な形のデッキリストを見ていただこう。レガシーにおける、コンボデッキの一つの究極形だ。

duke12 - 「All My Spells(Opps! All Spells)」
Magic Online Legacy Preliminary 準優勝 / レガシー (2024年6月19日)[MO] [ARENA]

-土地(0)-

4《ボガートの獲物さらい
4《地底街の密告人
4《欄干のスパイ
4《悲嘆
4《ナルコメーバ
1《タッサの神託者
-クリーチャー(21)-
4《アガディームの覚醒
4《不敬者破り
4《金属モックス
4《水蓮の花びら
4《暗黒の儀式
4《弱者選別
4《納墓
4《再活性
1《陰謀団式療法
1《戦慄の復活
4《否定の契約
1《暴露
-呪文(39)-
3《神聖の力線
4《大群への給餌
4《ライオンの瞳のダイアモンド
4《ゴブリンの放火砲
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 

 土地の枚数0、すべてのカードが呪文(Spell)で構成されたこのコンボは「Opps! All Spells」「All My Spells」などアメリカンなリアクション全開の名で呼ばれている。全部呪文だ!そんなデッキを何故組むのか?その答えは《地底街の密告人》と《欄干のスパイ》にある。密告人の起動型能力及びスパイの誘発型能力は、プレイヤーを対象にしてそのライブラリーの上から土地が公開されるまでカードを捲って、それらを墓地に落とす。大量切削を行うこれらスパイたちを自分に対して使うと……ライブラリーがすべて墓地に!

 

 ライブラリーが空になれば、それが勝利に繋がる。《タッサの神託者》だ。青の信心よりもライブラリーの枚数が少なければ勝てるので、これが戦場に出た時にライブラリーが損座しなければ即勝利だ。スパイを決めたうえで手札から唱えても良いが、手間がかかるのでそもそもの神託者の枚数を抑えて、それに墓地に落ちてもらう。これを《再活性》したり、同じく墓地に落ちた《戦慄の復活》を使ったりと、リアニメイトして勝利を狙う。復活のコストにする生け贄は、ライブラリーが全部墓地に落ちた時に発生する《ナルコメーバ》を用いる。ナルコ復活ルートであれば、スパイに必要な4マナさえあればそれでコンボが完成する。

 

 この4マナは《金属モックス》や《水蓮の花びら》、《暗黒の儀式》などマナ加速を用いて速やかに捻出する。中でもスマートなのは《悲嘆》を使うルート。手札から黒いカードを追放し、マナなしで唱えた《悲嘆》。これはこのままだと生け贄になってしまうので、その能力を解決する前に《弱者選別》の生け贄にしてしまう。これで4マナ、さあコンボ始動だ。《悲嘆》で手札を覗いてから動けるという点も手堅く、激強ムーブだ。

回転

 

 さてこの「All My Spells」、いかにライブラリーがすべて土地以外であることが理想と言っても、完全に土地がない構成ではコンボの精度は不安定なものに。それを解決するのが《アガディームの覚醒》などの第2面が土地になっている呪文カードだ。これらはライブラリーや手札にある時は呪文として扱われるが、第2面である土地としてプレイすることができる。この呪文兼土地カードを複数採用することで、普通のデッキのように土地をプレイしながらスパイらでの全切削を決められる。土地モードを備えた呪文たちは、3点のライフを支払うことでアンタップインする神話レアのサイクル以外は、タップインするものばかりだった。

 ところがこの3点ライフでアンタップインする、ボルトランド(3点喰らうことを《稲妻》とかけている)に新顔が登場!それも各色に2枚ずつ!『モダンホライゾン3』ではアンコモンにボルトランドが収録されている。しかもその中でも黒は《ボガートの獲物さらい》《不敬者破り》とどちらも呪文としても使えるものになっており、強い!アガディームと併せて12枚、黒単色で安定したマナ基盤を得ることに成功し、スパイ系コンボは以前よりも一歩完成度が高まったのである。グダグダになった時は獲物さらいを出して殴って勝つ……これもまた楽しいひと時だ。

 

 このリストはサイドボードも種類が少なくてわかりやすいのが最高!(笑)。相手が手札破壊を使うデッキだったら《神聖の力線》でゲーム開始時からそれらをシャットアウト!クリーチャーやエンチャントが厄介なゲームが予想されるなら《大群への給餌》で除去追加。そして……ライブラリーを《忍耐》で強引に戻して神託者WINを防いでくるような相手……あるいは《虚空の力線》でそもそも墓地から色んなカードを使いまわすプランを潰してくることが予想される相手なんかだと、《ゴブリンの放火砲》で勝ち手段を増量!これはライブラリーを公開していって、土地が捲れればそこでストップ。それまでに公開したカードの枚数分だけダメージを与えられる。土地のないこのデッキだと、40点以上を与えることが期待できるというわけだ。墓地に依存しないコンボで軸をずらす!このルートはスパイらと違って放火砲のコストに加えて起動の3マナ、計7マナが必要になる。一旦置いてターンを返すのはリスクが高いので、放火砲設置と同時にぶっ放すために《ライオンの瞳のダイアモンド》も追加!

 さあ貪欲に1ターンキルを狙おうぜ。歪な形のコンボって、やっぱり最高だ。

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