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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
ドレッジ・ヴァイン:カエルの歌が聞こえてくるぞ(モダン)
雨の夜。家から少し歩いたところに田んぼがあり、そこからは鳴りやまぬカエルのコーラスが聞こえる……梅雨や夏の始まりに出くわす定番のシチュエーションだ。《超能力蛙》、かわいいね。この夏も強く生きるぞという決意表明のように、たくましく鳴いているのを耳にすると……こちらもエネルギーをもらったような気持ちになる。マジックでもカエルは一部人気カードを備えており、歴史あるクリーチャー・タイプだ。『モダンホライゾン3』では新顔のカエル、《超能力蛙》が登場。
青と黒、2色のクリーチャーである《超能力蛙》。このカエルは手札を捨てると+1/+1カウンターを得るという起動型能力を持つ。また墓地を3枚追放すれば飛行も持つ、ビヨーーンと大ジャンプってことだな。この色と手札&墓地を消費してパワーアップするというところが、往年の名カード《サイカトグ》を思い起こさせる。こいつ、初出当時は本当に強いカードだったんだよなぁ……当時より20年以上時を経てクリーチャーの質は全体的に大幅向上。今のマジックで《サイカトグ》が活躍するにはカードパワーが足らないが……カウンターという永続的な強化に切り替わり、さらには戦闘ダメージをプレイヤーかプレインズウォーカーに与えれば、カードが1枚引ける!このドローというダイレクトなアドバンテージ、単純に強い上に自身の能力のコストになってくれるという自己完結っぷり。サイカを使っていた世代も、知らない世代も、このカエルを使ったデッキを遊んでみてほしいものだ。たとえば、手札を捨てることにフォーカスしてこんなデッキとか……
4《汚染された三角州》 3《新緑の地下墓地》 4《霧深い雨林》 3《湿った墓》 1《草むした墓》 1《繁殖池》 1《地底街の下水道》 1《島》 1《沼》 -土地(19)- 4《面晶体のカニ》 4《マーフォークの秘守り》 4《縫い師への供給者》 3《墓所這い》 4《超能力蛙》 2《恐血鬼》 2《ナルコメーバ》 4《秘蔵の縫合体》 4《復讐蔦》 1《不可思議》 -クリーチャー(32)- |
4《異世界の凝視》 4《這い寄る恐怖》 1《黄泉帰る悪夢》 -呪文(9)- |
1《耐え抜くもの、母聖樹》 4《機能不全ダニ》 3《拒絶の閃光》 3《悪意の閃光》 4《虚空の力線》 -サイドボード(15)- |
そんなわけで今回はモダホラ3環境対応、《超能力蛙》4枚入りの……「ドレッジ」をご紹介!まず先に謝っておかねば。ドレッジというアーキタイプ名ではあるが、発掘(Dredge/ドレッジ)能力を持ったカードは入っていない。ドローする代わりに規定枚数分の切削を行って墓地から手札に戻すという発掘能力持ちと、墓地から戦場に戻る各種クリーチャーを組み合わせてマナを支払わずにクリーチャーを複数戦場に並べるというのがドレッジのコンセプト。この概念墓地から戻るクリーチャーが主役という概念だけが受け継がれ、現モダンで組まれるドレッジ系のデッキは《面晶体のカニ》《縫い師への供給者》などの切削を行うカードでコツコツと墓地を作っていく。これらの切削スタッフに加えて、手札に来たクリーチャーは《超能力蛙》で捨てる。これで隙の無い墓地耕しが可能だ。
切削してライブラリーから墓地に落とすカードの中に《ナルコメーバ》があれば、それは戦場に出せる。土地を置ければ《恐血鬼》、供給者などゾンビをコントロールしていれば《墓所這い》を唱えるなどなど、墓地から効率よくクリーチャーを戦場に送り出すのがデッキの狙いだ。そしてそれらが戦場に出れば《秘蔵の縫合体》も誘発し続けて戦場に躍り出る。こうしてワラワラ湧いてくる死を超越した軍団は、追放でもされない限りちょっとしたきっかけで何度も戦場を立て直す。クリーチャーのサイズの勝負ではそれほど強くなくとも、破壊やダメージ系の除去を使う相手にはしぶとく、強く戦える!
そしてこのリストはドレッジの中でも「ドレッジ・ヴァイン」と呼ばれるタイプ。ヴァインとは《復讐蔦》のこと。同一ターンに2回目のクリーチャー呪文を唱えた際、この蔦は墓地から戦場に駆け付ける。パワー4で速攻持ちと高打点を誇り、これを2ターン目から走らせるというのがデッキのブン回りパターンになっている。たっぷりと墓地を作ってから《墓所這い》などで条件を満たし、一気に複数体の蔦を戻し……さらに《不可思議》など絡めれば、対戦相手のライフは瞬く間に溶けてなくなる。メインデッキの理不尽なまでのラッシュ力、これぞドレッジ系デッキの魅力!
このドレッジは墓地に依存したデッキであるため、メインは大暴れしてサイド後の2ゲームが本番というところがある。墓地対策は本当に苦手、《安らかなる眠り》1枚などで完全に封殺されてしまう。サイドボードは《機能不全ダニ》をたっぷり採用するなど、墓地対策への対策をしっかりと備えてそれらで勝負。このサイド後のゲームが辛いものになりがちだが、そこを墓地とは関係のない勝ち筋になる《超能力蛙》で戦う、というのは理にかなっている。不要カードを捨ててこれを育てて攻撃、対戦相手の墓地対策が全くの無意味となり果ててゲーム終了……理想的な展開に持っていければ、また再びドレッジの時代が到来するかも?《拒絶の閃光》は相手の墓地対策、あるいは《超能力蛙》への除去などを打ち消せる、これまた期待のニューカード。
さあ、モダン環境にてカエルの大合唱となるか?アムステルダムの地で何が起こるかも見届けないとな!
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