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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

エルドラージ・トロン:迷宮と新エルドラージの実力やいかに(モダン)

岩SHOW

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 『モダンホライゾン3』がこの夏を彩る……このセットは特殊なものなので背景ストーリーは存在していないが、カード名やイラストには様々な次元のエッセンスを感じ取ることができる。そしてメインビジュアルはエルドラージが務めている。先ほどこのセットが彩ると表現したが、これは間違いだったかも。次元と次元の狭間を埋めるように存在する何もない暗黒の空間、久遠の闇。そこで生まれたとされるエルドラージ達は、他の生物のように表情などを持たず生物学的な秩序もない歪な構造をしている。次元に侵入するとそこに存在するあらゆるものを喰らい、繁殖し、そして次元の住人らもエルドラージへと変貌させる……色を持たない無色マナに基づく生物であるエルドラージらが、モダホラ3の主役なのだ。

 ストーリー上ではコジレックとウラモグは破壊され、エムラクールはイニストラードの月に封印された。しばらく登場していないのだが、新ファイレクシアが壊滅した今、再び悪役の座をこの欠色生命体が担うことになるのだろうか……そんな不安をかき立てるエルドラージの軍団は、ゲームにおいてはエキサイティングなデザインで楽しませてくれるプレイヤーの味方でもある。

 

 特に同セットには《ウギンの迷宮》が収録されている。7マナ以上の無色の呪文を手札から追放するという条件付きではあるが、モダン環境に無色2マナを加える土地が参入する!この土地を使って最序盤からマナの差をつけ、より強力なカードで対戦相手を押しつぶすことを狙うデッキ……それはもう多くのプレイヤーが組んで使って暴れることだろう。現在は最新セットのカードは、プレリリースが開催されたタイミングで各フォーマットにて使用することが可能になっている。プレリ週末、早速モダンの大型トーナメントが開催され……そこではエルドラージが早速上位入賞!モダン環境の行方を担う、そのデッキリストを確認しよう!

Damian Del Nero - 「エルドラージ・トロン」
K RCQ - Modern - SCG CON Las Vegas トップ4 / モダン (2024年6月10日)[MO] [ARENA]
4《エルドラージの寺院
4《ウギンの迷宮
4《ウルザの魔力炉
4《ウルザの鉱山
4《ウルザの塔
2《
-土地(22)-

4《まき散らす菌糸生物
4《難題の予見者
4《運命を貪るもの
3《世界を壊すもの
2《絶え間ない飢餓、ウラモグ
-クリーチャー(17)-
4《彩色の宝球
4《探検の地図
3《一つの指輪
3《全ては塵
3《コジレックの命令
4《大いなる創造者、カーン
-呪文(21)-
1《宝石の洞窟
1《トーモッドの墓所
1《大祖始の遺産
1《真髄の針
1《液鋼の塗膜
1《石の脳
1《呪われたトーテム像
1《漸増爆弾
1《三なる宝球
1《罠の橋
1《ファイレクシアの変形者
1《一つの指輪
1《隔離するタイタン
1《仕組まれた爆薬
1《歩行バリスタ
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 

 「エルドラージ・トロン」!トロンとは《ウルザの塔》《ウルザの鉱山》《ウルザの魔力炉》の3種類の土地を揃え、大量の無色マナを捻出。これを用いてマナ総量の大きなカード唱えるパワフルなアーキタイプ。無色マナを大量に得られるので、これを使ってエルドラージを唱えることも狙った形が存在している。《難題の予見者》などで対戦相手にプレッシャーをかけながら、《大いなる創造者、カーン》から様々なアーティファクトを持ってきて盤面を固める……このリストはその最新モデル!ウルザ土地に加えて《ウギンの迷宮》が加わり、無色マナエンジンはさらにパワーアップ!

 

 トロンというデッキはウルザ土地3種を揃えてナンボ。迷宮も7マナ以上のカードとセットで手札に来てこそ意味がある。そんなわけで「エルドラージ・トロン」は《探検の地図》のようなサーチを重要視している。そして新カードである《運命を貪るもの》はこのトロンの戦い方をサポートする戦力になれそうだ。ゲーム開始時に手札から公開することで、ライブラリーの上から4枚を見てそのうち1枚を残し、他は追放するというトップ操作が行える。最初のアップキープにこれを行うので、最初のドローをより望ましいものに調整することが可能という、そういうデザインになっている。これで足りていないウルザ土地を上に持ってきたり、それらにアクセスするカードを確保したり……迷宮を引き込むことができれば、そのまま貪るものを刻印してしまうというのはスマートなやり方だ。6/6で唱えれば色付きのパーマネントを追放するという、《絶え間ない飢餓、ウラモグ》の赤ん坊のような性能なのでトロンのマナ基盤から唱えれば十分な脅威にもなってくれる。これは期待できる、痒い所に手が届く系のカードがやって来たものだ。

 

 土地を揃えるという点では《まき散らす菌糸生物》はよりダイレクトにそれに貢献してくれる。唱えれば、ライブラリーから土地をサーチしてそれを戦場へ。基本土地という縛りがなく、ウルザ土地でも迷宮でもなんでも持ってこれる!さらにアンタップ状態で戦場に出るので、4マナ払って《ウルザの塔》を持ってきて3マナ加えて……というえげつないムーブも可能。3/3と最低限の戦力になり、またキッカーを支払えば土地を1枚追放するオマケが。自分は土地が増えて相手は減る、傍若無人さがたまらないッ!《世界を壊すもの》やウラモグ、そしてカーンと《液鋼の塗膜》の組み合わせと併せて、対戦相手の土地を根絶やしにするというプランも備えている。一方的なゲーム展開は実にエルドラージらしい。

 

 《コジレックの命令》も無色マナを大量に生み出すデッキの新しい選択肢に。落とし子を大量に並べてブロック役にしたり、それらを餌に大型エルドラージに繋げたり。占術でライブラリーを掘り下げ、大技を探し当ててドローしたり。墓地追放も堅実に働き、マナ効率に優れているわけではないが、大振りなデッキの隙間を埋めるいぶし銀としていい仕事をしてくれる予感。「エルドラージ・トロン」、プレビューの段階でも隆盛が予測されていたデッキではあるが……今後、どれだけ勢力を伸ばしていくだろうか?プロツアーまで、その動向を見守るのが日課になってしまったな。

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