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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

切り裂き魔を繰り出す……リラー・リアニメイト!(スタンダード)

岩SHOW

 やあ、前回のコラムも読んでくれたかな?そちらで最後に予告していた通り、今回も《血管切り裂き魔》を用いたコンボを紹介しよう。まずは主役、切り裂き魔の長所と短所から振り返ってみよう。

長所
  • デカくて飛行を持っている。戦闘面で攻撃ブロック両面を任せられる
  • 護法持ちであり、かつその要求コストがクリーチャー1体の生け贄。一部のデッキでは支払いが困難であり高い除去耐性を誇る
  • クリーチャーが死亡時に2点のライフを吸い取る能力が誘発。その他のクリーチャーは勿論自身の死亡でも対戦相手のものでも誘発する範囲の広さ
  • まとめると、この切り裂き魔を討ち取るのに無傷で済む手段は限られたものである
  • 吸血鬼のタイプも持っているので様々な恩恵が受けられる
短所
  • なんだかんだで6マナは重い。黒のトリプルシンボルであるため扱えるデッキが限られる
  • 同マナのクリーチャーに比べるとタフネスはそう高くなく、押されている状況を1枚でひっくり返せるかどうかは相手のクリーチャーとライフ次第

 総括すると、他所はあるにはあるが、戦場に出すことができるデッキであれば長所の方が勝る。これだけ強力なクリーチャーをどうやって戦場に出すのか……パイオニアでは《傲慢な血王、ソリン》で手札から直接射出するという方法を用いる他、宝物などのマナ加速も使ってこの高コスト吸血鬼を降臨させる。ではスタンダードではどう運用するか……ここがコンボデザイナーの腕の見せ所。面白いアイディアを取り入れたデッキリストを見つけたので、皆にも共有させていただこう。

HexMTG - 「リラー・リアニメイト」
スタンダード (2024年5月29日)[MO] [ARENA]
4《ザンダーの居室
2《地底の大河
1《硫黄泉
1《シヴの浅瀬
2《闇滑りの岸
2《黒割れの崖
2《尖塔断の運河
2《難破船の湿地
2《憑依された峰
2《嵐削りの海岸
1《天上都市、大田原
1《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1《反逆のるつぼ、霜剣山
1《
1《
1《
-土地(26)-

4《負け知らずの精鋭射手、リラー
4《血管切り裂き魔
2《早駆ける業火、カラミティ
-クリーチャー(10)-
4《溶鉄の崩壊
4《間の悪い爆発
3《三歩先
4《染みついた耽溺
1《眼識の収集
2《貴顕廊一家の魔除け
4《押し出し // 引き抜き
2《蔓延する窃盗
-呪文(24)-
X より引用)

 

 このリストはパッと見ではわかりにくいが、リアニメイトデッキだ。リアニメイトは墓地からクリーチャーを戦場に出す、主に黒いカードを用いるアクションおよびそれを主軸としたデッキのこと。このデッキがリアニメイト手段として用いるのは《引き抜き》。6マナで墓地から2体のクリーチャーを戻し、速攻を与える。マナ効率に非常に優れてはいるが、こうしてリアニメイトしたクリーチャーはターン終了時に生け贄に捧げられるという期限付き……もうわかったよね。この消費期限付きのリアニメイトが、切り裂き魔にとってはデメリットにならないということを。2体の切り裂き魔を釣り上げた場合、速攻を持った2体で攻撃して12点。その後ターン終了時にそれら2体が死亡して、お互いがお互いの能力を誘発させて……2点ドレインが計4回。戦闘ダメージとの合計で対戦相手のライフ20点を失わせることが可能!最高に気持ち良いワンショットだ。

 このリストの非常に面白いところは、この《引き抜き》によるWリアニメイトを促すために《負け知らずの精鋭射手、リラー》を組み合わせるという点。リラ―はインスタントやソーサリーを手札から唱えた時、それが解決されて墓地に行く代わりに追放して計画されている状態にする。特殊な方法で同じ呪文を2回使わせてくれる、しかも2回目はマナが不要という大盤振る舞い!多色のものに限られるという条件はあるが、これを満たせれば多大なるアドバンテージをもたらしてくれる。このリラ―が戦場にいる状態で、《引き抜き》と分割カードとして繋がっている《押し出し》を唱える。2マナの除去として用いた後に、これは追放されて計画される。こうなると次のターン以降は、唱えるのにマナが不要に……しかも分割カードの場合、どちらのモードで唱えてもOK!つまり《押し出し》で2マナを先払いして、後の《引き抜き》は無料に!切り裂き魔を墓地に置くために《間の悪い爆発》や《染みついた耽溺》を唱えて、そこからシームレスにリアニメイトに取り掛かれるというわけだ。こりゃあ面白い!

 切り裂き魔を2体引き抜いても良いが、《早駆ける業火、カラミティ》との組み合わせでリアニメイトするのも爽快。切り裂きまでカラミティに騎乗して攻撃すれば、2体の切り裂き魔コピーが。これらの攻撃を行った後に、トータルで3体の切り裂き魔とカラミティが生け贄に捧げられ……2ゲーム分くらいのライフを吹き飛ばして勝利と相成る。最後まであきらめずに奇跡の一発逆転を目指そう。

 《血管切り裂き魔》を使ったスタンダードのデッキを計2回に渡って紹介させていただいた。共通のカードを備えているが、その本質は全く異なるというのが面白い。スタンダード、まだまだデッキの探求をする甲斐がありそうだ。7月26日にローテーションが予定されているこのフォーマット。現環境の最後の1ヶ月を遊びつくそう!

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