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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!ヤギ角ゲイン式ドメイン(スタンダード)

岩SHOW

ライフがあればなんでもできる!

 この胸にライフ(とライブラリー)がある限り、どれだけ攻撃されようとも倒れん!これぐらいの心構えが今のスタンダードには必要かもしれないな。『サンダー・ジャンクションの無法者』シーズン開幕時に比べて数は減ったとはいえ、ライフをガンガン攻めてくるアグロデッキとは依然として遭遇する。それらを相手にして有効な戦い方。それは除去でしっかりとクリーチャーを捌き、そしてライフを回復して耐えること。

 スタンダードに興味を持つすべてのプレイヤーに贈る、「とことん!スタンダー道!」。今回はライフを回復するあのカードがテーマだ。いくぞ~ッッ!

とことん!ゲインランプ!

 ライフ回復を強調した構成のデッキは「○○ライフ」とか「ゲイン○○」とかアーキタイプ分類されることがある。ゲインというのは獲得の意味、英語版テキストでのgainが由来だ。今回紹介するデッキは2つ。双方ともいわゆるランプと呼ばれるタイプのアプローチで戦うものだ。

 ランプとは増加を意味するramp upが由来とされている。土地を戦場に出すアクションを用いて、土地を増やす=マナを増やし、対戦相手よりもマナ総量の重いカードをより早く叩きつけて、カードパワーで圧倒するタイプのアーキタイプだ。つまり今回はゲイン式のランプを取り上げる、ということだな。まずはコントロール色の強いものから見ていこう。

Ismael Lessa - 「ゲイン式ランプ(ドメイン・コントロール)」
City Class Games Showdown VI 5-1-2 / スタンダード (2024年5月4日)[MO] [ARENA]
1《ラフィーンの塔
4《ジアトラの試練場
4《ジェトミアの庭
4《スパーラの本部
3《魂の洞窟
1《耐え抜くもの、母聖樹
3《平地
1《
1《
2《
2《
-土地(26)-

4《怒りの大天使
3《偉大なる統一者、アトラクサ
-クリーチャー(7)-
4《古のヤギ角
3《稲妻のらせん
1《失せろ
4《力線の束縛
4《間の悪い爆発
3《太陽降下
4《豆の木をのぼれ
1《花粉の分析
4《群れの渡り
-呪文(27)-
3《安らかなる眠り
3《否認
2《一時的封鎖
2《石の脳
2《温厚な襞背
2《長い別れ
1《地震波
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 ドメインこと版図能力を持ったカードを中心に、5つの基本土地タイプを揃えてより威力の増した版図呪文、そして《偉大なる統一者、アトラクサ》で戦場を支配するこのデッキ。重いカードが中心になることで《豆の木をのぼれ》も搭載し、マナを増やしているのにずっと手札が尽きない強力アーキとしてスタンダードの頂に君臨している……そんなドメインデッキではあるのだが、このリストにはあるカードが採用されていない。

 《装飾庭園を踏み歩くもの》だ。ドメイン・ランプでは定番である、マナ加速カードの顔とも呼べるクリーチャーが抜けたリストも出てきている。この恐竜、基本土地を引っ張ってきてマナ加速&版図カウント上昇に貢献するのみならず、土地が7枚以上になれば4/4警戒として攻防両面に渡って活躍してくれる……のだが。逆に言えば土地が7枚になる前は、戦闘に参加してくれないただの置き物になってしまう。対アグロにおいて、これでは間に合わないシーンも度々発生する。

 そんな弱点も抱えている恐竜にとってかわって3マナのマナ加速として採用されているのが……《古のヤギ角》!出ました、ビッグスコア。この角からは好きな色マナが得られる。アンタップ状態で戦場にでるので、3マナでだしてそのまま即マナを加えて、と極力隙なく動ける。

 そして、1ターンに1回のみだがこの角はライフをゲインできる!ここが見逃せないポイントだ。唱えた呪文の色と同じ点数のライフを回復できるのだ。《稲妻のらせん》と組み合わせると?一気に5点回復!アトラクサを出して4点回復し、次のターンの攻撃で7点回復しアグロの心をへし折る……などなど、ブロック役になれる恐竜とは違う形でライフを護ってくれる。マッチアップや手札の内容などに左右されるので、どちらの3マナ域が優れているとは断言できないが……アグロに苦しめられているのであれば、ヤギ角で回復する方向性を探ってみても良いんじゃないかな?

ヤギからコンボだドンドドン

 先ほどのリストをコントロール色の強いものと紹介したということは……2つ目のデッキはベクトルが異なるものになるってわけだ。ご覧いただくのはコンボを中核としてこちらのランプ!

AverageGamer - 「アラーラ・コンボ」
スタンダード (2024年5月6日)[MO] [ARENA]
3《ラフィーンの塔
1《ザンダーの居室
3《ジアトラの試練場
3《ジェトミアの庭
3《スパーラの本部
4《ラノワールの荒原
1《難破船の湿地
1《憑依された峰
1《嵐削りの海岸
1《耐え抜くもの、母聖樹
1《平地
1《
1《
1《
1《
-土地(26)-

4《木苺の使い魔
4《墓所の冒涜者
4《宝物庫生まれの暴君
3《ファイレクシアの肉体喰らい
-クリーチャー(15)-
3《古のヤギ角
4《力線の束縛
4《執念の徳目
4《群れの渡り
4《アラーラへの侵攻
-呪文(19)-
AetherHub より引用)

 

回転

 《アラーラへの侵攻》型ランプ!このバトルは、戦場に出た際に能力が誘発。ライブラリーを順々に公開していって、4マナ以下の呪文が捲れたらそれをマナ不要で唱えられる。デッキ内のそれに該当するコストのカードを極力絞り、《力線の束縛》や《執念の徳目》といったカードに書かれたマナ総量よりも軽く運用できるカードで固めることで、狙ったカードを捲りやすく構築する。《木苺の使い魔》を公開すると、これを無料で唱えられるわけだが……出来事のモードを無料で唱えてもOKだ。この裏技でマナ総量7の呪文をお得に唱える!《初めてのお使い》から更に巨大なクリーチャーに繋げるのがこのコンボのコンセプトだ。

 このアラーラを唱える動きをヤギ角でサポート。アラーラで捲れるとハズレにはなってしまうが、2枚捲るうちの2枚ともがヤギ角というケースは頻発するものではない……という割り切った構成だ。角があればアラーラを唱えて5点ゲイン!これは五臓六腑に染みわたるぜ。

 この使い魔から繰り出すクリーチャーの候補として、面白い1枚が《墓所の冒涜者》。これの能力で墓地のカードを追放できるのだが……《群れの渡り》をあらかじめ捨てておくか、おつかいの切削で落ちるなどの準備が整っていれば、渡りを追放→7個のカウンターを取り除くモードでアラーラを対象に→守備値が0になって《大渦の目覚め》を唱えられる!という、超ごきげんなムーブをかませる。目覚めでは様々なことを行ってアドバンテージをがっぽり得られるが、これで手札から出すアーティファクトの候補としてヤギ角もカウントされている、というわけで噛み合っているね。

 冒涜者でそこまで綺麗に動けずとも《宝物庫生まれの暴君》を戦場に出すだけでも激強だ。この巨大恐竜も戦場に出るとライフをゲインさせてくれるので、一気にトータル8点回復で一桁まで落ち込んだライフも安全圏に。この暴君を目覚めでコピーなどした暁には、もうアグロ側に勝ち目はないんじゃないか。

 《精鋭射手団の目立ちたがり》の登場で赤いアグロがブームを巻き起こし、そしてそれらと対峙するデッキはそれぞれに対抗策を用意する。スタンダードという道を歩むのなら、ライフゲインをデッキに盛り込んでおいて損することはない。危ぶむなかれ、ゲインすれば勝てるさ。逆にアグロ側もそこを意識したデッキ作りを……と、このいたちごっここそスタンダードの面白さだな!

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