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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

速報:マナの吸収にご用心!精神隷属事件を調査中(タイムレス)

岩SHOW

 プロツアーを皮切りに、スタンダードのイベントが続く。定番と銘打つだけあって、マジックの構築フォーマットの中ではとっつきやすく面白い、このスタンダードが活発になることがマジックの盛り上がりに直接的に関係していることは間違いない。『サンダー・ジャンクションの無法者』のパックを剥く機会も増えるだろう。このパックからは一部スタンダードでは使用できない、特別仕様のカードが飛び出してくる。「速報」という特殊なデザインで収録されるボーナスシートのカードだ。

 枠とイラストが相まって、ゴールドラッシュの時代の新聞のようなテイストの速報カード。これらはすべて再録カードである。フレイバーテキストもいい味出しているものが揃っているので、じっくり眺めて堪能してほしいものだ。個人的には《流刑への道》がカッコよく、《再活性》が面白いなと。これらのカードにはアンコモンから神話レアまでレアリティが存在し、リミテッドでの強力カードから構築で一世を風靡した名カードまで、個性的なラインナップとなっている。

 数ある速報の中でも目玉は……《マナ吸収》か。呪文を打ち消し、その対象となった呪文のマナ総量分だけ無色マナを得られるという、途轍もないことが書いてある。初出が30年前だけあって、非クリーチャー呪文が色々とバランスがおかしい時代を象徴している、古のぶっ壊れカードの一つだ。これで呪文を打ち消せると対戦相手と自分とでえげつない格差が発生するため、レガシーではフォーマットが制定された20年前よりずっと禁止のままである。

 そんな《マナ吸収》を使いたければヴィンテージや統率者戦という舞台しかなかったわけだが……MTGアリーナでもしこの速報カードを引き当てたなら、もう一つ選択肢が。そう、タイムレスだ。アリーナに実装されたカードは全部使える!というわんぱくなコンセプトのこのフォーマット。数枚の制限カードは設けられているが、あとは他のフォーマットで禁止されているようなカードでも何でも来い!そんな懐の広いタイムレスに、サンダー・ジャンクションから速報を始めとする新たな刺激!《マナ吸収》でどんなことをするべきか?さて、こんなデッキはどうだろう?

jebaholic - 「精神隷属器コンボ」
タイムレス (2024年4月29日)[MO] [ARENA]
4《溢れかえる岸辺
3《汚染された三角州
3《スパーラの本部
2《神聖なる泉
3《繁殖池
1《寺院の庭
2《内陸の湾港
1《平地
3《
-土地(22)-
 
-クリーチャー(0)-
4《剣を鍬に
2《至高の評決
4《マナ吸収
3《対抗呪文
3《渦まく知識
2《成長のらせん
2《時を越えた探索
4《運命のきずな
4《荒野の再生
3《秘密の複製機
3《精神隷属器
4《大いなる創造者、カーン
-呪文(38)-
1《精神隷属器
1《秘密の複製機
1《液鋼の塗膜
1《トーモッドの墓所
1《侵略樹、次元壊し
1《石の脳
1《真髄の針
-サイドボード(7)-
AetherHub より引用)

 

 ターン終了時に全ての土地をアンタップする《荒野の再生》。このエンチャントは4マナと、タイムレス視点で見れば重いカードである。これの要求する{3}の部分を《マナ吸収》で賄おうという、この考え方をスマートと捉えるか邪悪と感じるかでそのプレイヤーの好みもわかるというものだ。

 再生はスタンダードやモダンなどで一時代を築いていた。ターン終了時、能力を解決する前に土地をタップしてマナを捻りだし、その後アンタップという順に処理することでインスタントを唱えたり能力を起動するためのたっぷりのマナを確保できる。そこから唱えるのは《運命のきずな》がお約束。追加ターンを得て、次のターンにさらに使えるカードを伸ばしつつドローからきずなを探して……と、上手くハマればループが延々と続く。

 繰り返されるターンの中で《大いなる創造者、カーン》が好き放題。サイドボードからアーティファクトを持ってきて、盤面の支配にかかる。《液鋼の塗膜》で対戦相手の土地をアーティファクト化させ、カーンによってそれを0/0のクリーチャーにして墓地送りに。こうして対戦相手のマナを吹き飛ばす。あるいは《侵略樹、次元壊し》で切削しまくり、こちらのターン連鎖中にライブラリーを削り切って、はいどうぞとターンを返したり。

 そんなカーンの道具箱に、サンダー・ジャンクションより新たな2枚が加わった。まずは《精神隷属器》!対戦相手のコントロールを得る、とんでもない一文が書かれた悪魔の発明だ。対戦相手のターンを奪ったら、そのプレイヤーのクリーチャーに対して自身の除去を撃ち込んだり、自分の呪文を打ち消させたり……思いつく限りの悪行を重ねよう。何もなくとも、とりあえず攻撃しないという選択を下すことで、自己防衛は可能だ。

 この隷属器を《秘密の複製機》と組み合わせる!生け贄に捧げた際に{2}を支払って、隷属器のコピーが生成される。毎ターン投げ続けることで、対戦相手はもう何もできない、毎ターン勝利に繋がる一切の行いができずにターンを終えるのみだ。《チャネル》や《ネクロポーテンス》を引き当てたら、それに全ライフを支払ってあげてゲームエンド。むごすぎるッ!この動きを支えるのが《荒野の再生》であり、《マナ吸収》だ。マナ加速から叩きつける、終わらない悪夢……やる側は楽しいに決まっている。

 速報とビッグスコア、これらの強力カードの参入はタイムレスにも影響あり。これが現場からお伝えできる速報だ。それでは、可能な限りの真実を報道できるよう、タイムレスの深みへと突入!(その記者は戻ってこなかったとかなんとか)

fin.

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