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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!隠れたグッドデッキ、ジェスカイ合成機(スタンダード)

岩SHOW

プロツアー、アツ過ぎたぁ!

 今回のプロツアーも本当に面白い試合ばかりで、最高の競技イベントだったなぁ……しかも構築ラウンドはスタンダードだったのだから、全世界のスタン大好きな諸君にはたまらなかったことだろう。ワシもじゃ皆ッッ!というわけでスタンダードを愛する、あるいは興味がある、マジックをやり込んでいる、未だプレイしたことがない、復帰予定である、何かきっかけが欲しい……面倒だ!全員でスタンダードという道を歩んでいこうじゃねぇか。そんな心意気一つで突っ走る木曜日のお約束コラム、今週もスタートだ。

スポットライトは当たらずとも

 プロツアーで勝利する人たちは皆、カッコいい。特にトップ8進出が決まった瞬間の喜ぶ姿は、観ているこちらも幸せな気持ちにしてくれる。そんなドラマが起こるフィーチャー・テーブル……そこだけがプロツアーではない。良いラインに居たけども呼ばれなかった、不運続きですぐに敗退が決まった……スポットライトを浴びることなくこの舞台を去るプレイヤーの方がずっと多いのだ。

 そういったプレイヤー達は誰の記憶にも残らないのか……否、全くそんなことはない。そこにいたプレイヤーたちが使用したデッキは、全参加者デッキリストに掲載されている。そこに居て、感動の舞台を作った1人であった証拠は確実に残るのであるッ。これを見届けることこそ、スタンダー道を歩む者のとるべき行いだ。良い結果を残せなかったリストであっても、それはあくまでその大会での話。魅力的なデッキ、実はメチャ強いリストなどがゴロゴロと眠っているものである。沢山のリストを見るのは大変と思うかもしれないが、なあにたったの200個ほどだ。このページを刮目せよ!

とことん!身代わり道!

 そんな財産であるデッキリストの中に……個人的に注目していたカードを使用しているデッキがわずかながら存在していた。これは大きな収穫だ。そのカードとは《身代わり合成機》!

 カード名は色々ヤバそうだが、その能力もヤバい。マナ総量3以上のアーティファクトが戦場に出ると、構築物を生成。これはここ数年間で様々なカードが生成する、アーティファクトの数だけのパワーとタフネスを持つあの激強構築物!つまりこのカードはアーティファクトを並べまくるデッキで使えということ。そんなの……大好物に決まってるじゃないか!スタンダードでどう使うのか、早くも二つの派閥が存在していた。青を軸に、白を足すか、赤を足すかだ。今回プロツアーに参加していた《身代わり合成機》デッキ、その内訳は2つが白青。そして残る1つは……どっちと言わず、両方だ。青赤白、ジェスカイ・カラーのアーティファクトデッキの登場だ。

Xuantao Zeng - 「Jeskai Artifacts」
プロツアー『サンダー・ジャンクション』 / スタンダード (2024年4月26~28日)[MO] [ARENA]
1 《フォモーリの宝物庫
1 《尖塔断の運河
4 《日没の道
1 《
2 《感動的な眺望所
1 《戦場の鍛冶場
1 《平地
3 《不穏な投錨地
4 《嵐削りの海岸
3 《さびれた浜
1 《アダーカー荒原
2 《魂の洞窟
2 《シヴの浅瀬
1 《金属海の沿岸
-土地(27)-

4 《瞬足光線の大隊
1 《街並みの地ならし屋
4 《スランの蜘蛛
-クリーチャー(9)-
3 《不安定な象形橋
1 《厳しい授業
2 《失せろ
3 《稲妻のらせん
2 《三歩先
4 《マイトストーンとウィークストーン
4 《身代わり合成機
1 《同化の神盾
4 《加工鋳造所
-呪文(24)-
1 《不安定な象形橋
2 《ティシャーナの潮縛り
1 《間の悪い爆発
2 《石術の連射
1 《痛烈な一撃
3 《否認
2 《削剥
2 《謎めいた外套
1 《安らかなる眠り
-サイドボード(15)-

 スタンダードでアーティファクト主体のデッキを組もうと思ったら……『兄弟戦争』のパワーストーンをチェック!効率の良いマナ加速であり、かつその関係カードには合成機の条件であるマナ総量3以上のものが見られる。

 《スランの蜘蛛》は1枚でアーティファクトのカウント2つ分を稼ぎ、構築物を大きく育てる。今スタンダードで持ってて嬉しい能力の上位である到達持ちなのもスルーできないセールスポイントだ。《マイトストーンとウィークストーン》はクリーチャー除去として使うことが多いが、余裕があれば2枚ドローで手札を肥やそう。アンタップ状態で出ていきなり2マナ加えてくれるので、ここから蜘蛛や合成機に繋げる動きを狙っていこう。こういったパワーストーンを中心とした、コントロールというのがこのリストの実態だ。合成機や《街並みの地ならし屋》で押しつぶして勝つ!

回転

 先述したように、青のパートナーに白が選ばれる理由……それはコントロールとして頼もしい色だからだ。《失せろ》のようにパーマネントの除去に長けた色だからね。それに加えて《加工鋳造所》で2マナ圏を埋められるのも強みになる。スタンダードの他のデッキでは、2ターン目に展開されるマナ加速というものはそれほど見られるものではない。アーティファクト主体の白いデッキの特権とも言える。この鋳造所は墓地のアーティファクトも使いまわせるので、ゲームが長引いても安心。

 そして《不安定な象形橋》によるクリーチャー除去がコントロール力をより高める!これ自身もクリーチャー化してフィニッシャーになれるのも偉い。そしてこれが戦場に出た際に、合成機の能力を後から解決するように誘発を処理することで……戦場をお掃除した上でこちらだけやたらとデカい殺戮マシーンがいるという理想の戦場が!

 この防御的な白に対して赤を選ぶプレイヤーは……前のめりな姿勢の持ち主だ。《瞬足光線の大隊》!これは戦場に出た際に自身のコピーを2体呼び出す。本体とトークン、計3つのアーティファクトにより合成機が驚異の3回誘発!とんでもない盤面が完成し、正面からこれを突破できるクリーチャーがいればどうぞ掛ってきたまえというところだな。大体は試作コストで唱えても良いが、これだけパワーストーンを展開できるデッキであれば素出しも全く問題ない。コントロールしきったら大隊降臨で一気に勝利。白と赤の両方を貪欲に取り入れた構成、最高じゃないか。

 このリストを実際に使ってみて……勝てる!ランク戦で使うとかなり強く感じるぞ。あまり相手を選ばずに戦える、意外にも器用なデッキである。特にアグロへの耐性は、3色になったことでむしろ上昇している。《稲妻のらせん》で序盤の攻めを捌きつつ回復できるのがかなりデカい。合成機の可能性を探求して白青も青赤も使ってきたのだが……まさか2色よりも3色の方が安定感が増すとは、目から鱗だったのだ。

 プロツアーは参加者のみならず、すべてのプレイヤーにとっての財産だ。これからも熱い激闘と、珠玉のデッキリストたちと出会えるこの舞台が末永く続くことを願って……さて、今日もスタンダード、たっぷり遊ぶとしようか!

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