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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
見事な再生ランプ:比類なき超絶マナ加速!(スタンダード)
スタンダードの面白さは、新カードの参入により環境変化。他のフォーマットでも同様の楽しみはあるが、スタンダードの場合は使用可能セット数が他よりも少ないため、200種類以上の新カードがフォーマットに加わることがもたらす刺激は大きい。
そして、その刺激によりスタンダードでも古株になっていたセットのカードが、突如として注目を集めることも。これが面白いんだよなぁ……忘れ去られていたようなカードを新カードと組み合わせたデッキが登場、トーナメントで活躍。おいおい、そういやあんなカードあったなぁ!こう感じる時がまさしくスタンダードの醍醐味、特にローテーション落ちする前にようやく輝きを見せるようなドラマチックな展開であれば、なおのことテンションが上がるというものだ。『カルロフ邸殺人事件』が参入した現行スタンダードでも、あるカードがついに安住のデッキを見つけたようだ。
そのカードとは《見事な再生》。墓地の土地をすべて戦場に出す緑のソーサリーだ。土地のリアニメイトという特殊性と、何枚でも拾えて一気にマナが増えるという点からロマン度が高い1枚である。これは再録という形で『イニストラード:真紅の契り』にてスタンダードに登場。当時の上陸デッキなどでの使用が考えられたが……大きくハネることはなく月日が流れた。
この《見事な再生》がスポットライトを浴びるきっかけは、同様の能力を持った新カードの登場であった。カルロフ邸に収録されている《事件現場の分析者》。これは切削3を行って墓地を増やし、これ自身を生け贄に捧げることで《見事な再生》と全く同じことが行える。これで再生を合計4枚以上デッキに採用出来るようになり、安定して墓地の土地を戦場に出してマナを増やすという動きが狙えるようになった。墓地を利用したランプデッキを作ることが可能となったわけである。今回は《見事な再生》と《事件現場の分析者》を併用するスタンダードの新アーキタイプを紹介しよう!
1《迷路庭園》 3《天上都市、大田原》 4《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1《耐え抜くもの、母聖樹》 4《斡旋屋一家の潜伏先》 4《土建組一家の監督所》 4《常夜会一家の店先》 1《貴顕廊一家の劇場》 5《森》 3《島》 3《沼》 1《平地》 -土地(34)- 4《事件現場の分析者》 4《復活した精霊信者、ニッサ》 3《大スライム、スローグルク》 1《復活したアーテイ》 1《偉大なる統一者、アトラクサ》 -クリーチャー(13)- |
2《切り崩し》 1《喉首狙い》 1《危難の道》 1《恐怖の潮流》 4《記憶の氾濫》 2《見事な再生》 2《完成化した精神、ジェイス》 -呪文(13)- |
2《切り崩し》 1《喉首狙い》 1《長い別れ》 2《危難の道》 1《底への引き込み》 1《復活したアーテイ》 1《否認》 1《大洞窟のコウモリ》 2《強迫》 2《魂標ランタン》 1《好奇心の神童、ケラン》 -サイドボード(15)- |
《見事な再生》および《事件現場の分析者》でマナを増やして戦う……このコンセプトを実行するには墓地に土地が置かれている必要がある。分析者の能力のように切削、あるいは諜報などで土地を墓地に送り込むのも手だが……もっと簡単な方法がスタンダードにはある。フェッチランドだ。それ自身はマナを加えるわけではないが、生け贄に捧げてライブラリーから特定のタイプを持つ土地を探してきて戦場に出す、多色化に貢献するのがフェッチ。モダンやレガシーなどが主戦場だが、スタンダードにもいくつかこれに該当する土地がある。
中でも《斡旋屋一家の潜伏先》などの各一家(3色の組み合わせ)のフェッチは、起動するのにタップなどのコストが不要で自動で生け贄になり、オマケで1点のライフを恵んでくれる。これらを使って戦場に基本土地を並べつつ、墓地の土地カウントも増えていく……頃合いを見て分析者なり再生なりでまとめて戻して、またフェッチ。このシンプルな動きを追求したのが「見事な再生ランプ」だ。そしてフェッチを使うのであれば、彼女の存在を忘れるわけにはいかない。《復活した精霊信者、ニッサ》!土地が戦場に出ると誘発、好きなマナを加えられる。フェッチなら1枚で2回誘発することになる。自身がマナを生み出さず、またサーチしてきた土地もタップ状態である一家のフェッチだが、ニッサと組み合わせればむしろマナが増える!しかも各ターン2回目の誘発ではエルフを手札に加えられるので、分析者が手に入るチャンス。分析者なり再生なりでフェッチをまとめて戻してニッサを誘発させると……とんでもない量のマナが手に入ることに。そのマナでさらに墓地の土地を戻したり、あるいは……
《偉大なる統一者、アトラクサ》!やっぱりスタンダードでもシンプルにこれが最強だよなと。フェッチのおかげで緑を中心にしつつ黒と青を添えた3色、そこに1枚だけ《平地》を採用という無茶な構築が可能になる。これで手札をゴリッと補充し、再生から得られる大量のマナの使い道を確保する。手数勝負を仕掛けるとともに、最強クラスのクリーチャーで対戦相手をノックアウトだ。あるいは《記憶の氾濫》をフラッシュバックも込みでガンガンと唱えて手札をチャージ。マナがかかることは気にするなと、ニッサも強烈に背中を押してくれるぞ。
もう一つ、このデッキの主役と言えるカードが《大スライム、スローグルク》!やっぱり土地を主体としたデッキと言えばこのスライムに限るね。土地がどこかから墓地に落ちると+1/+1カウンターを得る能力を持っている。つまりは再生や分析者での土地リアニメイトを行うと、メキメキとスローグルクが成長していく。単純なサイズで殴り勝つフィニッシャーになってくれるのはもちろんのこと、《天上都市、大田原》などの魂力土地を回収することも狙っていきたい。スローグルクは戦場を離れた時に墓地の土地3枚を回収できる。そして+1/+1カウンター3個を取り除くと手札に戻るという能力も持っているので……フェッチでカウンターを貯めて手札に戻し、魂力能力で使用した土地を拾って再利用、というのはこのスライムを主役としたデッキの基本ムーブだ。
中でも《見捨てられたぬかるみ、竹沼》との相性は特筆に値する。これで切削して墓地に土地を落とせば分析者らから得られるマナが増える。竹沼は切削後に墓地のクリーチャーなりプレインズウォーカーなりを回収できるので、その分析者あるいはアトラクサを拾ってフィニッシュに向かえる。この竹沼を延々と使いまわして、アドバンテージ勝負では絶対に負けない!このデッキはスロースターターではあるが、エンジンがブン回りだせばもう何者も寄せ付けない!
何度かこのデッキと対戦をしたが、毎ターンのようにフェッチをグルグルと回されて、ライフがメキメキと回復するのが強烈。そのせいで攻撃して勝つことが困難となり、心が折れかかっているところに……《完成化した精神、ジェイス》が降臨。彼の[-X]能力でこちらのライブラリーを切削しだすと、もう時間の問題だ。忠誠度をすべて消費して、竹沼で拾って再利用。これでライブラリーを空っぽにして勝負を決めるのだ。他の能力も相手のクリーチャーを弱体化させて時間稼ぎ、また切削してドローと、デッキの求めるものを全て備えている。逆に考えると、このジェイスをどうにかできれば「見事な再生ランプ」の大きな勝ち筋を潰せることになるので、相手のデッキがこれだとわかればそこのところを意識してみよう!
新しいカードで既存のカードが輝きだす。これぞスタンダードの、マジックの妙味だ。さあ、君もスタンダードの全カードを再チェックして……じっくりデッキ構築をはじめようじゃないか。
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