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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
アブザン・ルート(根っこ的な意味で)(スタンダード)
んーこれはハマる。《陰湿な根》、このカードの中毒性はヤバいぞ。自身の墓地からクリーチャーカードが離れるという珍しい誘発条件。これを満たせたらトークンが得られる。なんでもない0/1の植物だが、ついでに全植物に+1/+1カウンターを乗せる。これがとにかく強い!全部だぞ全部。対象のとかじゃなく、戦場に居る自分の植物全部が成長するのだ。戦場にこの根しかない状況で、墓地からクリーチャーを1枚ずつ計3枚追放するなり手札に戻したとしよう。能力が3回誘発し、結果1/2・2/3・3/4が1体ずつ戦場に並ぶ。一気に戦える戦場になるじゃないか。これが何かの間違いで計10回も誘発してごらんよ。数学は苦手なんで、一体何点ダメージ入るのか、わかんねぇけどゲームには勝てるよな!
というわけで当コラムで週に1回のペースで取り上げているこの《陰湿な根》を使ったデッキ。今回ももちろんそれ!スタンダーの独創的なリストを掘り下げてみよう!
2《コイロスの洞窟》 2《ラノワールの荒原》 2《低木林地》 2《剃刀境の茂み》 3《砕かれた聖域》 2《死天狗茸の林間地》 2《草茂る農地》 3《眠らずの小屋》 1《薄暗い裏通り》 1《地底の遺体安置所》 1《草萌ゆる玄関》 1《皇国の地、永岩城》 1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1《耐え抜くもの、母聖樹》 1《平地》 1《沼》 -土地(26)- 3《苔森の戦慄騎士》 1《樹海の幻想家、しげ樹》 2《グリッサ・サンスレイヤー》 2《魅せられた花婿、エドガー》 1《巨大な空亀》 -クリーチャー(9)- |
2《喉首狙い》 2《長い別れ》 2《危難の道》 1《集団失踪》 2《死人に口無し》 2《暗殺者の戦利品》 1《緊急の検死》 2《星界の再誕》 1《極悪非道の盗人》 3《陰湿な根》 2《ギックスの残虐》 2《放浪皇》 2《幽霊の裁き、ケイヤ》 1《無形の処刑者、ケイヤ》 -呪文(25)- |
3《強迫》 2《生ける治療、メリーラ》 2《黙示録、シェオルドレッド》 2《門衛のスラル》 1《機械の母、エリシュ・ノーン》 2《切り崩し》 1《放浪皇》 1《毒を選べ》 1《極悪非道の盗人》 -サイドボード(15)- |
プレイヤーズコンベンションの会場にて活躍を見せたこのリスト。新環境になって最初のスタンダードの大型トーナメントとあって世界中の注目を集め、この大会のリストは非常に多くのプレイヤーが閲覧したことだろう。そんな世界のプレイヤーに衝撃を与えたであろうこのリスト。色々たまらないよな……白黒緑、アブザンと呼ばれるカラーリングで、《陰湿な根》を強く使えるように作ってあるが……4枚搭載してそれに依存するのではなく、3枚に抑えて他の方法でも戦っていけるように組まれている。新環境指導直後ということで様子見的な意味合いもあるのかもしれないが、必ずしもキーカードが4枚必要というわけではないという事実はポジティブなものとして捉えられるね。
このデッキは様々なカードが詰め込まれているが、その多くが根とシナジー(相互作用)を形成している。クリーチャー自体のカード枚数は多くはないが、墓地から唱えられる《苔森の戦慄騎士》だったり、死亡すると自動的に戦場に戻る《魅せられた花婿、エドガー》だったりと、墓地を離れるクリーチャーらで根を誘発させて戦場を作っていく。
中でも注目すべきは《樹海の幻想家、しげ樹》《巨大な空亀》の2枚。これらはループを形成できる。亀の能力でしげ樹を戻して、しげ樹で亀(と他に何か)を戻す。これを繰り返す動きは以前もスタンダードで狙えるものだったが、根が加わったことでただこれをグルグルやっているだけで強い盤面が作れるようになった。マナは必要にはなるが、ご安心を。根がトークンにマナを加える能力を与えているので、マナを増やしながら盤面をどんどんと強くしていける。ターンを重ねれば重ねるほど、手の付けられないものとなっていくのだ。
《陰湿な根》と組み合わせて面白いカードと言えば《幽霊の裁き、ケイヤ》にも注目しなくては。なんと現スタンダード環境における3枚目のケイヤ、今回は……テキストが複雑だ。何をするのか、体感的にわかりにくいプレインズウォーカーではある。諜報2を行い、その後墓地のカードを追放……これは対戦相手のものでも自分のものでも良い。そしてこの能力でクリーチャーを追放したなら、トークン1体が追放されているクリーチャーのコピーになる。根が生成する植物が、何か他のクリーチャーに化ける可能性があるってことだ。+1/+1カウンターが乗っている分、戦闘ダメージも大きくなるのが面白い。
このかなりトリッキーな能力に加えて、シンプルにスピリットを生成することもできる。このスピリットも根でマナを加える能力を持つので、毎ターン起動してマナを伸ばしていくのが楽しい。いざとなればトークンなどを犠牲にしつつ対戦相手のクリーチャーも追放する除去としても機能する。テキストはちょっと難解だが、使って見れば何を目指して作られているのか理解できるはず。根以外にも色んなカードと組み合わせて、シナジーを見つけてほしい1枚だ。
《陰湿な根》デッキ、奥が深い……このカード、墓地利用系カードにありがちな「墓地を追放されてプランが崩れる」ということが起こりにくいデザインなのも良いよね。対処のしにくさを盾に、クリーチャーを追放したり戻したりしつつ植物生産!植物が増えれば空気も綺麗になるし、木の実や葉で動物たちも嬉しい!嫌がるのは対戦相手くらいしかいないので、遠慮せずに世界のために根を蔓延らせ、植物に満ち満ちた戦場を作り上げようではないか!
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