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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
環境開幕にはアグロでしょ!ピクニック型グルールと新カードの提案(スタンダード)
『カルロフ邸殺人事件』がもう間もなく参入し、環境変化が訪れるスタンダード。新カードをどう使って、どんなデッキを組むか?日々それをイメージすることに時間を割いている、それこそ真っ当なマジックプレイヤーの姿勢だ。
今回のセットは多色のカードがとても多く、それ故にカラフルなデッキを思い描いているプレイヤーが少なくないはずだ。2024年現在のスタンダード環境は、とにかく土地が豪華である。2色以上を加えることのできる土地のバリエーションが豊富であり、そこにカルロフ邸からさらに10種類が加わる!それらを使えば2色はもちろん3・4・5色も問題なし!というわけで全ての色の良いとこどり、多色カードのパワーに酔いしれる……そんなデッキを妄想し、実際に構築するのはとても楽しいことだ。
しかし、そこに罠が待っている。多色デッキを支える、それらの多色土地はその便利なだけでなくデメリットも抱えている。タップ状態で戦場に出るというという、多数の土地に設定された足枷。供給できるマナの種類は多いが、それを出したターンにはマナを加えることができないというタイムラグ。多くの多色デッキはそれを許容し、受け入れてデッキを構築している。即効性よりも長い目で見て優秀な土地を用いる……これは時に正解だが、ある相手にとっては致命的な弱点になりかねない。
赤を中心としたアグロデッキ!開幕からアグレッシブに攻めて攻めて攻めまくる!シンプル極まるわかりやすさで人気を集めるアーキタイプ。このデッキは弱点自体は多い。コストの軽いクリーチャーとダメージ呪文を中心に構成されており、使い捨てのカードでダメージを与えて、戦闘でクリーチャーを失う子を躊躇せずに攻撃するという姿勢であるため、手札はあっという間になくなり、またそれを補充するのが苦手だ。長期戦になれば対戦相手が繰り出してくる高コストのカードとその手数にに圧倒されてしまう。ライフを回復する要素をちりばめたデッキにはこの長期戦に引きずり込まれやすく、簡単なデッキに見えて安定して勝つには腕と運の両方が問われる。
それでも赤系アグロが一定の人気を集めているのは、もたついた相手をアッという間にノックアウトしてしまえるからだ。タップインの土地を置くターンが連続し、録に動いていない相手であれば一方的にボコボコにしてしまえる。マジックは毎度同じような、理想的なターンを重ねられるゲームではない。土地に関わらず、序盤の動きがあまりよくないことなど、日常茶飯事。全てが思い描いた通りにスムーズに進められるゲームなど、10ゲームやって5ゲームあれば御の字だ。そういったままならない序盤を過ごしている対戦相手に牙をむく、これぞ赤単の真骨頂。勝つためには非常にスマートな選択というわけだ。多色デッキ、タップイン土地が流行れば……自然とアグロにチャンスがやってくるのだ。
4《カープルーザンの森》 4《銅線の地溝》 4《スランの門》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 4《山》 2《森》 -土地(19)- 4《騒音の悪獣》 4《僧院の速槍》 4《ピクニック荒らし》 4《探索するドルイド》 -クリーチャー(16)- |
4《祖先の怒り》 4《巨大化》 4《巨怪の怒り》 4《タイヴァーの抵抗》 1《王のもてなし》 4《無鉄砲》 4《熊野と渇苛斬の対峙》 -呪文(25)- |
2《戦慄大口の怒り》 4《魔女跡追いの激情》 2《祭典壊し》 3《石術の連射》 2《ファイレクシアのドラゴン・エンジン》 2《ウラブラスクの溶鉱炉》 -サイドボード(15)- |
赤いアグロの中でも《ピクニック荒らし》をフィーチャーしたグルール(赤緑)は、20点のライフを速やかに削り取ることに完全特化した仕様だ。マリガンを経て「序盤には不安があるけども、仕方なくキープだな」としぶしぶゲーム開始をして、対戦相手がこのグルールだと気付いた時の絶望感といったら。
パワーが4以上のクリーチャーをコントロールしつつ攻撃していると二段攻撃を得る《ピクニック荒らし》と、果敢を持つ《僧院の速槍》や緑以外の呪文を唱えるとパワーが上昇する《探索するドルイド》、そして《巨怪の怒り》のようなクリーチャーのサイズを修正するインスタントとソーサリーを詰め合わせ、ブン回れば対戦相手を瞬殺できる!という理想を追求したデッキだ。ピュアすぎるが故の弱点はもちろんあるが、ここまで純度を高めたからこそ他の追随を許さない爆発力を持っているのも事実。場面によっては呪文を唱える順番などが重要で、簡単なようで奥も深い、やり込みがいのあるアグロだ。
このピクニック型のグルール、新セットリリース直後におけるトーナメントやランク戦などで実験的なデッキが急増している中、まさに旬を迎えるように感じるね。ただこのデッキも従来の形だけでなく、新セットの恩恵を受ける可能性もある。ざっとリストを眺めたところ……《脱走》は面白い働きを見せてくれそうだ。
ライブラリーの上から6枚見て、その中にあるクリーチャー・カードを1枚を手札に加えるソーサリー。そのクリーチャーが2マナ以下であれば直接戦場に出せるため、これで《ピクニック荒らし》ら主戦力を展開。その際には速攻が付くのも大きいメリットで、これで対戦相手が想定していない角度から一気に大ダメージを叩き込めるチャンスが到来する…かもしれない。どうしてもライブラリーの上6枚の内容に依存するため、ギャンブル要素が強いカードではある。しかし元々が都合よく動けたら勝てる!というスローガンで組まれているデッキではあるので、チャンスを拡げる1枚として採用しても面白そうかなと。
赤いアグロのクリーチャーチョイスはかなり固まっており、レギュラー争いはし烈なものだ。そこに食い込めるか、期待を込めて《狂乱逃走する山羊》をピックアップ!この山羊は新要素である容疑がかかっている状態で現れる。1マナ1/1速攻に、容疑によって威迫が付いている。1マナという軽さでブロックされにくい回避能力が付いているのは稀有なものであり、クリーチャーのパワーを上昇させてぶん殴るデッキの方向性とマッチしている。さらにこの容疑は後続のクリーチャーに移すことが可能なので、威迫持ちの超ピクニックが誕生するというワクワク感もある。少しでもダメージを通す可能性が高まるカードとして、個人的に注目しているよ。
4《カープルーザンの森》 4《銅線の地溝》 4《スランの門》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 4《山》 2《森》 -土地(18)- 4《騒音の悪獣》 4《僧院の速槍》 2《狂乱逃走する山羊》 4《ピクニック荒らし》 4《探索するドルイド》 -クリーチャー(18)- |
4《祖先の怒り》 2《巨大化》 4《巨怪の怒り》 4《タイヴァーの抵抗》 1《罪深き憤怒》 3《無鉄砲》 4《熊野と渇苛斬の対峙》 2《脱走》 -呪文(24)- |
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というわけで上記の新カードを加えた、新環境のピクニック型グルールのサンプルリストを載せて今回は終わりにしよう。既に完成度が高いデッキなので、無理やり新カードを採用するというよりは、デッキの形を崩さないレベルで気になるカードをちょいちょいと盛り込んで楽しむ……というのがクレバーな運用だろう。グルールをベースに試してみたカードの使用感が良ければ、もっと違うデッキを組んでみても良いしね。
多色デッキが増えることは間違いない、そんな環境で君はどんなデッキを使うのか?それらを狩る側か、あるいはそんな狩人らを返り討ちにするか?アグロという無視出来ない存在を巡る攻防、お楽しみに!
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