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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
『カルロフ邸殺人事件』環境の事前調査:ラクドス発見編(スタンダード)
『カルロフ邸殺人事件』はそのタイトル通り、カルロフ邸にて発生した殺人事件をメインテーマにしつつ、大小様々なラヴニカ次元で事件、それを解決せんと奔走する探偵、各種の証拠をテーマにデザインされたカードが収録されている。この大きなテーマに則っているため、カードの雰囲気も他のセットのものと少々異なっており、見慣れた次元にて装い異なる新カードを楽しむことができそうだ。
《血痕鑑定》などは殺人事件を扱うミステリーでは定番のワンシーンではないかな。血痕はその形や大きさ、パターンから被害者と加害者の立ち位置や何が起こったかを物語る。また、沁みや汚れなのか血痕なのかわからないものだったり、犯人がふき取った後の血痕を鑑定するためにルミノール反応と呼ばれるものが使われる。刑事ドラマなどでよく見るあの青白い光で血痕が浮かび上がるやつだ。この《血痕鑑定》というカードもまさしくそんなシーンをカード化したもので、スイッチ一つで何でもない現場に凄惨な痕跡が浮かび上がる……恐怖の一幕だ。
このエンチャントは対戦相手のクリーチャーにダメージを与える除去である。黒赤の2マナで3点、マナ効率は悪くはないが単純にタフネスを減らすのであればもっと効率の良いものはある。とはいえ2ターン目時点で出てくるクリーチャーのことごとくは除去できるので安心してデッキに採用できるスペックはある。そしてエンチャントとして戦場に残り続ける《血痕鑑定》は、その後のクリーチャーに死亡で能力が誘発。切削した後にこれに血痕カウンターを乗せ、5個たまると生け贄となり、墓地のクリーチャー・カードを手札に戻す。除去に遅れてアドバンテージがついてくる、というデザインであり、誘発条件は対戦相手のクリーチャーだけでなく自分のクリーチャーも含むため、盤面を巡る攻防をしていると自ずと満たされることだろう。その時点で戦闘で、あるいは切削で墓地に落ちた最も強力なクリーチャー・カードを回収するのである。ド派手なカードではないが、堅実な働きを見せてくれる……いぶし銀レアといった赴きで、これをデッキに採用して「今、このカード使いこなしてるぞ」感を味わってみたくなる。
クリーチャーを回収してこそ《血痕鑑定》の本領を発揮できるので、それを積極的に狙えるデッキに取り入れるのが手っ取り早い。現スタンダードのラクドス(黒赤)のデッキにはこのエンチャントと綺麗に噛み合うカードたちが。2マナクリーチャーの代表格である《税血の収穫者》はパワー3と除去能力が優秀すぎて不動のエース的存在だ。自身を生け贄に捧げてタフネスをマイナスする能力は、1アクションで血痕カウンターを2つも増やしてくれる。3点ダメージやマイナス修正で除去しきれない高タフネスもこの2枚を組み合わせれば落とせる可能性は高まるし、鑑定を生け贄にして収穫者を拾う動きも手堅い。また、能動的に墓地に送れる除去能力と言えば《嘶くカルノサウルス》も忘れちゃいけない。手札から捨てて、3点ダメージ。その後に回収して唱えれば、発見によりアドバンテージが連鎖する……かなり気持ち良くなれると思うので、この組み合わせを試してみたいところだ。
3《硫黄泉》 4《憑依された峰》 3《黒割れの崖》 4《不穏な火道》 3《魂の洞窟》 1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 5《沼》 2《山》 -土地(26)- 4《税血の収穫者》 4《大洞窟のコウモリ》 4《分派の説教者》 1《ヨーグモスの法務官、ギックス》 4《地質鑑定士》 3《黙示録、シェオルドレッド》 1《最深の裏切り、アクロゾズ》 4《嘶くカルノサウルス》 -クリーチャー(25)- |
3《切り崩し》 2《喉首狙い》 1《苦痛ある選定》 3《ギックスの残虐》 -呪文(9)- |
1《切り崩し》 1《喉首狙い》 1《苦痛ある選定》 1《削剥》 1《兄弟仲の終焉》 2《強迫》 2《真実の抽出》 2《ギックスの命令》 3《ヴェールのリリアナ》 1《多元宇宙の突破》 -サイドボード(15)- |
現在のスタンダードにおけるラクドスカラーのデッキの一例をご覧いただこう。カルノサウルスに加えて《地質鑑定士》も備えているので「ラクドス発見」と分類するのが良いかもしれない。これらのアドバンテージが取れるクリーチャーで対戦相手を手数で圧倒することを狙っている。このリストの特徴は《ギックスの残虐》が採用されていることで、これをカルノサウルスで捲るのが気持ち良いのはもちろんのこと、先述のカルノサウルスの能力で自身を手札から捨て、それを残虐のⅢ章能力で釣り上げるという動きが実に芸出的だ。クリーチャーを展開してその攻撃を除去で後押しする、シンプルなゲームプランは万人に好まれるものだろう。それでいてコンボ要素もあってアドバンテージが取れる……ここに《血痕鑑定》やその他新カードを採用した、カルロフ邸環境のスタンダードのデッキを考えてみよう。
新カードをざっと見渡してみると、新サブタイプである「事件」はやっぱり気になる存在。中でも《ゴルゴンの口づけの事件》は《血痕鑑定》とも相性が良い。鑑定でダメージを与えたクリーチャーを強引に破壊、これで血痕カウンターを増やしつつ、切削でクリーチャーが落ちれば死亡したものと併せて計2枚……あと1枚のクリーチャー・カードをいずこかから墓地に置くことができれば、4/4接死の&絆魂のゴルゴンが手に入る!《ヴェールのリリアナ》とも噛み合うカードであるため、1マナで驚異的な戦力を手に入れるギミックをデッキに仕込んでみたいなと。
3《硫黄泉》 3《憑依された峰》 3《黒割れの崖》 4《不穏な火道》 3《大音声の劇場》 1《魂の洞窟》 1《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 1《反逆のるつぼ、霜剣山》 4《沼》 2《山》 -土地(25)- 4《鍾乳石の追跡者》 4《税血の収穫者》 2《大洞窟のコウモリ》 4《分派の説教者》 2《地質鑑定士》 3《黙示録、シェオルドレッド》 1《最深の裏切り、アクロゾズ》 4《嘶くカルノサウルス》 1《混沌の守護者、ラクドス》 -クリーチャー(25)- |
2《喉首狙い》 4《血痕鑑定》 2《ゴルゴンの口づけの事件》 2《ギックスの残虐》 -呪文(10)- |
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というわけで先ほどのリストを《血痕鑑定》を軸にしたものに組み替えた、新環境のラクドスのサンプルリストがこちら。切削を引き起こす鑑定をより活かすことを狙い《鍾乳石の追跡者》を採用。鑑定の切削で落魄を狙いやすいかなと期待を込めて……これも生け贄で対戦相手のクリーチャーを死亡させる手段でもあるしね。
カルノサウルス以外の大型クリーチャーには、やっぱり新カードは使いたいということで《混沌の守護者、ラクドス》!南斗4回目のカード化、カリスマ溢れるデーモンの最新モデルは……意外と自分には被害をもたらさない温情仕様!対戦相手にパーマネント2つの生け贄を要求する鬼っぷりで、それを拒否するならこっちが2枚ドロー。大体のケースでは後者が選ばれるだろう。6マナ6/6飛行・トランプルに2枚ドローがついてくるなら言うことなし。もし破壊されたり打ち消されたら《血痕鑑定》で拾って、推定年齢1万歳以上のデーモン王で再び混沌をもたらそう。
今回はカルロフ邸環境におけるスタンダードのラクドスカラーのデッキを考察してみた。いざシーズンが始まってみると、イメージとは異なるカードが活躍するのは毎度おなじみのこと。だからこそ、今からデッキを沢山考え、妄想を膨らませ……答え合わせが行われるその日まで、脳内で最高のマジックを味わうのだ。カードがリリース前にデッキを構築する。この娯楽が味わえるのは今しかないぞ!
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