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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
白黒2色のコントロールで《魂の洞窟》を使う理由(スタンダード)
「うーむ、センスあるなぁ」と唸らされることがある。マジックのデッキリストを色々と漁って、目に留まったものが心にグッとくる。決して上から目線などではなく、自身にないセンスを持ったデッキデザイナーやチューナーのセンスを評しているのだ。センスあふれる人々によって作られたデッキは、本当に素晴らしい。見るもの、プレイするものの心を穏やかにしてくれる。
《魂の洞窟》。この土地は指定したクリーチャー・タイプの呪文に支払える色マナを供給する。5色何でもOKなので、人間をはじめとする各種クリーチャーデッキの多色化に貢献。また、そのマナを使って唱えられたクリーチャーは打ち消されないため、青対策にと単色やそれに近いクリーチャーデッキでも用いられる。やっぱりクリーチャーを多数盛り込んだデッキで、そのタイプを統一したアグレッシブなデッキで使うとその強さを実感できる。
……この土地に関しても、センスのある人々は単にそういったデッキで使うための土地という固定観念を塗り替えてくる。今回は《魂の洞窟》を用いるデッキではあるのだが、クリーチャーの枚数は随分と少ない、そんな個性的なスタンダードのデッキを紹介しよう!
4 《魂の洞窟》 4 《ラフィーンの塔》 4 《コイロスの洞窟》 4 《砕かれた聖域》 1 《眠らずの城塞》 2 《皇国の地、永岩城》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 2 《耐え抜くもの、母聖樹》 2 《ミレックス》 2 《平地》 1 《沼》 -土地(27)- 4 《怒りの大天使》 2 《聖域の番人》 3 《偉大なる統一者、アトラクサ》 -クリーチャー(9)- |
4 《切り崩し》 2 《集団失踪》 3 《強迫》 4 《失せろ》 4 《太陽降下》 1 《蒐集家の保管庫》 2 《セレスタス》 4 《宝物の地図》 -呪文(24)- |
3 《苦痛ある選定》 3 《多元宇宙の突破》 1 《邪悪を打ち砕く》 2 《寄生性掌握》 3 《一時的封鎖》 3 《ギックスの残虐》 -サイドボード(15)- |
《太陽降下》などのクリーチャー除去に《強迫》を絡めて、白と黒の力で盤面をコントロールする。典型的なボードコントロールと呼ばれるもので、勝利するための手段はデッキ内には比較的少なめ。対戦相手に自由な攻めをさせないカードでデッキをガッチリと固め、カードを引くなどアドバンテージを獲得できるものを用いて対戦相手とリソース(手札などの資源)の差が開かないように、なんだったら上回ることを狙う。直ぐにゲームに勝つことはできない。じっくりじっくりと対戦相手を勝利から遠ざけ、自身が勝利へと近づいていく。気の長いゲームを好む層からこのカラーリングは支持を集めている。
さて、そんなデッキに《魂の洞窟》。これはデッキに9枚のみ採用された天使らのためのものだ。天使といっても、いずれも高マナ域。《聖域の番人》は洞窟のような土地がなくても唱えられるだろうが、打ち消されなくなるのは大きい。これが戦場に出れば盾カウンターで除去耐性も高く、トークンにドローにとあずかれる恩恵は大きい。そして《怒りの大天使》。白黒2色なので黒のキッカーコストは払えるが、赤の方は難しいのでこの洞窟を用いるわけだ。ここで《戦場の鍛冶場》のような赤マナを捻出する土地を採用しても良いが……洞窟にすることで《偉大なる統一者、アトラクサ》のための青と緑のマナも得られるという、実にスマートな運用で異形のリストを成立させているのだ。大天使もアトラクサもどちらもスタンダードで長く使われている強力カードであるので今更その強さを詳細に語るまでもないかもしれないが、とりあえずどちらも絆魂で回復できるという点が耐えるタイプのボードコントロールには心強いね。これらで盤面を捌き、手札を満たしつつ攻撃を仕掛けて回復しながら勝利に向かう……ボードコントロール、万歳というゲーム展開を《魂の洞窟》が可能にしてくれたってわけなのだ。
洞窟以外に白と黒のマナを手に入れる要素としては、宝物がある。《宝物の地図》で3回占術し、《宝物の入り江》へと変身させた時に得られる3つの宝物。これらでアトラクサや大天使のための色マナを得ても良いし、その他重い除去などのコストを支払っても良い。あるいはこれらの宝物をマナとしてではなく、入り江の生け贄に捧げてドローにしても最高だ。このカードは再録カードになる。『イクサラン』当時もボードコントロールをはじめとし、様々な中~低速デッキでアドバンテージをもたらした名カードだった。あれから時間が過ぎて『イクサラン:失われし洞窟』にてスタンダードに帰還。
現在のゲーム速度に対して、毎ターンマナを要求し変身まで少なくとも3ターンを必要とする地図が、はたしてスタンダードで活躍できるのか?多くのプレイヤーが気になっていたポイントだと思う。このリストやその他のコントロールでこの地図を使った者として感想を述べさせていただくと……全然間に合う!《切り崩し》《失せろ》などの軽い除去も強くなっているので、これらを唱えつつ次のドローをより理想的なものに近づけていく、その動きに無理がない。もちろん後手番だった李対戦相手がブンブン最速パターンで動いてきて、みたいな展開だと間に合わないこともあるが、それはどんなカードにも言えることと割り切った方が健康的だ。《宝物の地図》のかつての活躍を知る人も知らない人も、この魅力的なアーティファクトが気になったのならデッキに入れてみよう。
実際にプレイしてみて、ライフ1点&手札0枚という絶体絶命の状況ながら、《宝物の地図》での占術でドロー操作して《太陽降下》《怒りの大天使》からのアトラクサと繋いで大逆転!このデッキは奇跡の逆転劇を好む人にとって、極上の耐久戦仕様だ。極限状態を乗り切れば、天使と宝物の恩恵が君を待っている!センスあるなぁと唸らされるリストを参考にして、君も自分のセンスを磨こう!
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