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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
デプスコンボ:驚異的!レゴラスの反応速度(レガシー)
先日のこと。オンライン上で定期開催されているレガシーのリモート対戦会の様子を見させてもらった。プレイヤーズコンベンションの前週ということで、Eternal Weekendの予習も兼ねて最新のデッキを見させてもらおうかと……「まあレガシーだし他のフォーマットほど最新セットの影響は受けてはいまい」という読みもあったのだが、ゲームを観ながらワイワイ喋るのは楽しいからなと。
結果的にこの日、観戦しておいて正解だった。何か全くわからないカードが飛び出たからな……それはこの冬にリリースされたカードではあるが『イクサラン:失われた洞窟』のカードではない。11月3日から発売開始となった『指輪物語:中つ国の伝承』ホリデーリリースのScene BoxおよびSpecial Edition Collector Booster。このセットにはまさかの完全新規カードが収録されている。それらはモダンでは使用できないもののエターナル環境(レガシー、ヴィンテージ、統率者戦)で使用可能だ。その内のある1枚が実際に使われていることを目の当たりにして、なかなか強いカードだなと……コンベンション前に確認しておいて良かったと胸をなでおろした。そのカードとはこれ。
特殊なカードなので日本語名を持っていないため、これが初見という人も少なくないはず。《Legolas's Quick Reflexes》、ざっくり日本語訳すれば「レゴラスの素早い反応」あたりになるかな。日本語の正式なテキストは存在しないので以下は参考程度に。
《Legolas's Quick Reflexes》 {G}
インスタント
刹那(この呪文がスタックにあるかぎり、プレイヤーは呪文を唱えられず、マナ能力でない起動型能力を起動できない。)
クリーチャー1体を対象とする。それをアンタップする。ターン終了時まで、それは呪禁と到達と「このクリーチャーがタップ状態になるたび、クリーチャー最大1体を対象とする。これはそのクリーチャーにこれのパワーに等しい点数のダメージを与える。」を得る。
弓の名人であるレゴラスの名を冠しているだけあって、クリーチャーに到達を与えるコンバット・トリックとしてデザインされている。対象となったクリーチャーはアンタップされ、到達だけでなく呪禁を得る。なので、相手のクリーチャーをブロックするために起こすだけでなく、相手の除去から守るための実質的な打ち消しとして運用することも可能だ。そしてこのアンタップになったクリーチャーは、さらにタップ状態になると自身のパワー分のダメージを飛ばすクリーチャー除去能力も獲得する。弓矢で射る、飛び道具はなんともクール。タップして起動する能力を持つクリーチャーと組み合わせれば、タップ能力を2回使いまわしたり起動しつつ攻撃したりといった動きが可能になる。そして何より、この呪文は刹那を持っている。刹那を持った呪文には、後から呪文を唱えたり能力を起動したりして割り込むことができない。つまりは打ち消されたりせず、呪禁を付けようとするところに二の矢が飛んでくる恐れも(ほとんど)ない。
レガシーにおいてこのインスタントと組み合わせて強いカードとなると……実際にこれを採用しているリストを見ながら話そうか。
2 《樹木茂る山麓》 3 《吹きさらしの荒野》 2 《Savannah》 1 《Taiga》 1 《Plateau》 3 《暗黒の深部》 3 《演劇の舞台》 2 《成長の揺り篭、ヤヴィマヤ》 1 《ドライアドの東屋》 2 《トロウケアの敷石》 4 《不毛の大地》 1 《カラカス》 1 《セジーリのステップ》 1 《ボジューカの沼》 1 《イス卿の迷路》 1 《平地》 2 《森》 -土地(31)- 4 《エルフの開墾者》 1 《森を護る者》 4 《聖遺の騎士》 -クリーチャー(9)- |
4 《モックス・ダイアモンド》 3 《輪作》 4 《剣を鍬に》 3 《Legolas's Quick Reflexes》 4 《緑の太陽の頂点》 2 《進め、エオルの家の子よ!》 -呪文(20)- |
2 《活性の力》 1 《すべてを護るもの、母聖樹》 1 《辺境地の罠外し》 1 《溜め込み屋のアウフ》 2 《封じ込める僧侶》 2 《耳の痛い静寂》 1 《ガドック・ティーグ》 2 《忍耐》 1 《紅蓮破》 1 《赤霊破》 1 《進め、エオルの家の子よ!》 -サイドボード(15)- |
タップして能力を起動するクリーチャーとなると、長くレガシーをやっているなら《聖遺の騎士》が思い浮かぶはず。タップして平地か森を生け贄に、ライブラリーから任意の土地を戦場に出す。どんな土地でも持ってこれるため《不毛の大地》で対戦相手のマナ基盤をバキバキに粉砕したり、《ボジューカの沼》で墓地対策したり……様々なテクを持ちつつ、墓地の土地の枚数分強化されることで攻撃役としても適任。理想のフィニッシャーとして一時代を築き、そして現在も一部のデッキで輝きを放っている。
この聖遺と同様に土地を入れ替えるタップ能力持ち《エルフの開墾者》とを採用した土地主体のデッキ…「デプス」と呼ばれるコンボこそ、《Legolas's Quick Reflexes》の恩恵を強く授かったデッキだ。2回の能力起動で土地を2枚手に入れ、サイズアップしつつ対戦相手のクリーチャーを除去……この理想の動きを新たに手に入れたってわけだ。たった1マナでね!
デプスと呼ばれるデッキは必殺のコンボを備えている。デプスとは深み、深淵のこと。《暗黒の深部》の英名が由来だ。この土地はカウンターが0個になると生け贄に捧げて、ワンパンで相手を叩き潰すパワー20のマリット・レイジを生成できる。カウンターは戦場に出る際に乗るので、カウンターが乗っていない状態の《演劇の舞台》でコピーしてやると、いきなり深部にカウンター0個という状況を作り出せる。これがそのまま生け贄になってコンボ完成!インスタントのタイミングで動けるので、対戦相手のターン終了時にこれを起動してマリット・レイジを降臨させて続くターンでフィニッシュという動きが隙が無く、対戦相手にとっては脅威だ。このコンボを揃えるのに上記の聖遺らの能力を使うというわけで、コンボパーツ2枚ともを揃えられる2回起動がいかにデンジャラスなのかが伝わったことかと思う。
またマリット・レイジ自身は破壊不能は持つものの《剣を鍬に》のような追放除去だったり《カラカス》で手札に戻されるのはすこぶる苦手なので、《Legolas's Quick Reflexes》でそれらを弾けるようになったのは非常に大きい。《セジーリのステップ》をサーチしてくるのと2種類の防御が揃い、より安定した一撃必殺を狙えるようになった。今、デプスがアツいぜ。
いや~どんなセットでも何かしらの影響を与えるようなカードが眠っているものだ。侮っていたよ、ホリデーリリース。今後もホリデーシーズンに遊ぶことを意識してこのような枠を設けたパックが発売されるのであれば、そこにはエターナル環境に影響を及ぼすカードが眠っているかもしれないので要注目ということになる。マジックに対するアンテナ、何本立てても足りないなこりゃ!
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