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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
玉座人間:人の数だけ誘発がある(スタンダード)
初めてあの次元を訪れた『イクサラン』の時も、それまでのマジックの次元と異なる陽気でクレイジーな海賊らに、中南米風の極彩色に身を包んだ人々、恐竜らとそれと真っ向から取っ組み合う吸血鬼……そのぶっ飛んだ次元の雰囲気に圧倒されたものだ。二度目となる『イクサラン:失われた洞窟』はその次元の地下へと突入、そこには更に古き時代から生き続けている存在が……そのぶっ飛び具合はさらに加速!
なんせ玉座がその辺を闊歩している!どういうことだよ!?《うろつく玉座》というゴーレムは、座るべき主がいなくとも自ら歩き回る、謎まみれのテクノロジー。これはクリーチャータイプを指定して、自身もそのタイプになりながらその種族に恩恵を与える。遺伝子でも読み取る機能が付いているのか?ちょっと不気味で何とも言えない怪しい魅力がある。このSFチックなゴーレムは、指定したタイプのクリーチャーの能力が誘発する場合、それを2倍にする。
ここで初心者のためにルールの優しい説明のお時間だ。クリーチャーなどのカードが持っている能力には種類がある。誘発型能力というのは「○○が戦場に出たとき」「○○が攻撃するたび」「○○が死亡したとき」などの条件が満たされた時に効果が発生する能力のことである。これらの能力は誘発し、それは呪文を唱えた時と同じくスタックに乗る。解決される前にその能力を打ち消す、クリーチャーを除去するなど色々とアクションを挟むことが可能になっている。
誘発型能力には条件が満たされた瞬間ではなく、その後にターン終了ステップの開始時などに誘発する、遅延誘発というものもある。初心者の皆はこの能力の誘発に関してわからないことがあったら、対戦相手やお店でジャッジをしてくれる方などに素直に質問してみよう!大丈夫、皆優しいよ。
さて話は戻って、クリーチャータイプを限定するものの誘発型能力を倍にする《うろつく玉座》。見た目は不気味かもしれないが、クリーチャータイプを統一した、いわゆる「部族デッキ」(これからは同族デッキと呼ぶことになるかもしれない)を組むなら検討のし甲斐がある1枚だ。あなたならどの部族を玉座に座らせる?マーフォーク・吸血鬼・恐竜に海賊……色々悩むけど、マジックに最も多い部族である「人間」を指定するとかなりの誘発型能力を倍にできる!そんな理にかなった意志で組まれたデッキが……
4 《魂の洞窟》 4 《戦場の鍛冶場》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《反逆のるつぼ、霜剣山》 7 《平地》 7 《山》 -土地(24)- 3 《徴兵士官》 3 《有望な信徒》 2 《月皇の古参兵》 3 《スレイベンの守護者、サリア》 3 《銅纏いの先兵》 2 《勇敢な旅人、ケラン》 2 《太陽の執事長、インティ》 3 《粗暴な聖戦士》 3 《千番目の月、アニム・パカル》 3 《輝かしい聖戦士、エーデリン》 1 《包囲の古参兵》 2 《うろつく玉座》 -クリーチャー(30)- |
2 《救済の波濤》 4 《熊野と渇苛斬の対峙》 -呪文(6)- |
1 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《アルガイヴの盾、ミュレル》 3 《選定された平和の番人》 1 《千番目の月、アニム・パカル》 2 《救済の波濤》 3 《失せろ》 3 《ゴバカーンへの侵攻》 -サイドボード(15)- |
スタンダードのボロス(白赤)カラーの人間デッキ!3マナ以下の軽い人間を中心に、これらを序盤からガンガンと展開して殴る・殴る・殴る!シンプルに一点突破、わかりやすいのが人間を中心としたアグロデッキだ。人間デッキの中核、エースと呼べるのは《輝かしい聖戦士、エーデリン》。彼女の能力は攻撃により誘発し、人間・トークンを攻撃している状態で生成する。そう、誘発!玉座がいれば人間が2体飛び出し、そしてその分エーデリン本人のパワーも上昇!極端な話、この2枚だけでクリーチャーが4体以上に増えて、あっという間に対戦相手を打倒してしまうだろう。この人間の最大打点を叩き出すエーデリンをはじめ、人間には誘発型能力がたっぷりてんこ盛り。
ボロスカラーを成立させている最大要因である新戦力《千番目の月、アニム・パカル》。彼女もエーデリン同様、クリーチャーの攻撃により能力が誘発。アニム・パカルに+1/+1カウンターが乗り、その数分のノーム・トークンを攻撃している状態で生成!1回目の誘発では1体のノームが、2回目の誘発では2体のノームが。しかし、これらが玉座でもう一度誘発するなら?激ヤバじゃないか。人間以外にうじゃうじゃと湧いてくるノーム……手が付けられない!アニム・パカルこそ玉座に座るに相応しい人物かもしれない。
他の誘発型能力で見れば、これまた新カードの《太陽の執事長、インティ》も熱いカードだ。彼は2種類の誘発型を持つ。攻撃により誘発する能力では、手札を捨ててクリーチャーのサイズアップ+トランプル付与と1点でも多くのダメージを与えることを後押し。そして手札を捨てることでもう一つの能力が誘発、ライブラリーの上のカードを追放して唱えられるようにする。カードを捨てるというアドバンテージの損失をカバー、土地などの不要カードを他のものと入れ替えられる可能性があり、質的なアドバンテージを取りに行ける。2つの能力でありながらワンセットとして自己完結しているのが強力で、このスペックを2マナで得ても良いのかと色々疑いたくなるレベルだ。
そして『エルドレインの森』の主人公であった《勇敢な旅人、ケラン》!彼はエルドレインから繋がっていた道を通って、父親を捜しにイクサランへとやって来た。かなりひどい目にもあったようだが…素敵な仲間も見つかったようで、早速次なる冒険に胸が高鳴る。ケランは攻撃時にマナ総量3以下のクリーチャーをライブラリーから公開できれば手に入るという、運任せではあるがアグロデッキには嬉しい手札補充能力を持っている。これに該当するカードでなくても、いらなければ墓地に落とせばちょっとお得。これら2マナ域の面々も、玉座と組み合わせればゴリゴリッとリソース(手札などの資源)を稼ぎ出してくれるはずだ。玉座抜きでもカードとして十分に独り立ちしているのが、安心して採用出来る理由。
人間はほとんどあらゆる次元に生息していることもあって、兎に角カードが多い。つまりは誘発型能力も多い。《うろつく玉座》との相性が分かりやすく◎なわけだが……他の部族だって黙っちゃいない。玉座に腰を下ろすのは一体だれか?仲間内で玉座デッキ選手権とか開催しても面白いかもね!
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