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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:ヴァニファール・コンボ(パイオニア&エクスプローラー)

岩SHOW

 クールという観点からデッキを分析・賞賛するクールマニアのためのコーナー「今週のCool Deck」。これが公開されるのは『イクサラン:失われた洞窟』の発売日(2023年11月17日)ということで、世間はイクサラン一色!新たなクールにどっぷり浸るぞと意気込んでいるタイミングなのだろう。

 当コラムが作製されたのはそれよりも前になるので、最新のクールなデッキを紹介するにはタイムラグが生じる……クールマニアの面々にはすまないが、今回は『エルドレインの森』環境がもたらした驚きのデッキを紹介させていただこう。なあにご心配なく、こいつもとびっきりクールだぜ。

Michael Louis - 「ヴァニファール・コンボ」
MTGアリーナ ランク戦 ミシック・ランク到達 / エクスプローラー (2023年11月8日)[MO] [ARENA]
2 《マナの合流点
2 《英雄の公有地
4 《繁殖池
4 《寺院の庭
1 《神無き祭殿
1 《草むした墓
4 《花盛りの湿地
3 《植物の聖域
-土地(21)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《エルフの神秘家
3 《侵攻の伝令、ローナ
2 《獣相のシャーマン
2 《通路の監視者
4 《救出専門家
3 《玻璃池のミミック
2 《イモデーンの徴募兵
1 《秋の騎士
4 《首席議長ヴァニファール
-クリーチャー(29)-
2 《インストゥルメント・オヴ・ザ・バーズ
4 《アガサの魂の大釜
4 《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー
-呪文(10)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ》(相棒)
-サイドボード(1)-
X より引用)

 

 ではもったいぶらずにリストを確認。これはMTGアリーナのBO1(一本先取形式)のエクスプローラーのデッキで、即ちパイオニアでも同様のものを構築することができる。デッキの主役は《首席議長ヴァニファール》!なんだか久しぶりにその姿を目にした、懐かしの1枚が登場だ。

 進化を追い求めるシミック連合のトップだけあって、クリーチャーを生け贄に捧げてそれよりもマナ総量が1大きいクリーチャーをライブラリーからサーチ、戦場に出すという能力を持っている。彼女の能力を用いるコンボデッキというわけで、では以下に詳細をまとめよう。

 ヴァニファールでサーチしてくるクリーチャーの中で最も重要な1枚。それが《通路の監視者》だ。戦場に出た時にアーティファクトかクリーチャーをアンタップする、見た目も能力もカワイイヤツ。これでヴァニファールをアンタップする。そうするともう一度彼女のサーチ能力が起動できる。これをひたすらに繰り返すのが狙いだ。アンタップしたヴァニファールで1マナのクリーチャーを生け贄に捧げ、もう1枚の監視者を持ってきても良いが……

 2マナの監視者を生け贄に捧げて3マナのクリーチャーを引っ張ってくるのがメインの動きになる。《救出専門家》は墓地から2マナ以下のクリーチャーを戦場に戻せるので、これの能力で監視者を戻す。またヴァニファールをアンタップ、そして監視者を餌に専門家を……というムーブをライブラリーの中に専門家がいるだけ繰り返す。専門家がいなくなれば今度は《玻璃池のミミック》の出番。これを専門家のコピーとして繰り出して、ヴァニファールのループを可能な限り繰り返す。

 こうして専門家集団が戦場にずらりと並ぶ。最大で7体の3/2絆魂が並ぶことに。ただこれで終わりというんじゃあコンボとしては一手足りない。そこで最後の3マナクリーチャーとして《イモデーンの徴募兵》を連れてくる。徴募兵の能力で全てのクリーチャーがパワー1上昇&速攻を持つので、これで殴って一気に30点前後のダメージを叩き込んでフィニッシュ!テクニカルでありながら最後は豪快で気分が良い、即ちクールなコンボが誕生した!

 このコンボの強いところ、それは実質的にヴァニファール1枚さえあればあとはコンボの相方をそれほど選ばないところにある。《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》と1マナのマナエルフ8枚体制なので、これで加速してヴァニファールを出しつつそのエルフを生け贄に捧げ、ループを始動すれば良い。《侵攻の伝令、ローナ》や《獣相のシャーマン》で監視者を捨てて墓地に置いておき、これら2マナクリーチャーから専門家に繋げて監視者を釣り上げるという形でもコンボスタートできる。ヴァニファールさえいれば勝てる!この安心感、クールかつウォーム!あったけぇ。

 そんなヴァニファールがいれば勝てるデッキ、逆に言えば彼女がいなくちゃクールなコンボは始まらない。この絶対的キーカードにアクセスするためにもサーチカードは必要である。《獣相のシャーマン》に加えて、これまでこれを採用したデッキはほとんど見たことがなかったという驚きの1枚《インストゥルメント・オヴ・ザ・バーズ》まで採用されている。めちゃめちゃクール、このたまらなく味わい深いチョイスはこれだけで白米一杯食べられるレベル。

 ヴァニファールを手に入れて戦場に出しても、彼女自身が召喚酔いで1ターン跨がなければ能力は起動できない。この隙を許してくれる対戦相手はそうそうおらず、そのためこの弱点を克服するカードもしっかりと完備。《歓喜する喧嘩屋、タイヴァー》は最高に分かりやすい。このクールなエルフで実質的な速攻を与え、出したターンにヴァニファールを回転させる!わかりやすく強引で、またこのタイヴァー自体が単品で強い。彼の能力でヴァニファールをアンタップして必要なカードを揃えたり、墓地から監視者などを釣り上げてコンボを決めたりと様々なルートを形成してくれる。クールかつドリーミー!夢あるなぁ。

 そして最もクールな最終兵器が《アガサの魂の大釜》!速攻で能力が起動可能になったとて、ヴァニファールの能力はソーサリーを唱えるタイミングでしか起動できない。インスタントで簡単に割り込んで待ったをかけられてしまう。さらには見るからに「コンボしまっせ」というカードなので、《思考囲い》で見られると間違いなく捨てさせられるし、打ち消しを持った相手が考えた末に通してくれるなどということもあり得ない。そうやって墓地に落ちたヴァニファールはこの大釜で追放し、戦場に居る他のクリーチャーにその能力を託す!こうして様々な包囲網を乗り越え、なんとしてでもクールなミッションを完遂するのである。

 このデッキ、実は『イクサラン:失われた洞窟』から新戦力を得られるという点でも期待は高まっている。それは《魂の洞窟》。先述のようにヴァニファールに打ち消しが飛んでくるのなら、打ち消せなくしてしまえば話は簡単。さらにヴァニファールのタイプがエルフというのも素晴らしい。マナエルフや《獣相のシャーマン》らを唱えるための土地としても運用できるので、洞窟がデッキの形を歪めてしまうという心配は無用!むしろ他にも何かしらのエルフを採用するという戦術の幅も拡がるんじゃないのか?《再利用の賢者》でコンボを阻害する対策カードを確実に潰したり、あるいはサイド後はエルフデッキとして戦う……みたいな感じでサイドボードを含めたBO3(2本先取形式)のデッキにも昇華できそうだ。

 クールすぎる「ヴァニファール・コンボ」、『エルドレインの森』リリース時にこのデッキが生まれることを予見できていたプレイヤーはどのぐらいいるだろうか?ということは『イクサラン:失われた洞窟』もリリースされたばかりの現時点では誰も気づいていないコンボがある!断言して問題あるまい。クールなものを求めていざ洞窟へ!誰も知らないデッキを最初に手にするのは君だ。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Find new combo!!

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