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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
レガシーの青の王道、クロック・パーミッション!(レガシー)
前回は2023 Asia Eternal Weekendの開催が1ヶ月前に迫ってきたので、久しぶりにヴィンテージのデッキを紹介させていただいた。では今回も続けてエターナル環境のデッキを、ということでレガシーからデッキをピックアップ。ヴィンテージとレガシー、同じエターナルに分類されてはいるが全くの別物である。
ヴィンテージには制限カードが設けられている。一方レガシーにはそれがない。4枚使えるか、あるいは禁止カードとして使用できないかの2パターンのみだ。ヴィンテージで制限カードに指定されている《ブラック・ロータス》などが使えない、という点で物足りなく感じるかもしれないが、逆に《渦まく知識》や《思案》が制限なく使えるという点で、青いドロー操作で手札を整えながら戦うのが好きなプレイヤーにとってはレガシーの方がグッとくるものがあるかもしれない。ヴィンテージの制限1枚挿しがズラリ、というものよりきっちり4枚ずつ採用されたカードが並んだ綺麗なリストが好きだというプレイヤーもいるだろう。
そういう需要に応える、様々な要素の同居でありながらも美しく整えられたリストを紹介しよう。《渦まく知識》と《思案》を4枚ずつ採用し、ライブラリーをザクザクと掘り進んでカードを引き込んでいくゲーム体験、レガシーの妙味ここにあり!
4 《汚染された三角州》 3 《沸騰する小湖》 2 《Underground Sea》 4 《Volcanic Island》 2 《Tropical Island》 3 《不毛の大地》 -土地(18)- 4 《ドラゴンの怒りの媒介者》 4 《オークの弓使い》 4 《探索するドルイド》 2 《厚かましい借り手》 3 《濁浪の執政》 -クリーチャー(17)- |
4 《渦まく知識》 4 《思案》 3 《ミシュラのガラクタ》 2 《ロリアンの発見》 4 《目くらまし》 4 《意志の力》 4 《稲妻》 -呪文(25)- |
2 《相殺》 2 《否定の力》 3 《紅蓮破》 1 《水流破》 1 《四肢切断》 2 《外科的摘出》 1 《墓掘りの檻》 2 《溶融》 1 《無のロッド》 -サイドボード(15)- |
1マナドロー2種8枚に加えて《目くらまし》と《意志の力》も4枚ずつ。レガシーの青いデッキの一つの理想形だ。どちらの打ち消しも通常のマナの支払い以外に代替コストが用意されている。このようなマナを不要とする呪文のことをピッチスペルと呼ぶ。これらのピッチスペルは手札を失ったり土地を戻すことでマナが伸びなかったりと、あまりうれしくはないコストを求めてくる。しかしマナ不要の打ち消しというのはそのコストを補って余りあるものだ。マナは違うことに……クリーチャーの展開やコンボの成立に向けて使いつつ、これらの打ち消しで対戦相手の要所を打ち消して思い通りのゲーム展開をさせない。これがレガシーの青いデッキのテンプレと言えるもの。
上記の打ち消しを主体とした戦術はパーミッションと呼ばれる。意味は「許可」であり、打ち消しを持ったプレイヤーに対して「この呪文は解決しても良いですか……?」と対戦相手が許可を求める様が由来だ。ただ打ち消しを構えるだけのデッキというよりも、レガシーの主体はライフを刻んでいくクロック、即ちクリーチャーを展開するもの。クロック・パーミッションと呼ばれるアーキタイプの中でもそのクロックの選定に個性が出るわけだが、今回のリストはかなり貪欲な構成だ。
イタリアの店舗大会で用いられたこのリスト、青が主体ではあるがクロックは青以外の色から取り入れる形に。《ドラゴンの怒りの媒介者》は1マナドローともピッチスペルトも相性抜群。低コストの呪文を唱えてこの媒介者の諜報を誘発させ、ライブラリーから不要なカードを落として一気に墓地の枚数を増やす。これにより媒介者の昂揚を達成して速やかに3/3飛行に育てる。1マナでこのスペック、早けりゃ2ターン目に満たすのだから恐ろしい。墓地が増えれば《濁浪の執政》の探査コストも軽々払えるという寸法だ。
また黒も足すことで《オークの弓使い》も採用。これは《渦まく知識》などのドローに対する強烈なアンチテーゼ。カードを引けばダメージが飛び、オーク・軍団がやってくる!低タフネスのクリーチャー、媒介者や《秘密を掘り下げる者》を用いるクロックパ―ミ同型戦においては勝負のポイントを握る1枚となる。このリストはほぼこのオークのためだけに黒を足しており、以下にレガシーにおいて無視出来ないカードとなっているかが伝わってくるだろう。
そして、青以外の色から迎え入れたクロックの一つとして《探索するドルイド》にも注目!最近レガシーでシェアを伸ばしている、味わい深い1枚だ。出来事《獣の探索》として唱えればライブラリーの2枚を追放して、期限付きで唱えられる衝動的ドローというアドバンテージをもたらす。この衝動的ドローは次の自分のターン終了ステップまでなので、インスタントであることを活かして対戦相手のターンに唱え、土地が捲れても戦場に出したり、少しでも多くのマナを使って捲れたカードをキッチリ使いきれるように運用したい。
アドバンテージを取った後はドルイドとして戦場へ。このカードはかつて……大昔、レガシーのクロックパーミでも用いられていた《クウィリーオンのドライアド》と全く同じスペック。ドローや打ち消しなどを唱えると+1/+1カウンターが乗るので、対戦相手の妨害をし必要なカードを引き込みつつ、ドルイドを大きく育てて攻めていく。ドライアドはカードパワー不足でレガシーからフェードアウトしていったが、出来事が付いて帰ってきた《探索するドルイド》は今日のレガシー環境でも存在感を発揮している。時代を越えて名カードの遺伝子を持ったカードが活躍する、グッとくるね。
青に黒・赤・緑を足したクロックパーミ。この構成を成立させている青の王道、ドローとピッチスペルという構成。デッキのパーツも綺麗に4枚ずつ採用されているものが多く、カードを多数引けるということで再現性が高く、また理論上どんな相手とも戦える。その柔軟さと手堅さを武器に、2023 Asia Eternal Weekendでも青いデッキは活躍することだろう。果たしてどんなリストが勝利を手にするのか?秋を締めくくるイベントに注目だ。
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