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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

グルール・ミッドレンジ:緑の“寓話”、本家寓話とまとめて使え!(パイオニア)

岩SHOW

 前回ではパイオニアの「アブザン脂牙」を紹介させてもらった。このデッキにおける新戦力、《狩人の贖罪》はパイオニアという環境で大いに輝きを放つポテンシャルを、今まさに開花させている。この英雄譚……

ビーストを生成する

クリーチャーを生け贄に捧げたらライブラリーからクリーチャーか基本土地をサーチ

クリーチャー2体に+2/+2修正とトランプル

3つの能力が全部噛み合っている。ビーストをそのまま残して戦闘させても良いし、これを餌によりヤバいクリーチャーを引っ張ってきても楽しい。土地が引けない時は最悪3マナの土地ドローくらいの気持ちで運用しちゃうのもナシじゃないし、最終的にクリーチャー強化が上手く使えてゴリッとライフを持っていければ最高。この緑の3マナの英雄譚、一部界隈では「緑の寓話」なんて呼ばれたりもしているようだ。

回転

 寓話とは同じ3マナの英雄譚、《鏡割りの寓話》。言わずと知れた激ヤバカードだ。この英雄譚もトークンを作り、リソース(資源)を別のリソースに置き換えるという能力を持っているため、確かにちょっと似ているかもしれない。これが生成するゴブリン・シャーマンは攻撃すればマナが増えるスゲーやつ。ビーストは3/3と、ゴブリンのような器用さはないがサイズで勝負できる。寓話の手札2枚入れ替えか、クリーチャーを餌に確実に欲しいものを持ってこられる贖罪か、これも甲乙つけがたい。なるほど、確かにこの2枚は似ているかも。

「だったら…なんだったらさ、一緒に使えば強いデッキが組めるんじゃないか?」

その意見、ごもっとも!勿論ありまっせ!パイオニアにはこの2枚を共演させるグルール(赤緑)デッキが!

DookieTrouserMD - 「グルール・ミッドレンジ」
Magic Online Pioneer Challenge 9位 / パイオニア (2023年10月7日)[MO] [ARENA]
4 《踏み鳴らされる地
4 《カープルーザンの森
4 《銅線の地溝
3 《岩山被りの小道
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
2 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《バグベアの居住地
1 《ハイドラの巣
3 《変わり谷
1 《
-土地(24)-

4 《ラノワールのエルフ
4 《エルフの神秘家
1 《腐れ花
1 《漁る軟泥
4 《砕骨の巨人
4 《無謀な嵐探し
1 《戦闘の祝賀者
1 《ヴォルダーレンの興奮探し
1 《結ばれた者、ハラナとアレイナ
-クリーチャー(21)-
4 《エシカの戦車
4 《鏡割りの寓話
4 《狩人の贖罪
3 《アクロス戦争
-呪文(15)-
1 《湧き出る源、ジェガンサ》(相棒)
4 《引き裂く流弾
2 《絞殺
1 《領事の旗艦、スカイソブリン
1 《温厚な襞背
1 《燃えがら蔦
1 《熱烈の神ハゾレト
1 《運命の神、クローティス
1 《未認可霊柩車
1 《アクロス戦争
1 《石の脳
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 これが話題のW寓話スタイル、《鏡割りの寓話》と《狩人の贖罪》を両方備えたグルールだ。ジャンルとしてはアグロ(高速)でもコントロール(低速)でもなく、まさに中間的な速度感、ミッドレンジになる。

 この3マナ英雄譚を計8枚採用している関係から、デッキリストをマナ総量順に並べた場合、3マナ域がスパイク(突出して多い状態)している。マジックのセオリーとして、これはあまり歓迎すべきものではない。たっぷりある3マナ域に引きが偏ってしまった場合、1・2ターン目はろくに動けず、4ターン目以降も1ターンに2回行動とかが取りにくくなってしまう。この問題を解決するために、このデッキは《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》と、1マナのマナを加えられるエルフらをフル投入。1ターン目マナエルフ→2ターン目3マナ英雄譚の美しいジャンプアップ。狙いはこれだ。これらのエルフは単にマナを増やすだけでなく、クリーチャーであることを活かして、贖罪の生け贄に捧げたりあるいはこれで強化したりと、ある意味このデッキはマナエルフを最大限に活用するというのが裏テーマなのかもしれない。

 デッキとしては《砕骨の巨人》《無謀な嵐探し》《エシカの戦車》と赤緑の定番の面々が並ぶ。これらでの猛攻を英雄譚2種類で後押しするのが狙いなわけだが……お約束カード以外にも、1枚挿しがチラホラと。それらを贖罪のサーチにより手に入れて、効果的に働く相手を圧倒していく。このような戦い方を、「吸血鬼相手には効果覿面な銀の銃弾を用いる」というニュアンスからシルバーバレット戦術と呼ぶ。

 さて、このデッキが用意した弾丸は……わかりやすいものは《漁る軟泥》。墓地利用デッキ全般にグサリと突き刺さる、相も変わらず強力なウーズだ。墓地を食ってデカくなって、ライフも得られる。そのため単純な墓地系デッキのみならず、ライフが危険域に差し掛かった時にも頼りになる。《腐れ花》はアーティファクトやエンチャントを破壊する手段。それらを用いない相手に対して引いてしまっても、2マナパワー3で戦闘面で働けるので問題なし。そして3つ目のモードの増殖も実はこのデッキでは強く運用できる。贖罪のⅢ章能力を強引に誘発させて一気にライフをもぎ取る動きは、対戦相手の計算を大きく狂わせるだろうね。

 想定外のダメージを与える選択肢は他にも用意されており、それら攻めのバレットを贖罪から巧みにサーチして一気にライフをもぎ取る。《ヴォルダーレンの興奮探し》で直接ダメージを叩き込むのはわかりやすく、一瞬で10点以上を持っていける優秀な選択肢。クリーチャーやプレインズウォーカーへの除去としても運用できるのが素晴らしい。

 そして《戦闘の祝賀者》!こいつはヤバいぜ……追加の戦闘をもたらすことで一気にライフを詰められるという、単体で見ても魅力的なクリーチャーだが……《鏡割りの寓話》が変身した《キキジキの鏡像》は、自身をタップすることでクリーチャーをコピーする。これで祝賀者をコピーすると……祝賀者コピーで督励させながら攻撃→全クリーチャーがアンタップするので、キキジキでもう一度祝賀者をコピー、これを督励させ……と、マナが許す限り追加の戦闘を行うことが可能だ。2回、3回とゴツゴツ攻撃を繰り返して対戦相手をノックアウト!決まれば最高に気持ち良いコンボ、隙があれば贖罪から狙ってみよう!

 パイオニアの看板カードの一つとして君臨する《鏡割りの寓話》。緑にもそれと肩を並べ得る強力な英雄譚《狩人の贖罪》が加わって、このフォーマットはさらにエキサイティングなものに。スタンダードのカードが活躍するパイオニア、皆もやろうぜ!同様のデッキはMTGアリーナのエクスプローラーでも組めるよ!

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