READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:無駄省きコントロール(パイオニア)

岩SHOW

 うおっす!元気してたかい?クールという観点を最重要視してデッキを紹介する当コーナー、Cool Deckのお時間だ。季節の変わり目、朝夕の空気がクールになってきたが、ここは変わらず元気よく、デッキの紹介を続けていくことを宣言しよう!今週のデッキは…ある1枚のカードに惚れ込んだプレイヤーが組み上げ、そのクールな構成が世界中のマニアにも波及した例を紹介しよう。では早速、そのカードとは……。

Uegjo
Magic Online Pioneer Preliminary 3-1 / パイオニア (2023年10月3日)[MO] [ARENA]
4 《ロークスワイン城
3 《目玉の暴君の住処
3 《廃墟の地
3 《ガイアー岬の療養所
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《ヨーグモスの墳墓、アーボーグ
11 《
-土地(26)-

3 《黙示録、シェオルドレッド
-クリーチャー(3)-
4 《致命的な一押し
1 《無情な行動
1 《食肉鉤虐殺事件
2 《シェオルドレッドの勅令
4 《思考囲い
2 《強迫
3 《真っ白
2 《ランクルのいたずら
1 《塵へのしがみつき
2 《精神迷わせの秘本
1 《執念の徳目
4 《無駄省き
4 《ヴェールのリリアナ
-呪文(31)-
2 《強迫
1 《レイ・オヴ・エンフィーブルメント
1 《食肉鉤虐殺事件
2 《絶滅の契機
1 《危難の道
2 《絶望招来
3 《虚空の力線
1 《精神迷わせの秘本
2 《真髄の針
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 《無駄省き》!マニアが愛し続けるクールにしてニッチなエンチャントだ。このカード、名前もマナ・コストもイラストも……そして能力もとにかくクールな思考の逸品。『エルドレインの森』のおとぎ話枠にも収録されており、パックからこれを手に入れたという方も少なくないだろう。

 このエンチャントをコントロールしている時に対戦相手が手札を捨てると能力が誘発。その内容によって3種類の恩恵が受けられる。クリーチャーを捨てれば2/2のゾンビを、土地を捨てたなら黒マナ2つを、そしてクリーチャーでも土地でもないカードを捨てたなら1ドローを。これは対戦相手が何かしらのコストとして能動的に手札を捨てた時はもちろんのこと、黒のお家芸である手札を捨てさせる呪文や能力……通称手札破壊によって強制的に誘発させることも可能だ。これを狙ったデッキは『基本セット2015』で《無駄省き》が初登場してからの9年間に渡って、世界中のマニアやクールなデッキデザイナーらによって色々と試されてきたが、この2023年に遂に「これ!」という形に至ったようだ。

 というわけでパイオニアの黒単コントロールの新たな流派、「無駄省きコントロール」について解説していこう。パイオニアの黒と言えば?《思考囲い》が真っ先に思い浮かぶ人も多いんじゃないかな。このクールすぎて最早コールドな1マナの万能手札破壊にはじまり、《強迫》や《真っ白》など、扱いやすい手札破壊で対戦相手の手札を削いでいく。どんな強力なカードであっても、唱えたり戦場に出る前に捨てさせてしまえばどうということはない。危機は未然に防ぐ、これぞ黒のクールな防御術。これら手札破壊と《無駄省き》を組み合わせ、対戦相手のリソース(ゲーム中に用いる資源)を奪いつつ自分はリソースを得ていく。悪いよな、極悪だよ。でもこれがクールなんだな、この上なく。

 使い捨てのソーサリーもマナ効率が良いが、継続して手札を捨てさせるパーマネントの能力による手札破壊も忘れずに。パイオニアでも定番の《ヴェールのリリアナ》、クリーチャー除去も出来る何でもござれな名プレインズウォーカー、彼女の[+1]能力は対戦相手だけでなくコントローラー自身の手札も捨てさせるものだが、この損失は《無駄省き》でカバーできるという仕組み。

 また、土地の枠には《ガイアー岬の療養所》!クールすぎる土地の姿を久しぶりに見たよ。この伝説の土地は全プレイヤーにカードを1枚引かせ、その後1枚捨てさせる。この手札入れ替え能力も《無駄省き》にかかれば対戦相手にとってイヤ~なデメリットに。手札破壊の連打で手札が空っぽになった対戦相手に、無理やりカードを引かせて捨てさせることで《無駄省き》の無駄を文字通り解消するというわけだ。伝説の土地ではあるが、ガイアー岬自身で2枚目以降を捨てて他のカードに置き換えれば何も問題はない。

 この《無駄省き》デッキがこの2023年の秋に隆盛してきた理由。それは『エルドレインの森』のもたらした新カード《ランクルのいたずら》!このソーサリーは、全てのプレイヤーに損失をもたらすこれまたイヤらしい1枚。3つのモードの中から、お互いに手札を2枚捨てるものを選ぶ。本来なら自分にとっても痛いものだが、無駄省きの影響下ではクリーチャーが増えたり2枚ドローしたりなんてことも起こり得る。

 このカードはクリーチャーを2体生け贄に捧げさせるモードも備えている。このデッキはクリーチャーカードが《黙示録、シェオルドレッド》3枚のみなので、このモードを選んでも何かを失うことはほとんどない。対戦相手のクリーチャー2体を一方的に巻き込みながら無駄省き2回分の誘発を取りに行けるという、恐ろしくもクールな働きを見せる!こういう大参事に対戦相手を引きずり込む類のカードを、自分は被害を抑えられるように運用する……そんなデッキって最高にクールだと思わないかい?

 激シブでクールなパイオニアの黒単、その新たな形。オンライン上で1人のプレイヤーが使い続け、そのクールなビジュアルにノックアウトされたプレイヤーらがコピーして、テーブルトップ(紙のカード)のイベントでもその数を増やしつつある。ブームを起こすプレイヤーやデザイナーは本当にクールなもので、心よりリスペクトしている。

 明日のクールを作るのは、あなたかもしれない。一大ブームを起こすデッキ、作っちゃってよ~というところで、それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Let’s prank!!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索