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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

今週のCool Deck:創造の技、クールな進化(レガシー)

岩SHOW

 金曜日と言えば当コーナー、今週のCool Deck。マジックの構築戦のデッキ、それに最も求められているのはクールさである!という独自解釈の元、デッキの情報の中でもクールであるということを重視し、そのクールで眩い魅力的なリストを紹介するコーナーだ。さて今週は……コンボデッキのお話をさせていただきましょうかな。

 コンボといえども色々あるけど、やっぱりクールなものが揃うところいったら、やはりレガシー。このフォーマットにはプレイヤーの独創性を刺激し、未だ見ぬコンボを創造する意欲をかき立てるカードがゴロゴロ。今回もそんなコンボ創造主になりたい欲に応えてくれる、クールな1枚を主役にしたデッキをご覧いただこう。

Benny Zeoli - 「創造の技」
CSSC 2K 優勝 / レガシー (2023年8月23日)[MO] [ARENA]
4 《古えの墳墓
3 《裏切り者の都
4 《サプラーツォの岩礁
4 《鋭き砂岩
4 《ヒッコリーの植林地
4 《硫黄孔
4 《ほくちの加工場
3 《ドワーフ都市の廃墟
3 《水晶鉱脈
4 《天上都市、大田原
2 《耐え抜くもの、母聖樹
1 《
-土地(40)-

4 《乗り込み部隊
2 《逆嶋の手下
2 《甘露のイトグモ
1 《オーロラのフェニックス
4 《大渦の放浪者
2 《頂点壊滅獣
1 《引き裂かれし永劫、エムラクール
-クリーチャー(16)-
4 《創造の技
-呪文(4)-
4 《虚空の力線
4 《混沌の辛苦
2 《ティボルトの計略
3 《紅蓮操作
1 《鏡殻のカニ
1 《前駆軟泥、エーヴ
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 Magic Onlineにて紙のカードから遅れて実装された《創造の技》。テーブルトップのマジックではリリース後から一部の愛好家の間でHOTなカードとして知られていた。そのリストは以前このCool Deckでも紹介させていただいた。これは一体何をするカードなの?そう思うのも無理はない、実演とかいう謎の能力!これは呪文を唱える際に選ぶものであり、実演することを選んだらこの呪文をコピー。そして対戦相手もこれをコピーするという、「そっちにも1回この呪文を体験させてあげるからこっちは2回やらせてもらうよ」という友好的なのか押し売りなのかは受け取り手次第というクールな能力だ。

 そしてこの《創造の技》はライブラリーをシャッフルした後にトップを公開、その呪文をマナを払わずに一度唱えるというギャンブル系の渾沌をもたらす。対戦相手にも1回だけマナコスト踏み倒しをさせてあげるから、こっちは2回やっても良いだろうと。この噂の強カード、ついにMO界にやってきたということでオンライン派のプレイヤーがデッキを研究しだした。これにより、デッキの練度は急上昇!より完成度の高いコンボとして一歩進むことに!

 《創造の技》から公開して最高に気持ち良いのは《頂点壊滅獣》!ミスプリントじゃねぇぞ、続唱4回!10マナのこの呪文、唱えた際に9マナ以下の呪文が公開されるまでライブラリーを捲り、それを唱える!これを繰り返すこと4回!ヤバすぎるぜこのアドバンテージッッ!ぶっ飛ぶほどに続唱を行い、狙うはさらなる続唱!無限とも思えるほどの呪文の連打!中でも究極のものは《大渦の放浪者》。続唱2回、そして全クリーチャーに速攻!壊滅獣ら続唱から展開された化け物達が即座に殴りかかる。これほどクールなThe Endもあるまい。

 このデッキでは兎に角、どんな角度からでも続唱が繋がる。10マナの壊滅獣、8マナの放浪者、そして6マナには《甘露のイトグモ》《逆嶋の手下》《乗り込み部隊》と続唱から公開されるものは確実に続唱、あるいは《創造の技》なのである。技が捲れたらまた何かしらの呪文が公開される。それは続唱呪文だ。キリがない?そりゃそうだ、そういうデッキなのである。

 つまり動き出すと延々とハイコストの呪文が連打され、そしていつか……《引き裂かれし永劫、エムラクール》が公開される。これで得た追加ターンなり、放浪者の速攻なりで大怪獣の猛攻撃を行い、押しつぶす。文字通り、踏みつけるッッ。この一見愚かなまでにやりすぎな勝ち方に見えるデッキ……だが、それでいい。それがいい。

 このデッキは《創造の技》、あるいは続唱呪文を唱えないことには何も始まらない。それらのコストは5マナ以上!重い、あまりに重いッ!これを武器にする、これしか武器を持たぬデッキ。回すには相応のマナが必要だ。だからと言って《炎の儀式》や《金属モックス》のようなマナ加速呪文は採用出来ない。それらが技や続唱で公開されるとお寒い結末になってしまうから……クールじゃないね。なので、マナは土地から得る。それだけの話じゃないか。真面目に5ターン目までゆっくりやるつもりはそんなにないぞ。《古えの墳墓》《裏切り者の都》、レガシー定番の2マナ土地を使うに限る。そしてそれだけじゃあない。

 《サプラーツォの岩礁》《鋭き砂岩》《ヒッコリーの植林地》らタップ状態で出て、2回しか起動できないという制約付きながら色マナを2つ加える土地サイクル。そして《硫黄孔》《ほくちの加工場》《ドワーフ都市の廃墟》《水晶鉱脈》……生け贄に捧げて2マナ捻出する土地たち。これらでガッツリと固めたマナ基盤で、高コストのカードのみで構築されたデッキを強引にブン回す。このクールな流儀、たまんねぇな。

 土地の枚数40枚!これで土地を引けずにマナが止まって唱えられないという事態は起こさせない。《創造の技》や5,6マナの続唱呪文とそれらを唱えられる土地が揃った手札。それが来るまでは鉄の意志でマリガンだ。なぁに、勝つときに手札がパンパンだろうが空だろうが、勝利シーンを彩る戦場には怪獣が揃っている。案ずるなかれ、全力でコンボに挑め。

 テーブルトップで野望が芽生え、オンラインで進化した《創造の技》デッキ。オンラインの集合知により研鑽されたデッキは、またテーブルトップにて使用され数々のトーナメントを駆け巡る。そしてまた次なるステップに突入し……いつまでも。どこまでも、連綿と続いていく。これをクールと言わずして、何と呼ぶのか。

 それじゃあ今週はここまで。Stay cool! Combo for cool, cool for combo!!

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