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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!フェアリーの15年(スタンダード)

岩SHOW

エルドレイン、来た!来た!キタァァッ!

 いよいよ明日、9月8日に発売日を迎える『エルドレインの森』。プレリリースで触れたカード達を使ったデッキを組んで、本腰を入れて新環境のスタンダードを始められるッ!いやぁアガっちゃうね!マジックプレイヤー、スタンダードプレイヤーが待ち望んでいたその時が遂にやってくる。明日からの予定はビッシリ、皆で対戦会!そんな素敵なスタンダード愛好家達に敬意を表しつつ、今日もスタンダーを熱く語る「とことん!スタンダー道!」の始まりだ!

 今回は過去のスタンダードを振り返りつつ、ある部族にフォーカスして新環境のデッキ案をお届けしよう。

とことん遡る!15年前のスタンダード!

 遡ること2008年。実に15年前の話だ。かつて開催されていた賞金制の大型トーナメント「グランプリ」。日本国内におけるこれを2連覇した猛者が現れた。後の世界チャンピオン、高橋雄太選手だ。その連覇の1勝目は2008年3月、グランプリ静岡。スタンダードにて開催され、そこで勝利したのが「青黒フェアリー」だった。

 1点のライフと引き換えに1/1飛行のフェアリーを毎ターン得られる《苦花》。攻めにおいては勿論のこと、対戦相手の攻撃をブロックさせることで高い打点を1点という最小限のライフで食い止められるため、コントロール手段としても優秀だ。

 これで良い感じにライフを削って勝利が間に合えば良いが、そうもいかない時もある。ライフが危険な時には《切り縛りの徒党》の覇権能力で追放。このフェアリーも4マナで瞬速持ちの4/4飛行、十分な戦力でありながら対戦相手の土地を全てタップすることで1ターンを無駄に消費させるという凶悪な能力の持ち主!

 当時この苦花×霧縛りに苦しめられたスタンダードプレイヤーは山ほどいた(ワシもじゃ!)。スタンダードのド本命デッキであったが、それで強豪ひしめくグランプリで勝利するというのは決して容易いことではない。《雲打ち》や《ハリケーン》で対策しまくったデッキがひしめいていたのだ。

高橋優太 - 「青黒フェアリー」
グランプリ・静岡2008 優勝 / スタンダード (2008年9月3日)[MO] [ARENA]
4 《人里離れた谷間
4 《涙の川
4 《地底の大河
3 《フェアリーの集会場
4 《変わり谷
4 《冠雪の島
2 《冠雪の沼
-土地(25)-

4 《呪文づまりのスプライト
4 《やっかい児
4 《ウーナの末裔
4 《霧縛りの徒党
3 《誘惑蒔き
-クリーチャー(19)-
4 《祖先の幻視
4 《謎めいた命令
4 《名も無き転置
4 《苦花
-呪文(16)-
4 《ボトルのノーム
4 《死の印
2 《使い魔の策略
2 《剃刀毛のマスティコア
3 《思考囲い
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 それらに撃ち落とされることなく最後まで漂い、舞い続けたフェアリーがこのリスト。フェアリーの多くは1枚での戦闘力が決して高くないものの、そのトリッキーな能力は非常に優秀だった。打ち消しを行う《呪文づまりのスプライト》を筆頭に、タップ或いはアンタップで撹乱する《やっかい児》、そしてクリーチャーのコントロールを奪ってしまう《誘惑蒔き》!これらを最適なタイミングで繰り出し、対戦相手の妨害を行いつつフェアリーで的確に攻める。これぞクロックパーミッション(打ち消しつつ攻める戦術)!これらを《ウーナの末裔》で強化しつつ被覆を与えて守る。これぞフェアリーの流儀。

 フェアリーだけでなく、青を中心としたカードにもクロックパーミッションを後押しするものが揃っていた。その象徴《謎めいた命令》!このインスタントはマジでヤバかったなぁ~コントロールしたいデッキが求めている要素が全部入っているテクニックの塊だよこれこそ。打ち消しつつドロー、バウンスしつつクリーチャー全タップ、状況に合わせて一番えげつないモードを選んで使いこなす競技プレイヤー達はカッコよかったなぁ。《祖先の幻視》も伝説のドローのリメイクであり、当時はこれでカードを引くことを夢見たものだ。

あれから15年……フェアリー再び?

 『エルドレインの森』に青と黒のフェアリーが多数収録されているところから、2008年のこのデッキを思い出した方々。ワシもじゃ!否応なしでもフェアリーデッキと言えばあの頃が思い浮かぶものだ。当時とは顔ぶれが全く異なるものの、またフェアリーをスタンダードのマイデッキとして使いこなすことができる。そこに喜びを見出した人、あるいは過去のことは知らなくともエルドレインのフェアリーの魅了された人も、皆で新しいフェアリーの歴史を紡いでいこうじゃないか。

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 新たなフェアリーを束ねたデッキを組むことを肯定する1枚は《タリオンの伝書使》。フェアリー攻撃時にカードを1枚引き1枚捨てる、ルーティングと呼ばれる手札入れ替え。これを行った後にフェアリー1体をカウンターで強化する。

 変則的なロード(強化役)であるこの伝書使、相性の良いスタンダード既存カードとなると《フェアリーの荒らし屋》だ。ターンにおいて2枚目のドローを行えばこれもカウンターを得て強化されるので、この2枚だけでも効率良く成長する盤面を作り上げられる。

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 新フェアリーと既存のフェアリーの相性で言えば、《錠前破りのいたずら屋》も面白い存在になりそうだ。切削したカードの中からインスタント・ソーサリー・フェアリーに該当するものを手札に加える。

 この動きによって拾わなかったインスタントやソーサリーも無駄にせずに利用できるのが《光素を漁る者》。《喉首狙い》などの除去を拾って美味しくアドバンテージ獲得だ。対戦相手の墓地もいただけるので《完成化した精神、ジェイス》とも組み合わせたいね。これもドローできるので《フェアリーの荒らし屋》マッチョ化チャンス!

岩SHOW - 「ディミーア・フェアリー(仮)」
スタンダード (2023年8月31日)[MO] [ARENA]
4 《地底の大河
4 《難破船の湿地
2 《闇滑りの岸
1 《陰鬱な僻地
3 《天上都市、大田原
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
3 《廃墟の地
3 《
3 《
-土地(24)-

4 《フェアリーの黒幕
4 《フェアリーの荒らし屋
2 《夢見る決闘者、オビラ
2 《錠前破りのいたずら屋
4 《タリオンの伝書使
2 《光素を漁る者
2 《慈愛の王、タリオン
2 《呪文嘲りの集会
-クリーチャー(22)-
4 《呪文どもり
2 《切り崩し
3 《喉首狙い
1 《冥府の掌握
2 《エルドレインへの侵攻
2 《完成化した精神、ジェイス
-呪文(14)-

-サイドボード(0)-
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 それらフェアリーをひとところにまとめたサンプルリストだ。正直全部のフェアリーは入り切らないので、やむなく断念したカードもある。雰囲気付けも重要なので《夢見る決闘者、オビラ》《慈愛の王、タリオン》といった伝説のフェアリーは優先して採用してみた。フェアリーを出していくだけでライフを削っていくオビラ、有利な状況に蓋をするタリオン、どちらもただの腕力で勝つのではなくチクチクと積み重ねで勝利するフェアリーらしさを体現するデザインだ。

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 《呪文嘲りの集会》もいやらしさ全開のステキなデザイン。出来事の《お返し》は呪文を手札に戻す疑似的な打ち消し。これは「打ち消せない」と書かれている呪文に対しても有効だ。これで厄介な呪文を手札に戻しつつ、返しのターンで《呪文嘲りの集会》で捨てさせられれば美しい流れになる。

回転

 ただ、もし呪文を戻した上で手札が2枚あったなら?だったら《エルドレインへの侵攻》で捨てさせよう。これも第2面は《とげ刺しのフェアリー》なので、上手く変身させてフェアリーとシナジー(相互作用)を形成させたいね。2枚以上あれば《自我の流出》で確実に引っこ抜くという手段もある。これ単体ではややリスクもあるので今回のリストでは不採用だが、もっと低コストの《眠り呪いのフェアリー》なども採用した形にするなら、積極的に手札破壊として用いても問題ないだろうね。

 今回フェアリーにスポットを当ててとことんスタンダードのデッキを考えてみた。さあいよいよ明日は『エルドレインの森』発売日!最新セットを手に入れて、皆で新たなスタンダード環境を遊びまくってほしい!ということで、じゃあ明日に備えて早く眠る……なんてことはないな。今夜もとことん、スタンダードやっちゃいますか……。

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