READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

とことん!スタンダー道!報復招来、そしてあの姿はアリストクラッツ?(スタンダード)

岩SHOW

夏休み?だったらマジックにどっぷり浸ろうや!

 学生の皆、夏休みは思う存分に何かに熱中しよう!部活・勉強・バイト……何でも良い。各自が取り組みたいことに、夏休みというたっぷりと時間を注げる期間を使って熱中する。これほど素晴らしいことはない!どうか今年も良い夏だったなと燃えるシーズンにしてほしいね。もちろん、マジックに全身全霊を込めたいっていうプレイヤーの鑑も大歓迎だ。僕も中学の夏休みは皆で公民館的なところに集まって宿題やりつつ、手が空いた者どうしで対戦開始……今考えればめちゃくちゃ良い夏休みを送っていたなとしみじみと思うよ。学生じゃない皆も、暑い夏の隙間時間で熱中できるものがあれば良いなと……それがマジックのスタンダードだと、当道場生の1人として嬉しい限りだなと思う今日この頃。さあ、スタンダードという道を極めるスタンダー道、本日も稽古の始まりだ。押忍ッ!

とことん!白きリアニ道!

 リアニメイト……マジックの中でも古くから存在するコンボおよび戦略の総称だ。死体を蘇生させるというニュアンスで、クリーチャーを墓地から戦場に戻すことのできる呪文や能力を用いることをこう表現する。

 単に死亡したクリーチャーを再利用できるというだけでなく、本来そのターンには戦場に出ることのない高マナ域のクリーチャーや、デッキの色と全く合わないものをコストを踏み倒して戦場に出すというのがリアニメイトの魅力。これを行うカードは古くから存在し、多くのプレイヤーが長きにわたって愛用している一大勢力である。

 リアニメイトといえば黒を想起するプレイヤーがほとんどだろう。事実、亡骸をゾンビ化させ無理やり動かしたり禁忌の術で冥界から蘇らせる……それらは実に黒っぽい。そんな黒に次いでリアニメイトを得意とするのは白。最古のリアニメイトカードである《蘇生》に見られるように、白の得意とする治癒の魔法や宗教的儀式の力で、墓地からクリーチャーなどを復活させる。そして現在のスタンダードでも、白いリアニメイト呪文を用いた黒抜きのリアニデッキを組むことが可能だ。

Weah44 - 「報復招来リアニメイト」
Only Rogue #1 トップ8 / スタンダード (2023年7月19日)[MO] [ARENA]
3 《スパーラの本部
4 《アダーカー荒原
3 《さびれた浜
4 《金属海の沿岸
4 《天橋塔
1 《皇国の地、永岩城
1 《天上都市、大田原
5 《平地
1 《
-土地(26)-

4 《ラフィーンの密通者
3 《産業のタイタン
-クリーチャー(7)-
3 《かき消し
1 《運命的不在
1 《一時的封鎖
4 《信仰の繕い
4 《発見への渇望
4 《報復招来
2 《修復と充電
4 《多元宇宙と共に
4 《ファイレクシアへの門
-呪文(27)-
4 《照光の巨匠
4 《農家の勇気
4 《警備の抜け道
3 《とんずら
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 白青2色のリアニメイト!このリストが用いるリアニ手段は《報復招来》、そして《修復と充電》!白のリアニメイトの特徴として、クリーチャーだけでなくその他のカードタイプも墓地か釣り上げられるものが存在することは見逃せないポイント。アーティファクトやエンチャントの中でも強力なもののコストを踏み倒して、対戦相手を圧倒するのが狙いだ。

 まずはクリーチャーから。と言ってもこのリアニ的にはサブプランにあたるものだが……《産業のタイタン》!頼もしいサイズに攻防共に役立つ到達&トランプル持ち。戦場に出れば能力を2個選んで、どんな状況であれ多大なる恩恵を与えてくれるTHEフィニッシャー!このデッキではこれのマナを真面目に支払って唱える術は皆無なので、《報復招来》頼みなところはある。だがまあ、リアニメイトってそういうもんだろう。開き直るのも大切だ。

 《修復と充電》でもリアニできるエンチャント&アーティファクトがこのデッキのメインウェポン。《ファイレクシアへの門》は戦場に出ればクリーチャーを3体除去できる。この時点でリアニメイトする価値のあるものであり、加えて毎ターン生け贄に捧げさせたクリーチャーをリアニメイトという荒業の持ち主でもある。これ1枚でゲームに勝ててしまう、ハードでタフなアーティファクトだ。対戦相手のクリーチャーを奪って良し、自分のタイタンを釣って良し。伝説に見えてそうでないので、複数枚並べられるのも強み。《多元宇宙と共に》はライブラリーから呪文を唱えたりできるアドバンテージに加え、1ターンに一度だけ呪文のコストを無視出来る。これを5ターン目にリアニメイトして、《産業のタイタン》や《ファイレクシアへの門》を唱えるというのが理想的なゲーム展開だ。

 リアニメイトで重要になってくるのは、釣り上げるためのカードよりもいかにしてその対象を墓地に落とすかというところだったりする。青と白にはカードを引いたりサーチしてきた後に手札を捨てることのできるものがあるので、その辺は抜かりなし。《信仰の繕い》はライフ回復もできて、最序盤はノーガードであることの多いこのデッキをしっかりと支える。フラッシュバックも活用して、獲物を捨てて釣り竿を引き込もう。《発見への渇望》は基本土地を捨てるなら手札の枚数が増える優秀なドローも兼ねている。リアニメイトの仕込みに使うか、純粋なアドバンテージ源として用いるかは臨機応変に。個人的には高マナ域のカードを唱えるマナ基盤を整えられて、重いカードを捨てられる《永岩城の修復》なんかを採用して、リアニメイトせずとも戦えるより柔軟なデッキへと調整しても面白いと考えているよ!

アリストクラッツ再臨?

 アリストクラッツというアーキタイプ名を目にしたことはあるだろうか。かつてスタンダードに存在し、後に他のフォーマットで類似したデッキもそう分類されて……最近ではキーとなるカードがしばらく存在しなかったことでスタンダードでも目にしない派閥になっていた。

 アリストクラッツとはカード名における「貴種」のこと。《ファルケンラスの貴種》や《カルテルの貴種》のように、貴種は他のクリーチャーを生け贄に捧げる能力を持っている。マナの支払いなしで生け贄を行えるので、同一ターンに複数体食わせることが可能だ。これによってただ貴種らの能力を気度するだけでなく、死亡時に何かしらの能力を誘発させるクリーチャーやその他パーマネントの能力を引き出してやり、ゲームを優位に進める。これがアリストクラッツというアーキタイプだ。「○○サクリファイス」と呼ばれる生け贄をメインテーマとしたデッキと、まあほぼ同一のノリではあるんだが……マナ不要の生け贄エンジンを備えているか否かがポイントになってくるかな。そして現行スタンダードでも実はアリストクラッツデッキを組むことができるッ!

Ogasawara Ken - 「ラクドス・ファイレクシアン」
夏のスタンダード感謝祭 3-0 / スタンダード (2023年7月24日)[MO] [ARENA]
4 《硫黄泉
4 《黒割れの崖
2 《憑依された峰
2 《ミレックス
1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼
1 《反逆のるつぼ、霜剣山
7 《
1 《
-土地(22)-

4 《騒音の悪獣
2 《進化した潜伏工作員
2 《胆液飲み
4 《生体融合の解体者
4 《処刑者の族長、ヴラーン
4 《ふくれた昇華者
2 《黙示録、シェオルドレッド
-クリーチャー(22)-
2 《喉首狙い
2 《切り崩し
2 《冥府の掌握
4 《堕落した確信
1 《人体改造機の冠
4 《ウラブラスクの溶鉱炉
1 《無孤勢団の霊裂機
-呪文(16)-
4 《強迫
4 《石術の連射
2 《兄弟仲の終焉
2 《墓地の侵入者
1 《過去と未来の剣
2 《敵対するもの、オブ・ニクシリス
-サイドボード(15)-
晴れる屋デッキ検索 より引用)

 

 《ふくれた昇華者》!ファイレクシアン限定ではあるが、マナ不要で共食いが可能という久しぶりのアリストクラッツ系カードだ。これにより昇華者のサイズアップと死亡誘発を同時に狙う「ファイレクシアン・アリストクラッツ」とでも呼ぶべき、カッコいいリストのお出ましだ。《堕落した確信》《無孤勢団の霊裂機》等の生け贄カードも揃っており、ファイレクシアンの生け贄がメインコンセプトとして十分に成り立っているね。

 死亡誘発系の中でも主役は《処刑者の族長、ヴラーン》!1ターンに一度のきりの誘発であるとはいえ、ライフを2点吸い取るのはデカいぜ。《騒音の悪獣》は死亡時にパワー分のダメージを与えられる。《生体融合の解体者》や装備品でパワーを上げてダメージを上昇させれば、シャレにならん一撃になることも。クリーチャーにもプレイヤーにも飛ばせるのが良いねぇ。装備品といえば《人体改造機の冠》。ただ単に打点を上げるだけでなく、装備クリーチャーが死亡すればカードが引ける。切れ目のない攻めを実現だ。

 しかしそんなに生け贄に捧げるファイレクシアンが用意できるのか?でき……ますッ。《ウラブラスクの溶鉱炉》は毎ターン、そのターン限りのファイレクシアンを射出!どうせターン終了時に生け贄にしなければならないなら、他のカードで美味しく利用しちゃうのがスマートなやり方。設置から2ターン程は出てくるファイレクシアンも非力だが、ターンを重ねるごとにハードパンチャーへと成長していく、これ1枚でゲームに勝てる系カードでもある。《胆液飲み》も1枚で2体分のファイレクシアンを用意できる、地味シブな味わい深いカードだ。こう言うのを使いこなして勝った時、スタンダードおもしれぇって気持ちになるんだよなぁ。

 今週もスタンダードのカッコいいデッキを2つ紹介させていただいた。いずれもスタンダードだからこそのデッキという趣きで、このフォーマットの魅力を伝えられるものだったのではないかな。何でも思いついたデッキは片っ端から試していく、そんな夏休みにしたら良いんじゃないのか。熱中できることがあれば、夏の暑さなんて気にならない(ケアは怠らずに)。それじゃあ今夜も、熱帯夜に負け得ないくらいスタンダードやっちゃうか!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索