ようこそムッシュ、そしてマドモアゼル。本日もお越しいただき光栄でございます。デッキソムリエとして、お客様の要望にかなうデッキをご紹介いたしましょう。さて、今宵のご注文は？

「スタンダード、クリーチャーを主体としたデッキで」
「でも《喉首狙い》にやられたくない」

　なるほど、タフなデッキをお望みのようですね。確かに現行スタンダード、クリーチャー除去の基本は《喉首狙い》。インスタントで手軽に扱えて、大多数のクリーチャーはこれに喉を掻き切られる……《喉首狙い》に頭を悩ませているクリーチャー好きの気持ち、身に染みてわかります。その願いは決してワガママなオーダーではございませんよ。

　依然として黒いデッキが中心に陣取っているスタンダード、狙われても跳ね返す強靭な喉首の持ち主となると……アーティファクト、になりますね。テキストを読めば一目瞭然、《喉首狙い》はアーティファクト・クリーチャーを対象に取ることはできません。つまりそれらで固められたデッキであれば、《喉首狙い》を搭載しているデッキに無駄なカードを持たせる形になりますね。最も頼りにしている除去を空振りさせて、手札にお荷物を抱えさせる……ご注文の品、ちょうど入荷したところでございますよ。

　スタンダードのBO1（メインのみ一本勝負）仕様の「セレズニア（白緑）マシーンズ」でございます。アーティファクト・クリーチャー……即ちマシーン軍団がズラリ。クリーチャー全34体中、《喉首狙い》がヒットするのは8枚のみ。黒いデッキの除去に対しては耐性の高いものに仕上がっております。アーティファクトというものは、さながらマシーンが組み合わさってシステムを形成するように、同タイプのカードの数が多ければ多いほど恩恵をもたらすものが無数に存在しております。スタンダードであれば《継ぎ接ぎ自動機械》がその好例。アーティファクト呪文を唱えればサイズアップしていきます。2ターン目に繰り出すことが出来れば、あとはマナを使い切って効率よく展開していくだけで順調に成長し、対戦相手を圧倒してくれるものとなるでしょう。

　同様にアーティファクトが戦場に出ることでサイズアップと1点のライフをもたらす《生歯の子ワーム》。こちらは《喉首狙い》を受けてしまうものではありますが……1マナのクリーチャーに2マナの除去を使わせたのであればマナ効率から考えて損はしていないので、良いでしょう。《ヨーティアの前線兵》《離反ダニ、スクレルヴ》と白いアグロでもお馴染みの面々と共にこれらのマシーン＆ワームを並べていって、勝利へと一直線に向かう。そんなアグレッシブなデッキにございます。

　白くてアーティファクト主体のデッキを組むのであれば外せない《魅知子の真理の支配》。クリーチャーに与える修正値が高く、機能しだすと手が付けられない逸品です。《鋼の熾天使》で飛行や絆魂を持たせたクリーチャーを強化して、効率よく攻めたいものですね。変身後の《魅知子の肖像》もまたこの熾天使と相性が良く、彼女のために低コストマシン軍団を躊躇なく展開したいところ。

　《鋼の熾天使》以外にも試作能力を持ったマシーンが採用されているのもまたこのリストの特徴です。3種合計10枚、これらと好相性を誇るのが《ギラプールの守護者》。試作コストで軽く唱えて、それをギラプールの能力の対象にして追放。戦場に戻ってくる時には試作ではなく完成品として本来のマナ総量とサイズになります。2ターン目にひとまずパワー2として出していた《自律型組立工》や《根導線の融合体》を3ターン目のギラプールで追放、戻ってくるとコクと芳醇さが増したスペックで……対戦相手を一気に追い詰めるのです。ギラプールは《別館の歩哨》と組み合わせても強いことを覚えておいていただければ。得にトークンを追放しておけば、ギラプールによって戦場を離れてしまっても相手の下にクリーチャーが戻ることはありません。

　いかがでしたか、今宵のデッキは？《喉首狙い》により主力が潰されるのはもうこりごりとおっしゃるのであれば、マシーンがあなたの悩みを解決してくれる最有力候補でございますよ。《喉首狙い》に限らず、様々な苦手カードが人それぞれにあるかと存じます。それらに悩まされたくないなら、そもそもそれがまったく効かないデッキを目指してみる……というのはいかがでしょうか。反骨心も勝利の美酒を味わうための素敵なおつまみ。それでは、ごゆっくりと……。