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戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

モダンの感染、そしてスタンダードの毒性(モダン&スタンダード)

岩SHOW

 今週末は「プロツアー・指輪物語」!しつこいほどに連呼していくぞ!今回も実況陣の一人として参加させていただくので、夕方から深夜に向けてワイワイと盛り上がりながらフィーチャーマッチをお届けできるように気合い入れていくぞ~ッ!というわけでこのプロツアーのフォーマット、モダンのデッキを紹介しよう。

 モダンの魅力……それはスタンダードやパイオニアでも観ることのできない能力を目にする瞬間に感じるね。モダンはこの8月で制定されてから12年。4年に満たないパイオニアと比べればその歴史が感じられるだろう。このフォーマットでは今日に至るまでの様々なセットにふくまれたカードが使用可能で、最も古いものは20年前!古いッ!モダンという名ではあるが、最早古典の領域に踏み込んでいる。それだけの歴史を詰め込んでいるのだから、モダンならではの古き良き能力を目にすることができるってわけだ。今回紹介するのもそんなデッキ。

Richard Jones - 「シミック感染」
Open Series @ Blue Cat Games トップ8 / モダン (2023年7月15日)[MO] [ARENA]
3 《吹きさらしの荒野
2 《樹木茂る山麓
4 《繁殖池
1 《冠水樹林帯
2 《ペンデルヘイヴン
4 《墨蛾の生息地
2 《ドライアドの東屋
2 《
-土地(20)-

4 《貴族の教主
4 《ぎらつかせのエルフ
1 《敬慕される腐敗僧
4 《荒廃の工作員
-クリーチャー(13)-
4 《怨恨
4 《古きクローサの力
4 《変異原性の成長
4 《厚鱗化
4 《強大化
4 《巨森の蔦
4 《顕在的防御
2 《蛇皮のヴェール
-呪文(30)-
2 《夏の帳
1 《狼狽の嵐
1 《呪文貫き
2 《呪文滑り
2 《虚空の鏡
2 《活性の力
3 《不可視の忍び寄り
2 《人生は続く
-サイドボード(15)-
MTGTop8 より引用)

 

 このリストはモダンの「シミック感染」。そう、感染能力!これぞパイオニアのカードプールでも再現できない、モダンならではのデッキだ。感染を持ったクリーチャーはダメージを与える際に通常のクリーチャーと全く異なる処理を行う。プレイヤーにダメージを与える際にはその数分の毒カウンターを、クリーチャーの場合には-1/-1カウンターを与える。触れるものは毒と病で蝕む、邪悪極まる能力である。これを持ったクリーチャーで攻撃しても対戦相手のライフは一切減らすことができない。しかし代わりに与える毒カウンターは、ライフよりも効率が良い。10個与えれば勝利なのだから、パワー1の感染持ちはパワー2の通常クリーチャーと同じダメージ効率ということになる。

 1マナで最序盤に展開できる《ぎらつかせのエルフ》をはじめ、2ターン目に出せてブロックされないという最強の回避能力持ちの《荒廃の工作員》、そして土地が引こうと感染持ちのクリーチャーになる《墨蛾の生息地》!これらは感染デッキのレギュラーメンバーだ。

 それら低コストの感染持ちを用いてモダンで組まれる感染デッキは、このダメージ効率に長けた連中のパワーを上昇させることにより瞬殺を狙っている。マナ効率に優れた選りすぐりのインスタントやソーサリーが集う!《古きクローサの力》や《厚鱗化》、圧倒的打点の上昇率ッ!マナすら不要な《変異原性の成長》、最大1マナに軽減できる《強大化》と効率も完璧ッ!さらにマナ加速役である《貴族の教主》も賛美能力で打点に貢献ッッ!バチバチに強化した感染クリーチャーで、2ターン目に勝利することだって狙えてしまうのだ。

 また単にクリーチャーのパワーを上昇させるだけでなく、それらを《致命的な一押し》や《稲妻》から守る呪文もぎっしり。呪禁を与える《顕在的防御》《蛇皮のヴェール》、これらがあれば安心だ。そして限りなく呪禁に似て微妙に違う除去耐性を持たせる《巨森の蔦》、これはキッカーで打点を引き上げるパワフルさに加えて、対戦相手のクリーチャーに投げつけて相手がオーラをつけたり装備品を装備したりという動きを阻害することも出来たりするパワーとトリックを兼ね備えたモダンならではの至極の逸品!さあ、感染持ちを強化して守って、思いっきりブン殴ろう!

 感染という能力自体はスタンダードに存在していないが、感染デッキが狙う毒殺はスタンダードにも存在するのは皆さんもご存知の通り。今回はオマケでスタンダードの毒デッキも紹介しておこう。

guiyote - 「バント毒性」
Magic Online Standard Challenge トップ8 / Standard (2023年7月16日)[MO] [ARENA]
4 《剃刀境の茂み
4 《金属海の沿岸
4 《ヤヴィマヤの沿岸
3 《アダーカー荒原
2 《低木林地
3 《ミレックス
3 《種子中枢
-土地(23)-

4 《敬慕される腐敗僧
4 《這い回る合唱者
4 《離反ダニ、スクレルヴ
4 《殺戮の歌い手
2 《顎骨の決闘者
4 《ふくれた汚染者
-クリーチャー(22)-
2 《邪悪を打ち砕く
1 《かき消し
4 《渦巻く霧の行進
1 《血清の罠
2 《タイヴァーの抵抗
4 《スクレルヴの巣
1 《イコリアへの侵攻
-呪文(15)-
4 《別館の歩哨
2 《終焉よ来たれ
1 《邪悪を打ち砕く
2 《痛烈な一撃
2 《かき消し
4 《婚礼の発表
-サイドボード(15)-
Magic Online より引用)

 

 クリーチャーで積極的に攻撃する毒デッキといえば「白緑毒性」。毒性能力を持ったクリーチャーで攻撃することで、ライフを減らすと同時に毒も与える。ライフを大幅に回復されたりしても攻撃してきたことが無駄になりにくいというのがこのデッキのセールスポイント。また毒や毒性に関して打点を引き上げるカード、《種子中枢》や《殺戮の歌い手》もあるためライフを恐るべき速さで削り落としていく。デンジャラスなアグロデッキを求めるならこれだな。

 定番の白緑に青が加わっているのがこのリストの特徴。打ち消しやバウンスなど、青ならではの撹乱要素で対戦相手により干渉できるデッキを目指してという意味合いもあるが……最大の狙いは《渦巻く霧の行進》。対戦相手のクリーチャーを対象にして一時的に除去して攻撃をねじ込む、あるいは自身のクリーチャーを除去から守るための手段として応用の効くX呪文。その真価を発揮するのは《敬慕される腐敗僧》とのコンボ!自身のクリーチャーを更新1枚で複数体対象に取れるので、腐敗僧の能力を多数誘発させて対戦相手に毒を直接乗せまくり!アグロに仕込まれたコンボ、二段構えに隙は無い!

 というわけでモダン環境を代表する能力、感染をフィーチャーしたデッキ、そしてその子孫である毒性を用いたスタンダードのデッキをまとめて紹介させていただいた。どちらも魅力的なデッキなので、ライフを減らす以外の方法でも勝ちたいプレイヤーは一度プレイしてみてね。そしてプロツアーのフィーチャーマッチ、毒カウンターを目にするタイミングはあるだろうか?こうご期待!色んなデッキが観られることを願っているよ。

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