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岩SHOWの「デイリー・デッキ」
とことん!スタンダー道!白茶単アグロ、オマケでナズグル(スタンダード&アルケミー)
定番、王道、だからこそ最高!
最近世の中が、定番とかお約束とか、そういうものを外す傾向にあると強く感じるようになってはや数年。映画とか観てても、王道の展開、こちらが読めるようなオチを避けようとして捻った話になってるものが多くてね。それはそれで面白い時もあるんだけども、定番(スタンダード)を恐れなくても良いのになと思ってしまう。
その点マジックは構築フォーマットのど真ん中にあるのがその名もスタンダードだ。定番の遊び方、だからこそ楽しい。王道を外れる必要は何もない、スタンダード遊んじゃえば良いじゃないか。というわけで今週もスタンダードという突き詰めれば長く険しく、そして何より楽しい道を突き進むプレイヤーを応援する「とことん!スタンダー道!」。元気よくいってみようッ!
とことん!「茶」単道!
最近では一部のベテランプレイヤーしか使わなくなってしまったマジック用語「茶」。マジックにはもちろんこのような色はないのだが、かつては存在したのだよ、茶色いカードが。
その昔、アーティファクトは茶色い枠を与えられていた。無色という概念もあってないようなもので(それを参照したり指定するカードがほとんどなかった)、色付きアーティファクトなどおよそ考えられない時代があったのだよ。アーティファクト=茶色、これらをメインに据えたデッキは「茶単」などと表現された。今のように完全無色のアーティファクトデッキもなく、ほぼ色付きで「赤茶単」「青茶単」などといった具合に。なので、ベテランプレイヤーは今でもアーティファクトを主体のデッキを「〇茶単」と呼びがちである。茶色いカードを知らない世代にはピンとこないだろうが、長くスタンダー道を歩み続けている先輩ってことで目をつぶっていただけると助かるな。
今回紹介するデッキはそんな茶単をスタンダードで組むとどうなるか、という挑戦的なもの。なかなかアグレッシブで面白いものがあったぞ。
16 《平地》 2 《ミレックス》 1 《皇国の地、永岩城》 1 《マイコシンスの庭》 -土地(20)- 4 《ヨーティアの前線兵》 4 《舞い降りる見張り》 1 《有能な整備士》 2 《離反ダニ、スクレルヴ》 4 《大顎の大司法官》 4 《継ぎ接ぎ自動機械》 2 《別館の歩哨》 4 《鋼の熾天使》 -クリーチャー(25)- |
3 《運命的不在》 2 《板金鎧の猛攻》 2 《カイラの再建》 3 《スクレルヴの巣》 4 《魅知子の真理の支配》 1 《大天使エルズペス》 -呪文(15)- |
4 《邪悪を打ち砕く》 3 《救済の波濤》 1 《痛烈な一撃》 2 《別館の歩哨》 1 《災厄の痕跡》 2 《スレイベンの守護者、サリア》 2 《放浪皇》 -サイドボード(15)- |
アーティファクトは茶色じゃないし、そもそもこのリストの採用している者はほとんどが色付きのものであるが……「白茶単」と呼びたい!そう思わせるアグロデッキの登場だ。デッキ内の25枚がアーティファクトで、他にもアーティファクトを戦場に出すものがたっぷり。それらと《継ぎ接ぎ自動機械》を組み合わせ、アーティファクトを唱えまくってこれを強化して殴る!そして唱えたものでもなくてもアーティファクトが戦場に出れば誘発する《大顎の大司法官》!絆魂を持つこれも強化して、対戦相手とのダメージレース(殴り合い)を制するのが狙いだ。機械の軍団ではあるが、そのCPUに刻まれているのはなんとも脳筋なプログラム!
茶単ならではの打点向上カードとして、《板金鎧の猛攻》が採用されているのは面白い。アーティファクトが3つあれば{W}{W}の2マナで唱えられ、全クリーチャーのパワーを+2!これ、スタンダードで飛んでくると思っているプレイヤーはほとんどいないだろうから最初に打たれた時は呆気にとられそうだ。かなりインパクトのあるトリックであり、相手のブロック・クリーチャーを討ち取ったり、ライフを一気に0にしたりと裏をかける。スピード勝負のデッキだからこそのナイスチョイス!またエンチャントデッキでの定番である《魅知子の真理の支配》も複数回使える強化として非常に優秀だ。アーティファクトもカウントするところを活かして、小粒な茶色いクリーチャーを強化して押し切ろう。《スクレルヴの巣》は軽くて毎ターントークンを生成し、自身もエンチャントであるとあらゆる点でこれらの強化カードと噛み合っている。現スタンダードで茶単を組むなら白がスマートな選択。大納得!
実際にこのリストを使ってみての感想……土地20枚はやっぱり少ないかな~初手に土地1枚しか来ずマリガンしまくった!(笑)。《平地》と《皇国の地、永岩城》を1枚ずつ増やして《有能な整備士》と《カイラの再建》1枚と入れ替えたら、まだなんとかマリガンが緩和された。安定して回すなら24枚くらいは欲しいところだが、そこは個人の感覚によるところも大きいかな。アグロであり、土地ばっかり引いても勝利に直結しにくいデッキでもあるので難しいところ。
これに限らず、他の人が作った土地が少なめのリストをコピーして回す際には、その辺を自分にとっての適正枚数に調整することをオススメするよ。そこの鍛錬もまたスタンダー道を歩む上で怠ってはいかんファクターなのだ。
とことん?たまには息抜き♪
毎日とことんスタンダードをやっていると、ちょっとお腹一杯になるタイミングもあるはず。毎日カレーが出てきてもOKな性格な僕でも、うーんやっぱりちょっと違う刺激が欲しくなる時はある。そりゃああるよ、人間ってそんなもんだ。そういう時には気分転換、マジックに数多ある別のフォーマットを遊ぶことで脳に新しい刺激を注ぎつつ、それらを経てより一層スタンダードのやる気が増すなんてこともある。
24 《沼》 1 《見捨てられたぬかるみ、竹沼》 -土地(25)- 3 《オークの弓使い》 2 《忍耐強く企む者、ゴラム》 9 《ナズグル》 3 《黙示録、シェオルドレッド》 1 《死人占い師、サウロン》 -クリーチャー(18)- |
2 《マインド・スパイク》 4 《喉首狙い》 2 《ゴラムの噛みつき》 4 《絶望招来》 2 《勢団の銀行破り》 3 《一つの指輪》 -呪文(17)- |
3 《強迫》 1 《オークの弓使い》 2 《切り崩し》 2 《食肉鉤虐殺事件》 2 《墓地の侵入者》 1 《未認可霊柩車》 1 《過去と未来の剣》 1 《鉱炉と前線の剣》 2 《ヴェールのリリアナ》 -サイドボード(15)- |
というわけで今回はオマケとしてアルケミーで最近僕が使っているリストを紹介して終わろう。アルケミー、スタンダードの親戚のようなフォーマットであり、一部カードの能力が調整されたりスタンダードで使えないもので遊ぶことができたり。そして『指輪物語:中つ国の伝承』のカードも使えるってのが特別感がある。MTGアリーナで遊ぶ本命はスタンダードになっているので、アルケミー用のカードにあまりワイルドカードは割けないのだが……そんなプレイヤーにも嬉しいカードがこの環境にはある。《ナズグル》だ!
かつてサウロンにより指輪を授けられた9人の人間の王。それらの末路は指輪の幽鬼と呼ばれる怪物への変貌だった。彼らをカード化した《ナズグル》はその設定を活かし、デッキに9枚採用可能というルールをぶっ壊す能力持ち!ナズグルが戦場に出ると指輪があなたを誘惑する。これは回数を重ねることでより強力なボーナスを得られるもので、そして《ナズグル》はこの誘惑により能力が誘発。全てのレイスに+1/+1カウンターが乗る。
ということで、《ナズグル》は実質3マナ2/3接死。この額面を見た時には「そんなもんか……」ぐらいの感想しか出てこなかったのだが。実際にワイルドカードを使って9枚揃えて(9種類イラストがあるのが楽しい)、使ってみると……2体並ぶとそれぞれの能力が誘発して全レイスにカウンターが乗る。つまり2枚で4/5と3/4が並ぶことになる。あれ?3マナで《黙示録、シェオルドレッド》級のスペックが生まれてしまったぞ。そう、実は《ナズグル》、むっちゃデカくなる。3枚目が出てくればトップは7/8!コイツはヤバい。未体験の人、アンコモンで集めやすいので是非とも《ナズグル》デッキを組んでみてちょうだい!最高の気分転換になるよ。
珍しい茶単を組んだり、たまにはスタンダードと共通点はあるが非なるフォーマットのアルケミーを遊んでみたり…各々フレッシュなマジック体験を味わいながら、長くスタンダードを遊んでほしいものだ。それじゃあ今夜もスタンダード、やっちゃおうかな。ついつい夜更かししてしまうから、気を付けないとな……。
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