READING

戦略記事

岩SHOWの「デイリー・デッキ」

ゴルガリ・ヨーグモス:不死のループと指輪の力(モダン)

岩SHOW

 気が付けば「プロツアー・指輪物語」の開催が来週末に迫っている。2023年に復活したプロツアーも早くも3大会目。良いペースで熱戦のステージが用意されていて、参加者はもとより観戦勢も嬉しいことだろう。今大会の舞台はスペイン、バルセロナ。「MagicCon」なるマジックのすべてが集結する特大イベント内にて開催される予定だ(概要はこちら)。

 スペインと言えば以前、プロツアーの実況のためにマドリードに行ったのを思い出すな。レストランが夕方6時に行っても空いておらず、夕食はもっと遅い時間からという文化の違いを知ったり、おかわり自由のオリーブが最高に美味かったり……世界を巡り新しい発見を得る。プロツアーがプロツアーたる所以だな。スペインまで行かれる方はお気をつけて、良い旅を!我々は日本からフィーチャーマッチを見守ることにしよう。

 このプロツアーのフォーマットは『指輪物語:中つ国の伝承』を用いたドラフトと、同セットが加わって熱いことになっているモダン!当コラムとしてはモダンのデッキを紹介することで、プロツアーに向けての熱を高めていきたい所存。僕自身の予習も兼ねて、モダンのデッキを紹介するペースが上がりそうなことをお伝えしておこう。それじゃあ早速……。

Wojciech Kowalczuk - 「ゴルガリ・ヨーグモス」
Grand Open Qualifier Bologna 3位(12-2-1) / モダン (2023年7月8日)[MO] [ARENA]
4 《新緑の地下墓地
1 《樹木茂る山麓
1 《霧深い雨林
2 《草むした墓
2 《花盛りの湿地
2 《黄昏のぬかるみ
1 《闇孔の小道
2 《耐え抜くもの、母聖樹
2 《カルニの庭
1 《ドライアドの東屋
1 《
3 《
-土地(22)-

4 《若き狼
4 《喜ぶハーフリング
1 《金のガチョウ
1 《貴族の教主
4 《根の壁
3 《オークの弓使い
2 《絡み根の霊
1 《毒物の侍臣、ハパチラ
1 《ズーラポートの殺し屋
1 《忍耐
4 《スランの医師、ヨーグモス
-クリーチャー(26)-
4 《召喚の調べ
2 《異界の進化
2 《一つの指輪
4 《飢餓の潮流、グリスト
-呪文(12)-
2 《忍耐
1 《漁る軟泥
1 《魂標ランタン
2 《活性の力
1 《機能不全ダニ
2 《全軍突撃
1 《致命的な一押し
2 《思考囲い
1 《減衰球
2 《下賤の教主
-サイドボード(15)-
Melee より引用)

 

 モダンのコンボデッキの一柱を担う「ゴルガリ(黒緑)ヨーグモス」!その名の通りキーカードは《スランの医師、ヨーグモス》。1点のライフの支払いとクリーチャーの生け贄をコストに、クリーチャーに-1/-1カウンターを置いてカードを1枚引くことができる。この能力を上手く使うには、生け贄に捧げても損しないクリーチャーとの組み合わせが思いつくね。

 モダンでヨーグモスと組み合わされているのは不死クリーチャーだ。死亡すると+1/+1カウンターが乗って墓地から戦場に戻る、タフな面々である。同カウンターが置かれている状態で死亡すると不死は誘発しないので、普通に運用すればこれらを生け贄にできるのは2回。それでもクリーチャー1体でカードが2枚引けるのだから得しているのだが、もっとスマートな使い方が。それは不死クリーチャー2体でのループだ。前述の通りヨーグモスは -1/-1カウンターを乗せることができる。不死で戦場に戻った+1/+1カウンター持ちにこのカウンターを乗せると……ルールにより、これらのカウンターは相殺して取り除かれる。不死クリーチャーが2体いると、Aを生け贄に捧げてカウンター持ちのBを対象に→Aが不死で戻ってBのカウンターはリフレッシュ→Bを生け贄に捧げてAを対象に……とループを形成できる。

 このループはヨーグモスの起動の度にライフを失うという関係で、決して無限に行えるわけではない。グルグル回しているだけでゲームに勝てるようにするにはもう1枚パーツが必要だ。《ズーラポートの殺し屋》がいればクリーチャーが死亡する度に対戦相手のライフを1点吸い取ることができるので、ヨーグモスと《若き狼》《絡み根の霊》など不死クリーチャー2体、そしてこのズーラポートの4枚で対戦相手のライフを吸い尽くすコンボの完成だ。ヨーグモスの能力はカードを引く関係上、対戦相手のライフがこちらのライブラリーを上回っている場合はこのコンボで勝つことができないのだが、そのようなケースは稀ではあるのでそれほど気にしなくて良いだろうと。

 また《毒物の侍臣、ハパチラ》は-1/-1カウンターを乗せるというアクションにより誘発し、蛇を呼び出す。対戦相手のターン終了時にトークンをばら撒いて、返しのターンで殴り勝つという動きも狙えるぞ。不死が2体揃わなくても、適当にクリーチャーを生け贄にして対戦相手の盤面に-1/-1カウンターを投げつけて除去しつつハパチラで蛇量産するという勝ちパターンを用意できるのはマジ強いぜ。

 このヨーグモスデッキはそれなりの期間に渡って使われているアーキタイプだが、この2023年の夏には新戦力を獲得!4マナのヨーグモスがキーカードで、コンボパーツのサーチに《召喚の調べ》や《異界の進化》を用いる関係上、《極楽鳥》《根の壁》のようなマナクリーチャーを重んじるデッキである。その枠に《喜ぶハーフリング》が加わった。加速したマナで最も唱えたいヨーグモスは伝説であるため、このかわいらしいハーフリングが加える色マナの恩恵を受けられる。また、そのマナを用いた際の打ち消されなくなるというボーナスも非常に優秀で、青いデッキ相手にケア不要でヨーグモスを叩きつけられるのはこの上なくストレスフリー!

 そしてどうせ伝説の呪文を打ち消されなくするハーフリングを用いるのであれば、《一つの指輪》も使い得ってなもんだ。この指輪でドローを進め、クリーチャーを連打していればコンボであれ戦闘であれ、勝利はこの手に舞い込んでくるはず。

 また、新戦力という点では《オークの弓使い》も見逃せない。タフネス1のクリーチャーを狙い撃ち、各種ドローに対しての牽制にもなるこの2マナの瞬速持ち……一時期の《タルモゴイフ》のように、モダンの2マナ圏を代表するクリーチャーになりそうと思わせるほど鮮烈なデビューを果たしている。とりあえず黒いデッキだったら使っとけと言わんばかりにモダンでの使用率をメキメキと伸ばしている。自分では使わないにしても、相手が2マナ立たせていたらこのオークを出してくることを常に想定してプレイしたいものだ。

 「プロツアー・指輪物語」が皆にとって良い刺激、最高の超刺激になることを願いつつ、今後もモダンのデッキを紹介していこう。月末までに体力作り・スタミナつけとかないとな!

  • この記事をシェアする

RANKING

NEWEST

CATEGORY

BACK NUMBER

サイト内検索